石井光太のレビュー一覧
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電車の中で読もうと本書を開いたけど、そこにはあまりに衝撃的な写真が多数が掲載されており、本を閉じた。
家で改めて読んだのだけど、まさに地を這う人々が生活していた。憐れみを増すため、ワザと身体の一部を切断し、砂を塗りつけ化膿させる子供。蛆や虫が入っていても気にせず残飯を食べる少年。数十円で春を売る障害を持った女。ものを拾って稼いだ僅かな金を現実逃避のためシンナーにつぎ込むストリートチルドレン。
世界は思っているより貧しく、安定していない。ここでは命の価値が明らかに異なる。しかし、あくまで異なるのは他人の命の価値。泥をすすって、残飯を食べて、身体を売ってまで生きようとする彼らは自分の命を我々より価値があるものと思っているんだろう。じゃなきゃとっくに自ら命を絶っちゃうよ。なぜそこまでして生きるのか?と思うのだけど、『生まれたから』というのが答えなのじゃないかなと思う。単純だけど人間の根源はそこなんだろう。生まれたから、生を全うする。あたり前のことだけど気付かされました。
あまりに僕らの世界と異なり、生々しく、時にはグロテスクなので、直視するのは困難だけど、これは『今』の世界。自分のいる世界と家族の安定に感謝しながらも支援ができないかを考える。しかし、支援の対象があまりに広大で、どこから何から手を付けていいかわからない。単発の支援では意味が無い。無理なく継続的に確実に支援できる方法はなんだ?? -
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ネタバレ日本に産まれ育ったことによって練り上げられた自分の価値観を揺さぶり、再考させる書籍であったと思う。この書籍を読んでの率直な感想としては「私自身は著者と同じような体験をここまでできない」ということだった。吐き気や恐怖すら感じる。自分は国際協力の分野に興味があり、大学院の専攻にもかかわらず。
事実をありのまま伝えていると実感でき、目を逸らしたくなるような記事もある、しかし。なぜか、ページをめくる手は止まらなかった。それは、著者による読みやすい文体での構成とともに、ありのままを写している写真が目に飛び込んでくるからである。
日本人として産まれ育った自分としては想像もつかない生活が他の場所にはあり、それが望んでいない生活と思えると同時に普通の光景となっている。その普通が異常なレベルであるにもかかわらず。
私自身「経済的な貧困はなくならず、その存在が必要悪ではないか。しかし、その存在を極力減らすことは絶対にできる」と考えているが、その必要悪を背負っている人も必ず存在する。
その人々に対し、「ひとりの人間として何ができるのか?」の問いを絶えず投げかける書籍として、私は日本人全員に一度は読んでいただきたいものだと思っている。 -
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本書は在日外国人の生活の実態を遺体の冷凍空輸、韓国系教会によるホームレス支援、夜逃げ補償つきの結婚紹介所などから追ったものです。異国の地で生きるということの難しさと彼らの逞しさに心打たれます。
あまりそのときのことは詳しく書くことができませんが、僕は20代の半ばくらいまでに、ここに描かれているような環境に生きる人たちのコミュニティーを覗くこともできれば、彼らの生態を間近に感じる環境に身をおいていたことがあったり、他の方の書いたノンフィクションなどを参考にしながらここにも取り上げられている新大久保界隈によく出没していたので、この本を読みながら彼らの息吹や彼らの生活の『におい』香辛料や、油のにおいが主だったかと記憶しておりますが、そんなものが行間から漂ってくるような感じがして、読み終えたあとに不思議な気持ちになったことを覚えております。
実を言うとこの本を読み終わる前にyoutubeにアップロードされた筆者のトークショウのイベントで、この本について語られてある動画を拝見させていただいてから残り半分を読み終えるような感じだったので、後半部に入ったときにはより生々しく、ここに描かれてある事象の数々が頭に浮かびました。内容をざっと垣間見て言うと、日本でなくなった外国人の遺体の冷凍空輸、韓国系教会によるホームレス支援、や果ては夜逃げ補償つきの結婚紹介所など、『日本に住む外国人』のカネ・性愛・そして、死などの事象を追って日ごろわれわれが知ることがないであろう在日外国人の実態を描き出したルポルタージュです。
