石井光太のレビュー一覧
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本書表題は『こどもホスピスの奇跡』ですが、日本初の民間こどもホスピス設立に向けた「これまでの軌跡」と「これからの希望」の記録です。
こどもホスピス‥そこは、死にゆく場・看取る施設ではなく、短時間でも治療を離れ、笑い合って普通の子としての時間を生き、生涯忘れえぬ思い出をつくる場であり「家」なのでした。
命に限りのある子どもたちの、尊厳を守ろうとして闘った人たち。厳しく悲しい状況に、読み進めるのが辛くもありましたが、その奮闘・奔走ぶりに敬意を表します。
また、真の意味で、「子どもに寄り添う」とはどういうことなのか、考えさせられる一冊でした。
とりわけ、登場する難病の子どもたちの描写は、 -
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読み進めるのがとにかく辛い。
虐待や貧困、ネグレクトのあまりにも残酷な連鎖。一番弱くて脆い所へしわ寄せがいく社会の現実。数分のニュースをたまたま見て「酷いな、こんな奴ら人間じゃないよ」と一言呟いて懲罰感情を発露させるのは簡単だが、その事件の背後に隠れている悲惨で辛い物語に直面させられると、もうまったく他人事とは思えなくなる。私がいわゆる“普通の家庭”に生まれて虐待とは無縁に育ってきたのはたまたま幸運だっただけではないか。
加害者の人生を丁寧に辿りながらも、決して過度に寄り添わず距離を保つ書きぶりが余計に読者の感情に「あなたはどう感じるか?」と問いかけてくるようで良かった。
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Posted by ブクログ
石井光太『こどもホスピスの奇跡』新潮文庫。
2016年、大阪市に誕生した日本初の民間小児ホスピス『TSURUMIこどもホスピス』を巡るルポルタージュ。
読んでいて、悲しくなるというよりも、胸が締め付けられて、苦しくなるような非常に重い話だった。
余りにも短い人生を最後の最後まで懸命に生きようとする子供たちがいる。自らが不治の病に冒され、余命幾ばくも無いことを知らずに人生の最後を迎える子供たちがいる。そして、その子供たちには悲しみを堪えながら、子供たちのために尽く続ける家族も友だちもいる。勿論、こうした子供たちを懸命に支える医療関係者やソーシャルワーカーもいる。その事実を思うと、打ちのめさ -
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ネタバレ教育者を目指しており、子どもが抱える様々な問題について理解を深めたく、こちらを購入。
事例を中心に書かれていることから、想像しやすくとても読みやすかった。心が痛み、涙が出た場面もあった。
虐待は決して許されない。しかし、育てられない親がいるというのは現実かなり多く、ニュースでもよく見かける。
教育者を目指す上で、そのような環境下の子どもの変化にいち早く気づき、関係機関と連携をとり、子どもを危険から救いたい。
虐待される子どもがどのような感情を抱き、どれほど傷ついているのか、私は体験していないから分からない点がほとんどだ。でも、子どもの話をよく聞き、寄り添い、自分にできることは全力でしたい -
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名もなく懸命に生きる人々の話。
「辛いこともあったけど、楽しいこともたくさんあった。今の若い人たちは食べものにも住むところにも困らないから、分からないだろうね」の言葉が衝撃。
世の中が豊かになって、たいていの人間は頑張らなくても死ななくなった。食べものも住むところにも困っていたときは働くことが生きることに直結していたけど、今は生きていることには困らない分、働くことの意味を感じにくくなってるんだろう。
でも「昔は大変だったんですねェ」で終わらせてはならない!
この作者さんのいうとおり、今の世の中だって簡単に死なない分複雑な悩みは尽きないんだ。
状況が違ったって、人間って部分は同じなんだから学べ -
Posted by ブクログ
石井光太『本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式』文春文庫。
小学生から大学生を対象にした貧困に関する講義をまとめたノンフィクション。
日本の賃金は先進国の中で唯一、年々低下している。その上に増税が重くのし掛かるのだが、日本政府は社会保障費を削減し、年金支給額も減額し、防衛費という名の軍事費は増額するというのだから狂っている。カルトの旧統一教会と創価学会に操られている与党の自民党が国民をさらに困窮させ、より国民を洗脳し易くしようとしているとしか思えない。
世界は7億人以上が、日本でも6人に1人が貧困にあるという。貧困の連鎖から脱け出し、希望に満ちた未来を手に入れるためにはどのように生