石井光太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ本書では、所得格差、職業格差、男女格差、家庭格差、国籍格差、福祉格差、世代格差という7つの格差がどのように生まれるのか、その格差によってどういうことが起きるのかが書かれている。「16歳からの〜」とあるだけあって、言葉もわかりやすく大人でも頭に入りやすく、幅広い年代におすすめしたく、また幅広い年代が読んで知る必要のある内容に思う。
私自身、犯罪に手を染めてしまうのは自業自得では、と少なからず思ってしまっていたので、そうではなく、周りの環境からそうせざるを得ないこと、そこから脱することができるのはほんの一握りだということがよくわかった。周囲の人たちが、自分たちの行動で犯罪や被害を減らせると理解することが何よりも大切だと感じた。
また、正直、格差があったとして、それが自分に対してデメリットとなるとは思っていなかった(=つまり、他人事)。もちろん、見返りがあるから格差をなくそう、という考え方が良いとは思わないが、格差をなくすことが、現在そして未来に日本に生きる人たちの利益になることがわかれば、動く人も増えるのではないか。
「福祉格差」
特にこの章を読んでいて、二つの別の作品を思い出した。
①『ミステリという勿れ』
シェア金沢という、大きな土地で障害児、高齢者、大学生が一緒に暮らせる街の話を聞いた時、この作品を思い出した。
2巻では、認知症の人だけが暮らせる村(「ホグウェイ」という村がオランダにあるらしく、その村にはスタッフと認知症の方しかいないらしい)が紹介されている。認知症の方の徘徊は社会問題となっているが、村の中にはバスがないバス停があることで、しばらくバス停で待っていることで満足して家に帰っていくそう。『ミステリと〜』を読んで、こんな村は素敵だな、と思っていた。全くの素人知識だが、認知症は記憶障害や見当識障害などを含む(と私は理解している)ので、実際に日本にも似たような街があるとは知らず、素直に驚いた。障害を持った人を限られたコミュニティに閉じ込めるのではなく、高齢者などと交流の場を作ることで、双方にとっていい影響があることは想像に難くない。もっとこのような街が広がっていけば良いと思う。
②『初恋、ざらり』
私にとって苦手な作品ではあった。ただ、本書にもあるような”知的障害のある女性が風俗にむかってしまうプロセス”がわかりやすい作品。今まで表に出てこなかった格差がこのように漫画などの読みやすい媒体で出てきて世間で広まることで理解が進み、それが(私含め)格差を埋める行動につながれば良いと切に願う。 -
Posted by ブクログ
「いま、国を動かしている政治家、実業家、あるいは発言力のある有名人を考えてほしい。彼らのうち、どれだけの人たちが日本で起きているリアルを知っているだろうか。
彼らの大半は格差社会の中で超エリートのレールを歩いてきた人たちばかりだ。そんな人たちが教育格差の底辺にいる子供の気持ち、夜の街で働く女性の気持ち、外国籍の不就学児童の気持ち、虐待を受けた障害児の気持ち、ひきこもりの気持ちをどこまで理解できるだろうか。それが難しいからこそ、抜本的な解決策を打ち出せないでいる。」
性別、世代、国籍、…さまざまな観点からの格差社会を描かれ、ティーンエイジャー向けに書かれているのでわかりやすく、かつ涙が出るほど胸が苦しくなるような現状ばかりだった。
自分自身の苦しみを説明するほどの語彙力を持ち合わせておらず、ごはんが食べられない、食べ方すらもわからない。置かれた状況から自分の力だけでは抜け出せず、毎日生きるので精一杯の人たちは何もアフリカのような途上国だけではない、日本国内にこんなにも存在してるなんて、どれだけの人が想像つくだろうか。
今起きている事に真剣に向き合い、負のスパイラルを止めるのは私たち若い世代の動きなくしては実現不可能だと思う。 -
Posted by ブクログ
原爆が落とされた広島を復興した男たちを描く。
人からバカにされ、自身が放射能に汚染されながらも原爆投下直後から瓦礫を収集し、どこに原爆が落とされどのような被害だったのが研究した長岡省吾(広島平和記念資料館初代館長)や、記念公園の設計に携わった丹下健三、公園の設置に向けて予算獲得や土地確保に奔走した浜井信三広島市長、原爆によるケロイドに苦しめられた高橋昭博らの活躍が紹介されている。
広島平和記念資料館では、「アメリカが憎い」といった恨みを後世に残すのではなく、人類として平和を追求するという、全世界共通の理念を人類による過ちを露骨に示すことで、今一度見つめなおす。本書を読み、生きてる間に一度は広島に訪れたいと強く思った。 -
Posted by ブクログ
太平洋戦争の戦災孤児。
空襲などで焼け野原になり、家族を失った孤児たち。
インタビューを通じて、その当時のことを洗い出したルポ。
上野「ノガミ」に集まってくる孤児たち。
寒さをしのぐため駅の地下道に集まり寝る場所もないなか過ごす。トイレに立ったら自分の場所はなくなる。
上野の繁栄は、闇市。
テキヤ、ヤクザ、愚連隊の暗躍。生活のためのパンパン。
彼ら、彼女らは、戦災孤児にやさしい。
孤児たちを手なづけたスリの親分は、金持ち。
戦中よりも戦後がより厳しさを増す。
戦場から兵士が戻ってきて人口は増えるのに、農作物などの生産は減っており、輸入も滞るなか、物資不足が発生。戦中に助けてくれた人々にも余裕がなくなっていく。
そんな過酷な中、子どもだけで生きていくことの悲惨さ。
戦争は戦場だけではなく、生活する弱者も徹底的に苦しめる。
孤児院に保護されても、そこでは食糧不足している中、朝から晩までの労働をさせられる過酷な環境が多かったという。
皆、施設に入らないように抜け出て、路上生活に戻る。
今現在の概念から想像できる範囲を大きく超える状況。
筆者がインタビューで掘り起こしたところに大きな価値を感じる。
後半は、女手一つで運営した「愛児の家」を中心にインタビューされる。
資金もない中、孤児たちのために奔走するママさん(石綿さたよ)。
その信念に感服。
子供たちがいまだに施設を運営している。
元孤児のその後も多種多様。
成功した者、アメリカに行ったもの、行方知らずのもの。
元浮浪児へのインタビューの以下のフレーズが印象に残った。
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「あの時代に上野で生きた子どもはみんな、生きることへのがむしゃらさを持っとったわ。俺みたいな浮浪児は弱かったから、そうやって生きていくしかなかった。それが良いことにもなれば、悪いことにもなるけど、学もなければ、体力もない俺たちにはそれしか生きる術がなかった」
上羽の言う「がむしゃらさ」には様々な意味があるにちがいない。
「若い人は、がむしゃらっていうのは格好悪いと思っとるのかもしれんね。でも、本当はそうじゃない。人が生きるっていうのはしんどいことなんやわ。しんどいことの連続。次から次にに大変なことばっかりやってくる。やで、人間はがむしゃらになんなきゃ、それを超えていくことができんの。その時に必要なのは、仲間への信頼や、へこたれない心なの。それが大切なんやわ」
私は話を聞きながら、これまで元浮浪児たちから聞いた話を思い出していた。上野の町で、子どもたちは生きるためにあらゆることをしなければならなかった。仲間との助け合い、窃盗やスリといった犯罪、施設の大人たちへの抵抗、パンパンへの愛情……そこには良いことも悪いこともすべてひっくるめた、地べたを這いつくばるようなむき出しの人生があった。
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