石井光太のレビュー一覧
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こどもにも守られるべき尊厳があって、意思決定する権利がある。 自分から声をあげることができない難病のこどもたちの心に寄り添い立ち上がった医師や看護師、多職種の人たち、自分と、自分と同じように闘病生活を送る友のために声を上げたこどもたちの記録。
感動なんて言葉では軽すぎる小説などのフィクションでは感じることのない気持ちになった。
「深く生きる」とはどういうことか。
家族や友達と過ごす何でもない時間がどれだけ尊いものなのか。
自分側の立場から押し付けてしまう良かれと思うことではなく真に寄り添うとはどういうことなのか。
答えがでないことについて色々考えるきっかけとなった。 -
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17歳を対象にしているため、非常に分かりやすく読みやすい。17歳は遠い昔であるが、読んでよかった。大人も読むべきだと思う。
まず、日本における相対的貧困、世界における絶対的貧困について。日本国民の1/6が貧困層であるということ、世界には7億人が絶対的貧困に陥っているという事実。
貧困と犯罪が密接に結びついていることが、いくつかの例を挙げながら述べられていて、とても分かりやすかった。まともな教育を受けられなかったり、自己肯定感が著しく低下した結果、悪い大人たちに騙されて犯罪に走る子たちがなんと多いことか。また、私たちがこのような貧困を「無関心」により放置した結果、増税や犯罪増加などそのしっぺ返しを受けていることも書かれている。
さらにはいまだに衝撃的で記憶に残っている川崎の中1男子生徒殺害事件を例に挙げて、貧困と孤立、犯罪の関係を紐解く。
貧困とセックスの関係についても、詳しく解説されている。貧困だけではなく虐待など(性的虐待、教育虐待含む)から居場所をなくした女の子たち。自暴自棄になった彼女たちが辿り着くセックスとドラッグは密接に関係している。
こういう子たちが自暴自棄にならずに前向きに立て直していくためには、周りの善い大人たちの手助けが必要だ。
昨今のニュースを見ていると、善いお面を被った鬼畜もいるので、どこを信頼していいのかわからない・・・と諦め半分の気持ちになりつつも、やはりどこかで著者の言葉「人々の無関心は核ミサイルと同じくらいの暴力だ 」を意識して、自分には何ができるかを考えていかなければならないと思った。 -
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ネタバレ「国語力を育てることって成果主義とは真逆で、目に見えないものなんです。」(p.129)
ここで言う国語力とは、言語力、思考力、判断力、想像力、表現力、調整力…という学問(教科)以前の、学ぶための力で、いわゆる教科としての国語力はその先のにあるものだと私には思われる。
学校では教科を教えることがメインで行われているが、それ以前の学習するための力をつける活動が意識されることは、よほど開明的な教師でもなければまずない。
やらなければいけないことを終わらせるだけで精一杯だからだ。全体のテストの点数が低かったらその学習は失敗なのだ。
今井むつみ著『学力喪失』では、遊びや体験の中で正しいスキーマを身に付けさせ、言葉が生きた力にならないと、学ぶ力は発揮できないことを学んだ。
国語力=学ぶための力とは、テストの点数を取らせることを目的とした教育だけでは身に付かないということだ。
根本からひっくり返さなければならないということじゃないか。ぼやぼやしてたら100年はかかる。 -
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危機感。この本を読み進めて行って最初に思い浮かんだ感情だ。そしてそれは最後の方まで続く。だからこそ文章量は多いが読み進めなければいけないという想いに駆られ、思いのほかすらすら読める。
危機感の正体は、(世界の情勢はよく知らないが)日本はこのままどうなってしまうのだろうか、という思いだろう。SNSによる短絡的なコミュニケーションによって、要らぬ対立ばかりが起きて、益々世界が分断される。不幸の量が多くなる。子育て世代としてこの本を読んで本当に良かった。世界を良くしていくために教育はとても重要な要素であり、もしかしたら唯一の解決策なのかもしれない。先進的なAI技術でも無く、人はやはり人なのだから、根本的なコミュニケーション能力、つまり他人を理解する努力、他人と協力しようとする努力、忍耐力、様々な根源的な能力こそが最も大事である。いつかGACKTがツイートしてしたコミュニケーションについての文章を思い出した。あれはとても本質的なことを言っていたな。大人になってもずっと国語力を鍛えていかなければいけないと思った。それは自分の人生、周りの家族の幸福に繋がっていく。皆がそれをやれば世界だってよくなるのではないだろうか。そんなことを思った。
取りあえず、子どもは私立に行かせたくなった。国の偉い人たち、どうか教育にお金を使ってくれ。 -
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リアル本にて。
センセーショナルなタイトルだが、決して釣りではなく、今世の中で起こっている危機を適切に表現していると、読み終わった今、思う。
