石井光太のレビュー一覧

  • 育てられない母親たち

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    世の中にはまだまだ親の愛情をたくさん受けることができていない子どもが沢山いるということがわかった。発見されている分でもすごい件数なのに、発見されていない家庭もあると思うと、目も開けられないほど、悲しくなってしまう。
    もっと沢山の世の中の人たちが日本にこんな現状があるということをしっかり理解して日本全体で支えていけるようになっていけばいいと思う。

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    2021年07月12日
  • 地を這う祈り

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    これほど心に強い衝撃を覚える作品はなかなかない。
    僕たちが蓋をしたまま無関心でいる世界の現実を、現場からこれでもかと突きつけてくる。
    悲しすぎて、苦しすぎて、身を引き裂かれるようだ。
    1ページ1ページ、めくるのがつらい。
    知っておくべきでは足りない、経験しておくべき作品だと思う。

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    2021年06月08日
  • 夢幻の街 歌舞伎町ホストクラブの50年

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    さすが石井光太。ホストの見方が変わりました。愛田会長が0から1を産み、零士さん、高見翔さん、森沢拓也さん、香咲真也さん、手塚マキさんが1を100にした。0-1も1-100も運と努力と時代ですね。
    大魔神佐々木の奥さんの話が突然ぶっ込まれてホント驚いた。この波の中にいたんだね。愛田会長の相続問題の中に突然高岡早紀の兄が突然ぶっ込まれたのも驚いた。

    そして最後のコロナ禍のホストの話も面白かったなぁ。店や従業員を守るためにやったこと。歌舞伎町という町と共存していく様とか、まさに進行形だもんな。以前の社会にはもう戻らない未来にホストがどう変容していくかが興味深い。しかし、ウチの娘には行かせたくないぞ

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    2021年03月31日
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)

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     年端もいかぬ小学生、恐らく10歳にもならない子が煙草を吸っている。
     そんな衝撃的な表紙とタイトルに惹かれ、購入。一気に読みました。

     私も、1970年代生まれの筆者と同世代。戦後世代です。生まれた時から戦争の雰囲気は周囲にありませんでした。学校や親から、戦争はよくないとか、食料の大切さをアフリカの難民等を引き合いに出して諭されてもピンときませんでした。頭では理解しますが実感・共感できない。

     今、親となり子供を育てるにあたり、平和の有難みや食べ物の大切さを、空疎ではない言葉で語ろうとした時、このような本を読ませたら実にリアリティをもって子供に伝わるのではないかと思いました。それくらいビ

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    2021年03月06日
  • 虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか

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    ネタバレ

    凶悪な事件を起こす位なら、虐待されて死んでしまった方が酷い目にあう被害者を出さずに済んだので、その方がいいんじゃないかって思わされる程の衝撃的な内容だった。
    特に兵庫県高一リンチ殺人事件は、そう思わざるを得ない気持ちになるくらい気分害する事件だった。読んでても加害者達の更生の価値なし。
    親は選べないし、その親から生まれたという事実も変えられない。どうにもならない。中途半端な感情なら誰も助けることが出来ない、それが現実と突きつけられた虚無感の1冊

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    2021年03月05日
  • 虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか

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    非行少年少女の置かれている「厳しい現状」を更生施設や更生過程にある少年少女(元を含む)への取材も交えながらつまびらかにする一冊。

    「厳しい現状」には親からの虐待のようなものから、友人・社会環境の悪さ、本人の能力的な問題、そしてなにより手を尽くしても「そうそう簡単に更生はできない」という現実、そんな多岐にわたる「厳しさ」が明らかにされる。
    そして「加害者の被害者的側面」だけではなく、厚生施設側の立場、そして「そんな加害者の被害者家族」の思いなど、いろいろな立場から見た「加害者」の見られ方も取り上げる。

    こういう問題を扱い本の中ではかなり救いのない方の一冊。でも、だからこそ納得する部分は多かっ

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    2021年02月17日
  • 育てられない母親たち

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    これの反対に「育てられない父親たち」が読みたくなっ た。育てられない母親よりも相当な数がいると思うので。
    両親揃ってまともに子育てしてれば虐待なんてそもそも起こらないと思う。作者が取材した養護施設に預けられてる子供が全員片親なことが現実なように。