のっけから頭をガツーンと殴られるような衝撃を受けたのは日本で死んだ外国人がエンバーミング、いわゆる防腐処置を施されて母国へ移送されたり、宗教上での埋葬方法の違いに関する話は以前読んだ『死都ゴモラ』の中にコンテナに満載された中国などのアジア系の人間の冷凍された遺体を船から荷降ろししている場面があって、ここには書いておりませんが、こういうことが『カモーラ』などのような国際犯罪組織などにとっての「シノギ」になるのかなということを連想しながら遺体に関する話を読んでいたことを思い出しました。
さらにはエンバーミングという技術の成り立ちとその発展が描かれていたり、韓国女性が退去して日本の歓楽街でネットなどを活用して『店』を開き、閑古鳥が鳴くようになると潮が引くように地方へと去り、そのせいで地方で昔から営業していた彼らの影響を受けて軒並み潰れていったりするさまや、『売春島』と呼ばれるところでは、現在はいくつもの事情を抱えてかえるに帰れなくなったタイ人がいたりする、という話。新大久保の界隈でホームレスに対して炊き出しを行いながら布教を行う神父と女性ホームレスのエピソードには『支援する側とされる側』という関係というものが描かれていて、自身の経験から『なるほどなぁ。得てしてそういうことはあるもんだな』ということを感じて、しんみりとしてしまったことを思い出します。
そして、章の合間合間にはさまれている「ガイジンに聞け」というショートコラムがなんとも面白く、日本にあるインド料理屋のほとんどはパキスタンやネパール、バングラデシュの人たちが作っていたりすることが多い、という話や中古車を海外に輸出する際の現地人とのネットワークについてのお話は非常に印象深いものがございました。
これを読みながら、現在ではおそらく二度と会うことはないであろうと思われる『彼ら』のことを思い出してしまいました。『異国の地で生きる』ということのしんどさと彼らのたくましさ。その一端を見たこととこの本を読めたということで、自分の生きてきた道が決して無駄ではなかったということを、たった今気づいた次第でございました。 -
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この作者の持つ視点の低さには毎度のことながら驚かされます。この本もまた、場合によっては自分の世界を根底から覆される恐れがありますので、お読みになるときにはその点をよくご理解いただけるとありがたいです。
性懲りもなく石井光太さんのルポルタージュばかりを読んでいる自分がおります。この人の本は、ムチャクチャな世界の現実を描写しているので、読んでいるとだんだん感覚が麻痺してくるんですよね。今回取り上げたこの本の中には『飢餓』や『餓死』が日常と化している中で、人がどのようにして生き、食べ、遊び、そして愛し合うのか?そういうことを詳細にルポにしております。
この本は新書なのですが彼の本ははっきりいってR指定をつけるべきだと思う。そんな内容です。人によっては、この本を読んで人生が根底から覆されてしまうかもしれません。ここに扱われている話題のうち、僕が特に注目したいのは児童結婚に関わる問題と、『子供兵が見ている世界』という章で扱われているいわゆる少年少女の兵士たちの問題です。
児童婚の問題に関しては、親同士の取り決めか何かで決まって、大体は家業を手伝う労働力として、男のほうは結婚するのだそうですね。女性、もしくは女の子の立場だと、若いだけで金がない男と結婚すると路上で暮らさざるをえないため、きちんとした家に住めて、ちゃんとした食事も出してもらえるからいいのだという返答が帰ってきたときには作者同様、児童婚の事実が一概に『悪』とは片付けることができない自分がいました。
そして、子供兵士の件ですが、戦争のえげつなさをこれでもかといわんばかりにたたきつけられたような気がいたします。そして、大人たちは処刑を彼らに強要したり、薬物を与えて、理性をなくして、戦場で戦わせると。ここまで読んでいて、かなり重い気分になりました。そして、子供兵から解放されても、薬物やトラウマなどで廃人になっていることも多く、社会復帰は難しいのだそうです。