本書では「国語力」という言葉を、「単純に情報として文章を読める能力」ではなく、「1つの物事の前に立ってじっくりと向き合い、そこから何かを感じ取ったり背景を想像したりして、自分の思考を磨き上げていく力」としている。
その「国語力」が低下したことによって、子供たちが国語の授業で、文脈に対して驚くような誤解をしてしまっているケースが、複数紹介されている。その誤解の内容は、あまりにも衝撃的で、子供がいる身としては、とても悲痛な気持ちになった。
私自身、2003年に高校を卒業したため、本書によると、国語力が下がり始めている世代に合致する。学生の6年間塾講師をしていたため、すくなくとも当時はすぐ下の世代とのやり取りは比較的あったと思うが、そのような危機意識はまったくもっていなかった。定量的に測れるものではないため、自分とギャップがあって初めて気付けるものであり、近い世代を見ても気付けないのであろう。
家庭・教育現場・政治、どこかひとつだけで解決できる話ではないし、個々人にできることは限られているかもしれない。でも少なくとも自分は自分の子供に対して本書で語られているような家庭の問題が生じないようにしたいし、これらの問題の対策に積極的に動いてくださる教育機関・政治家を選択することで、間接的にでも解決に貢献していきたいと思った。
子供がいる人、子供・若い人と関わることがある人、いや、全人類に読んでほしい。 -
Posted by ブクログ
自分の感情を言語化することの重要性を身に染みて感じることができた。
犯罪を犯したり、いじめしたりする人たちのことを哀れに思う自分がいたが、これまで生きてきた環境がその行動に与える影響が大きいことを実感した。
そのような人を見下して自分は立派だと考えたこともあったが、ただ自分が生きてきた環境が恵まれていただけなんだと思う。何も誇れることではないのかもしれない。
悪い家庭環境を作る両親もどうかと思うが、彼らにもそうする理由があるわけで、その悪い循環を絶ちきるためにも子供たちへの教育が重要であると感じた。
自分は教育に携わる立場にはならないだろうけど、子供ができたときにはこの本を思い返してたくさん話を聞いてあげて、色々な経験をさせてあげたいと思う。
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Posted by ブクログ
まさか本を書く"技術"を読んで泣くとは!
本を書くつもりはないけど、読みやすいレビューを書く参考になればと思い読み始めたら、マーカーだらけになりました笑
※ここから先に残酷な描写があります※
もう10年以上前に読んだ石井さんの本で、インドの超貧困社会では、ストリートチルドレンがより稼げるよう、腕を切られたり目を潰されたりしてしている(見た目が可哀想な方が稼げるから。)という実態があることを知った
そんなの絶対許せないすぐやめさせないと義憤に駆られたけど(多くの人がそうだと思う)、本を読み進めるにつれ、圧倒的に残酷な現実の前に、そういう正しさは傲慢な押しつけになり得ることを学んだ
あの時の衝撃は今でも身体が覚えている
この本を読んで、石井さんもその時の取材中に同じ葛藤を経て本にしていたことを知った
本で繋がる不思議な邂逅哉
『取材は自分の価値観を裏付けるものではなく、むしろ破壊するために行うものだという覚悟を持たなければならない。自分の常識や価値観を壊すために、インタビューをするべきなのである。』
I never imagined that The Technique of Writing Books would be the thing that made me cry the hardest this year! lol
I don’t plan to write a book myself, but I thought it might help me write clearer reviews, so I started reading it—before I knew it, the pages were full of highlights.
※From here, there’s a cruel depiction※
More than ten years ago, I read one of Ishii-san’s books, where I first learned about the harsh reality in parts of India’s extreme poverty: street children being maimed—having their arms cut off or their eyes put out—because the more pitiable they looked, the more money they could earn.
When I learned that such things really happened, I was overwhelmed with indignation: This is unforgivable, it has to be stopped right now. (And I’m sure many others felt the same way.)