    元々生来の気質から「死にたい」と精神的に弱っているケース以外は救いようがあるけど、これは救いようがないのかなと思ってしまった。実親がどんなに頑張ろうとその方の精神は一向に病み続けているらしいので。

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    2021年02月06日
  • それでも生きる ──国際協力リアル教室

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    貧困だからって、遊びたいし虚栄心も射幸心もある。自分の意思を持って、与えられた環境の中から最善を目指して判断している。始終心を殺して機械のように労働しているわけでもない。
    強制労働も売春も児童婚も、貧困に比べれば楽しい人生だと本人はノリノリな場合も全然ある。

    「世界の子どもの何分の何がが飢えています。悲惨でしょう?」等とデータで言われるより、実在の人物の生々しいエピソードでよく伝わる。
    ちょっと伝わりすぎて辛くなるくらい。

    そして(いつも通り)問題が複雑であることを感じる。

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    2021年01月01日
  • 43回の殺意―川崎中1男子生徒殺害事件の深層―(新潮文庫)

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    石井光太『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』新潮文庫。

    プロローグを読んだだけで物凄く陰鬱な気持ちになる非常に重たいノンフィクションだった。読みながら、こんな悲惨な事件があったことを思い出した。

    2015年2月20日の未明、多摩川の河川敷で事件は起きる。3人の遊び仲間の少年にカッターナイフで全身を43箇所も切り付けられた上村遼太君は全裸で最後の一滴の命を振り絞りながら草地を這い、助けを求める。犯人の3人の少年たちの理不尽な殺害動機……

    4年前に別れた元夫婦の失った子供を巡る冷戦……

    全ての歯車が狂い、被害者の父親は加害者少年たちに強い殺意を抱く。しかし、これは当たり前の感情

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    2020年12月25日
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)

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    この時の孤児がシワの刻まれたお爺さんお婆さんになっているのかと思うと不思議でならない。
    戦争の実態を知れば知るほど自分はわがままで甘い人間だなとつくづく思い知らされた。毎日を生き続けるってこんなにもしんどいものなのかと当たり前のことを思い知らされた。与えられた命震わせながらがむしゃらに生きなきゃな。

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    2020年08月27日
  • 育てられない母親たち

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    一つ2つではなく多くの理由で子供を育てられなくなる人がいることがわかる。

    親だから産んだから愛情が湧くものではない。
    母性は作られるもので、備わってはいないことを理解しなければせっかく生まれる子供を守れない。
    男女問わず目を通してほしい本といえよう。
    問題はそこしれなく、ひろがりもみえない。
    人間がこれからどうしなければならないのか、考える時期に来ているのかもしれない。

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    2020年08月09日
  • 世界「比較貧困学」入門 日本はほんとうに恵まれているのか

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    相対貧困と絶対貧困の比較

    日本が該当するほとんどは相対貧困である
    我々が貧困と聞いて想像するのが絶対貧困の方

    この両者においての差異をさまざまなパースペクティブから読み解いたのが本書だ。

    本当にいろいろなことを考えさせられる。

    世界比較貧困学入門
    絶対貧困(一日1.25ドル以下での暮らし・発展途上国)⇆相対貧困(単身所得が150万円以下・先進国)
    世界では6人に1人が絶対貧困
    日本は6人に1人が相対貧困

    住居における貧困
    絶対貧困 貧困が地区としてしっかりと区切られている(例スラムなど)→分離型都市
    相対貧困 同じ地区に収入の異なる世帯が混在している→混在型都市

    教育における貧困

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    2020年07月30日
  • 遺体―震災、津波の果てに―(新潮文庫)

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    震災直後の岩手県釜石市の遺体安置所で様々な形で遺体と向き合った人々の記録。
    これほど読みながら胸が苦しくなるのは初めてかもしれない。途中で読むのをやめようかと思ったが、使命感のような気持ちで読み終えた。
    事実のみが淡々と綴られている。だからこそいかに壮絶な現場だったのかが伝わってくる。登場する人物はみな地元の住民であり、彼らもまた被災者なのだ。
    もっと早くに読むべきだったのかもしれないが、今更でも報道だけでは知ることができなかった事実に向き合えたことには価値があるはず。
    人の尊厳とは何かを示してくれる傑作ノンフィクション。

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    2020年06月30日
  • 遺体―震災、津波の果てに―(新潮文庫)