こういう事実の中でも、ごみの中で抱き合い、路上で子供を育てる夫婦がいて、おなかだけがぽっこりと突き出た欠食児童がサッカーに興じている。人というものが以下に多様な存在であることがこの本を読んでわかります。しかし、内容が内容ですので、ある一定の覚悟を持って読んで頂けるとうれしいです。 -
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世界で数千万人いるといわれる路上で暮らすストリート・チルドレンと呼ばれる子供たち。主人公のトトはその一人です。かわいいタッチで描かれていますが内容は厳然たるもので、私たちに重い現実を突きつけられます。
僕はこの本の原作を書かれた石井光太さんの本はすべて読んでいて、そのディープな世界に魅了されていますが、今回の本は彼が初めて手がける絵本だということで大変楽しみにしておりました。
主人公のトトは作者の石井光太さんがアジアの最貧国で出会った少年のイメージが組み合わさってできたものなんでしょうね。これは、絵本なのでほかの石井光太作品で特徴的などぎつい話は一切出てきません。しかし、ここに書かれているエピソードの一つ一つは今、この間にも路上で生活をしているストリートチルドレンたちの「今」に他ならないわけです。
初めてこの作品のモチーフとなったエピソードをほかの作品で見たときはあまりのショックに茫然自失としましたが、その中でも特にトトが死んだ仲間の遺体を引きずって町を練り歩き、「死体乞食」として、お金をもらうという話があって、物語ではそれを哀れに思った元マフィアのボスがトトにお金を渡すのですが、トトは「悪いやつのお金なんか要らない」と突っ返します。
ですが、現実にはそんなことはありえません。一種のファンタジーなんでしょう。ここに書かれている絵はかわいいのですが、改めてどうしようもないものを僕に突きつけられました。トトは同じく路上で出逢ったリンリンと結ばれてハッピーエンドになるわけです。しかし、路上生活を送る少年たちの人生で、このような結末になることはほとんどといっていいほどありません。
ですが、このラストに、悲惨な現実を見続けてきた作者の祈りであるということを僕は勝手ながら思ってしまうのです。 -
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「日本企業は中国でつくった一番いい製品を欧米に輸出する。二番目にいい製品を、日本へ逆輸入する。そして、最悪の品を中国本土で売る」…etc。海外でまことしやかにささやかれている日本の「うわさ」です。
この本は海外でまことしやかにささやかれている日本人に関する「うわさ話」を海外に取材をすることの多い筆者が見聞きしたものを収録した本です。まぁ、笑えるものから「あながち間違ってはいないよなぁ」、というものまでさまざまあります。こういうところから日本人はいったい海外でどうんなふうに見られているのかを知るというのもまた面白いことだと思います。目次に書かれていることをを少し引用します。
「日本人は、洋服が透けて見える眼鏡を開発したらしい」
「日本企業は中国でつくった一番いい製品を欧米に輸出する。二番目にいい製品を、日本へ逆輸入する。そして、最悪の品を中国本土で売る」
「日本の男は痴漢をしたくなったら地下鉄へ行く」
「日本に到着したら、やってはならないことが三つある。1、パチンコをしてはいけない。2、小指のない男に逆らってはいけない。3、自転車に乗ってはいけない」
「昼と夜で日本人は違う顔を見せる」
など、こういう噂が諸外国でまことしやかにささやかれているんだそうです。こういう本を読んでいると、日本人として誇らしい部分とはずかしい部分が両方同時に出てきます。海外に行く機会が多い方は、この本に書かれている話を、現地に住んでいる人の口から直接聞くことがあるのかもしれません。 -
Posted by ブクログ
餓死現場で生きる人たちが直面している様々な問題と、問題が起こる背景を実体験に基づいて語ったもの。
児童労働や売春などは先進国の価値観では許されるものではない一方で、彼らにとって家族が食べていく為の最後の手段だったり、貧困から抜け出せる手段だとしたら、我々はこれらの行為を安易に非難すべきであろうか。単に統計上これらの数字を減らせば良いわけではなく、こういったものに従事せざるを得ない彼らの現実をもっと理解すべきであると感じます。児童労働や売春を単に取り締まるだけだと、彼らはもっと劣悪な労働環境に陥る可能性があり、貧困の根本になっているものを解決しないでは、問題は解決しないと感じました。