But as I kept reading, I came to understand that when faced with such overwhelmingly cruel realities, that kind of righteous anger can actually become an arrogant form of imposition.
My body still remembers the shock of that realization.
And I learned that Ishii-san himself went through the exact same inner conflict during his reporting, and turned that into his book.
What a strange and fateful encounter, connected through a book. -
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「生まれくる子供に家庭を選ぶことはできない。その一方で、国や社会にはどんな子供をも不適切な環境から守る義務がある。」
支援を受けることを拒む家庭こそが、真に支援とつながりを必要としているのだということを、改めて強く感じられる本。
児童養護施設や、児童自立支援施設など、社会的養護の支援機関に、一定数反社会的組織を身内に持つ子どもたちがいるのだろうと想像すると、その運営の困難さが想像される。児童相談所なども、ヤクザの家庭には介入しづらい(拒まれる)のだろう。
ドラッグという身体的快楽と結びつきやすいところも、反社会組織や犯罪がなくならない、そして問題を複雑化させる原因なのだなということもまた、強く感じた。
親がヤクザ等で、子どもが困っているときに、祖父母が手を差し伸べるが、過剰に厳しく躾をしたり勉強させたりすることで逆に子どもが反発する、という事例がいくつかあった。やはり、子どもに必要なことは、まずその子どものありのままを受け入れるということなのだろう。 -
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とっても面白くて学びが多かった。教育虐待について全然知識がない者にとっては、読みやすい文章で書かれている上、虐待が脳に与える影響から、発達障害と虐待の関連性、虐待を増加させる原因となった教育制度・社会背景までテーマも幅広く、点と点が繋がる感覚で非常に勉強となった。おすすめ。
自分の受けてきた教育(学習塾の先生からの過度な干渉)が虐待未遂だったこともわかって、腑に落ちて救われた思いもした。
ストレスは思っていたよりずっと精神疾患に繋がりやすいのだということ。甘えや怠けではないこと。
精一杯勉強をしてエリートコースを歩む以外にも、得意なことで手に職をつける方法があるということ。もっと自由になっていいんだということ。
非行少年、少女たちへの関わり方。
日本の詰め込み教育や受験制度、学習塾への疑問。
勉強を休んでも、ブランクは本人の気持ち次第で簡単に埋められるから安心して休んで、休ませて大丈夫なこと。
全然授業に行かず一見怠けているように見えるが、でもどこか辛そうな大学の友人への関わりかたのヒントにもなった。
机上の空論ではなくきちんと実社会に根付いており、さすがは多くの取材をしてきた人だと思った。 -
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本を書く技術
取材・構成・表現
著:石井 光太
出版社:文藝春秋
本を書くために必要なテクニックを学ぶための、数少ない書である
そして、その本とはノンフィクションが中心である
人生を変えるほどの衝撃を与える作品を書くために必要なのは、取材力、構成力、表現力の3つだ
もっとも、ノンフィクションを書きたいわけでも、それで儲ける気もないのですが、すばやく1冊の本を書けるぐらいの力、長文を書く力はほしいものだとはおもって手に取りました。
ノンフィクションならではの、いろいろな仕掛けがほどこされていて、なるほどと思いました。たのしかった。
やっぱり、文章って奥が深い。言葉って、ある意味恐ろしいと感じました。
■テーマ
本を書くためのテーマは、新鮮さと、著者の熱量である
作品の主要な登場人物のほとんどが、敗者、弱者、脇役、つまりマイノリティである
■取材
場所を選べ、相手のテリトリから離れた空間から連れ出し、外部の目を完全に遮断し、一対一で話を聞く
取材の準備 ①下調べ、②取材対象の選定、③質問の作成
■ストーリー
大ストーリーは、1つであるが、小見出しごとに、小ストーリーが複数ある
