半藤一利のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
高校の先輩後輩の2人による対談は各々が10大事件として掲げた出来事の理由から。宮部の挙げた事件は推理小説になりそうなものでありながら、時代の流れを大きく変化させるものであったところが面白い。そして2人で決めた10大事件についての対話。昭和金融恐慌(1927年つまり昭和2年と正に昭和の初め)が大臣の失言から始まったところから、2・26事件、大政翼賛会と3国同盟、東京裁判、憲法9条、日本初のヌードショー、金閣寺焼失、第5福竜丸事件とゴジラ、高度成長事件と事件、最後は昭和63年の幼女誘拐殺人(宮崎勤)まで。憲法9条については押し付けられたものではなく、1928年の日本も締結した不戦条約の文言から来て
-
Posted by ブクログ
昭和史の10大事件を対談形式で振り返る。
いつも通り、大して内容も確認せず、読み出す。
そして、気づく。
自分の思っていた「昭和史の10大事件じゃない…」
自分の中で昭和の10大事件と言うと、3億円強盗事件、よど号ハイジャック、グリコ・森永事件、浅間山荘事件など、映像化され、何となくドラマチックなものを勝手に思い描いていた。
しかし、予想していたこれらの事件は1つも入っていない。
全体的に戦前戦後で大きく様変わりした日本の様子が取り上げられている。
太平洋戦争の前にあった日本の変化、太平洋戦争後に行われた東京裁判。確かに学校では詳しく習っていないことに気付く。自分の知っていた戦後がアメリカによ -
Posted by ブクログ
ネタバレ出鼻をくじかれるように「最初に言っとくけど、歴史学んでもあんま役に立たないから!」あれー?と思いつつ読み始める。役に立つとか意味があるかないかとか、損得とか、しばしば自分はそういうことを気にしすぎた。
著者は、「知らない」でいてしかも「知ろうとしない」状況において、人は最も権力者の扇動に乗りやすいのだと言う。これって、権力云々の話を抜きにしても、例えばこの本を読むワタシのスタンスも同じようでなくてはならんのでは?その通りで、歴史を受け身で学んでいては、嘘っぱちの歴史ストーリーを信じ切って、綺麗事ばかりインプットして、40年ごとに人は悲惨な出来事を忘れてゆく。でも、いい話ばかり耳に残るのは当然。 -
Posted by ブクログ
第二次世界大戦の遠因にもなったノモンハン事件についてのドキュメント。
権限の委譲のいきすぎで結果的に関東軍の独断専行を招き、それに誰もすずをつけることができずに崩壊にむかっていったプロセスの第一幕がこの事件。
しかもこの主要な幹部はだれも更迭されてないところに闇がある。
当時の参謀本部は関東軍に及び腰。その原因はいきすぎた権限委譲の元気の良すぎる青年将校を現地におくりすぎたことが原因ではなかろうか。
その結果「関東軍に「案」を示しただけで、あとは研究にまかせた。つまり示達できなかった。参謀本部は真の統帥を放棄して虚位を誇る態度のみつづけていた、」というような事態がうまれ次第に統制がきかなくな -
Posted by ブクログ
対談。なぜ戦争になったのか。どこで間違えたのか。こういう本を読むと、自分がいかに知らなかったということを痛感する。そしてこういう本を読んで思うのは、過去のこととして知識にするのではなく、今、自分のいるまわりに活かせることはないか、ということなんだよね。
大正七年の原敬首相から昭和七年犬養毅が五・一五事件で暗殺されるまでを日本の政党政治の黄金期という。
では、原敬の何がすごかったのか。
偉大だったのは、としていわれること。
原敬日記をひいて、すごくこまめに軍人に会っていることを指摘している。
こまめに、ひょっとしたら自分と反対意見の人とも会って、パイプをつくっていたこ -
Posted by ブクログ
日露戦争は、海軍こそバルチック艦隊を全滅させ華々しい勝利を飾っているが、陸戦の方は、息も絶え絶えというのが現実であった。どうにもないぐらいに兵力がなく、兵站もなければ弾薬も決定的に不足していた。圧倒的に兵力が足りない日本は、戦争に勝ってもロシア軍兵士を結局、逃さざるを得なかった。包囲殲滅戦ができないから、生還したロシア兵は再び組織され、攻撃してくる。さらにはハルビンに30万人という大兵力を集結させていた。もし、講和会議がまとまらなかったら、一気に日本を攻めるという準備さえ整えていたのだ。そんな状況の中、小村寿太郎は、泥沼化しそうな戦争を終わらせたうえ、樺太までぶんどってきている。よくぞ戦争を終
-
Posted by ブクログ
ノモンハンについて知ったのは、大学1年の夏。
当時、「ねじまき鳥クロニクル」を読んでいて、その中にノモンハンについての記述があったのを覚えている。
そこに書かれていたノモンハンは、戦闘全体のことではなく、個人的な体験、一人の登場人物の回想を通じて伝わる戦争の悲惨さであった。しかし本書は違う。
ノモンハンでの戦闘になるまでの過程、ドイツ・ソ連の動きが同時的に描かれており、その全容が一から説明されている。想像力を掻き立てる小説的な描き方ではないが、戦闘の悲惨さが俯瞰的に描かれているが故にわかることがある。それは逆説的ではあるが、そう描かれていることで陸軍兵一人ひとりの生きざまに限りがなくなるとい -