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    最初に手にした絶対貧困を読んで以来、機会があれば読みたいと思っていた著者の本を手にしたのは本書で2冊目です。

    阪神淡路大震災を震源地に近い県内で体験し、震災直後に最も被害の大きかった地域にボランティアとして訪れ、手の空いた時間で近隣を歩き言葉を失った。

    戦争を知らない世代ではあるが、戦地とはきっとこんな感じなのだろうと思えるぐらいの衝撃を受けた。

    そして2011.3.11。

    阪神淡路大震災は発生時間が夜明け前でもあり、夜明けと共に被災状況が明るみになってきたが、東日本大震災は違う。

    リアルタイムでTV画面を通して映し出される被害。

    世界中が息を止めた迫りくる巨大な津波と飲み込まれて

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    2020年05月31日
  • 遺体―震災、津波の果てに―(新潮文庫)

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    新型コロナが世界的に流行してるせいか、生死について考える時間も多くなり、長く積読していたこの本をようやく手に取ることが出来ました。

    釜石市の遺体安置所で、震災当初から奮闘していただいた様々な方々を時系列に、そしてリレー形式で書かれているので、非常に読みやすい本ではありました。

    私自身、母親であるので、やはり子が亡くなるケースは涙無しでは読み進めることができませんでした。
    私は被災者ではありません。だからこそ、当時の事を思うと軽々しく感想など言えません。
    ただ風化はさせてはいけないと、強く再認識させられました。

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    2020年05月06日
  • きみが世界を変えるなら 言葉を武器に変えて

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    子供の頃に出逢いたかった。そして、あと数年したら子供と読みたいと思いました。小学校低学年でも読みやすいのではないかな。

    悩みを抱えた子供たちへ、それぞれのケースにロールモデルとなるような人たちを紹介しながら、どう乗り越えたかを教えてくれます。

    思ってるだけでは何も変えられない。言葉に出して、発信して、伝える。それが、言葉を武器に変えるということ。具体的に言葉が武器となって、夢を叶えた人々の物語には本当に勇気づけられます。

    どうか、悩める子供たちにこの本が届きますようにと祈らずにはいられません。

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    2020年03月23日
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)

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    「浮浪児たちの人生から生きることの意味を考えることは今の私たちに必要なはず」。著者の問いかけにうれしそうに微笑む元浮浪児の男性。
    戦争を経由し様々な理由で親と別れて上野に集まった子供たち。なんとか食いつなぐ道を見つけ、たくましく路上で生き残っていく者たち。
    そんな子供たちを引き取り、育てあげていく「愛児の家」の石綿きたよさん。1人、2人の子育てに四苦八苦している現代から考える時。子供好きで世話好きなキャラクターに思いが巡らされる。
    その娘さんや「愛児の家」の卒業性へのインタビュー。昔を思い返す時の感慨はいかばかりか。

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    2019年12月21日
  • 虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか

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    石井氏の書籍はいずれも取材が丁寧だ。少年犯罪の被害者家族・加害者そしてその治療環境をバランス良く問題提起まで含めて記してある。

    矯正施設を出所した後の居場所作りをどうやって作っていくか? そこが一番の問題になるんだろうけれど、そのヒントとなる部分にも触れてある。

    読むと思わず重い溜息が漏れるほどに絶望的な内容が満載なのだけれど、これが現実なのだろう。

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    2019年12月01日
  • 虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか

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    子を持つひとりの親としては、加害者の背景を少しは理解できつつも、許すことはできないと思う。
    一方で、ひとりの人間として、加害者本人ではどうしようもなく事件を起こしてしまった場合もあり、加害者本人に罪を負わせたところで解決するものではないと理解した。

    本書は、事件の加害者、被害者、加害者の更生に関わる人々、それぞれの側から背景や心情、取り組みが、とてもとても丁寧に書かれている。

    本書で、加害者が更生期間を終えて戻ってきたとき、受け入れる側が受け入れなければ、また同じことの繰り返しになってしまうため、受け入れる必要はある。一方で、その対応が被害者の家族を苦しめる、という記述がある。
    せめて加害

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    2019年10月14日
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)

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    朝ドラのなつぞらを思いながら読みました。社会の貧しさやひずみの一番の犠牲になるのは、弱い存在である子供たち。

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    2019年08月18日