目線と、距離感
■記録:ノート術
ICレコーダーよりも、メモ(ノート)を重点におく
ノートは、見開き1頁をつかう:左と右とは違うことを記録する
左側に取材で聞いたことを書く
右側に、それ以外のことをメモする
左側に話しの中から見出した小ストーリーを書き、グループ分けする
右側には話題で出てきた以外のことを全部書く
違和感を大事にする 外見、しぐさ、話し方、環境、五感 等々
矛盾をそのまま、矛盾として記録する
■構成
執筆を始めるまでに、作品の全体図のイメージを固め、章立てをある程度細かく決めておく必要がある
三幕構成にする
①設定、事実
②対立・葛藤、体験
③解決、意味の変化
取材で得た小ストーリーを取捨選択する
使えるものは残し、使わないものは捨てる
テーマをよりシンプルに浮かび上がらせて、読者にとって、読みやすい構成とする
1つの事象を複数の登場人物の目線から描いて見せる
ノンフィクションの型
①謎かけ型
②英雄の旅型
③人物伝型
④体験記型
⑤群像劇型
⑥社会派エッセイ型
⑦社会問題検証型
⑧資料駆使型
⑨証言集型
ジャンルを意識する
ミステリ、SF,恋愛、青春、冒険、時代、ファンタジー、ホラー等
■書き出し
冒頭の型がある
①決意表明型
②前日譚型
③後日譚型
④衝撃シーン型
⑤象徴シーン型
⑥分岐点型
⑦内省型
風景人物心理描写
方向性と論理的な言葉で提示
事実を客観的に並べる
質の高い文章表現とは
万人に伝わること
文章にリアリテイがあること
テキスト以上の世界を読者に想像させること
五感
ミクロの視点の描写 細部を描くことでリアリテイを追求する
結論、判断、解釈を読者にゆだねるように終わる
①情景描写で終わる
②問いかけで終わる
③To Be Continued で終わる
■推敲
3つのタイミングがある
①小見出しを書き終わった段階
伝えたい内容が適切な順番で書かれているか
②各章を書き終わった段階
複数の小見出しが相関性をもって章としてまとまっているか
③1冊を書き終わった段階
細かな表現の修正
目次
はじめに
書きたい人のための時代
ノンフィクションの基本法則
国語力を表現力へ昇華させる
第1章 テーマの“空白地帯”を見つける―多彩な世界をどう切り取るか?
作品の命脈としてのテーマ
大テーマの”空白地帯”を見つける
代表的な五つの切り込み方
事実の再発見
マイノリティの法則
マスメディアのアキレス腱
書き手にとって必然性はあるか
第2章 「取材力」を身につける―心の言葉を引き出す関係構築術
エネルギーの集まる空間にゆく
取材依頼の雛形
取材にはベストタイミングが存在する
異なるコミュニティーの案内人を探す
話した方が得だと思える状況を演出する
インタビューの可否を握る最初の5分
書き手は当事者であり、伝達者であれ
空間がインタビューの質を左右する
「聞く力」から「聞き出す力」へ
第3章 個の「ストーリー」を共有する―自分自身の常識を覆そう
取材で何に着目するべきなのか
下調べのメリットとリスク
ノンフィクションにおける「点と線」
自由な発言に潜む意外性こそが鉱脈
取材によって自分の価値観を破壊する
大ストーリーを構成する複数の小ストーリー
相手と同じ目線で世界を見る
相手との距離感
表現が得意な人と不得手な人
共同作業としての言語化
ヤノマミの嬰児殺し
第4章 “脳を活性化”するノート術―何をどう記録するか
記録の取り方は臨機応変に
手書きの四つのメリット
私的ノート術
象徴となる”違和感”を見つける
矛盾を矛盾のまま書き留める
現場ならではの”言い回し”に耳を澄ます
嘘を嘘のまま受け止める
第5章 「構成力」で本は決まる―型の力を借りよう
一冊を書き上げるイメージとは
作家たちの書き進め方
大ストーリーを作る基本構想
小ストーリーの刈り込みと整理
ノンフィクションの主な型
テイストとしてのジャンルを意識する
作品にゴツゴツした手触りを入れる
多彩な表現形式を駆使する
時間軸から解き放たれる
別視点の章をいかに組込むか
物語に引力をつける多視点法
第6章 「見上げて」「驚く」ライティング術―書き手の視座で表現は激変する
フィクションの書き出し、ノンフィクションの書き出し
プロローグに必要な二つの要素
冒頭の「型」
書き手は全知全能の神ではない
ジャーナリズムにおける目線
ジャッジは禁物
リアルタイム・ドキュメントに徹する
著者は腹を切れ
虐げられている人ほど見上げる
第7章 五感描写、キャラクター造形法―作品に命を吹き込む文章表現
質の高い文書表現とは何か
優れた文書は五感に訴える
複数の感覚を使い分ける技術
人物の中に相反する要素を見つける
キャラクター造形はデフォルメより抑制
キャラクターは過去によって特徴づける
言葉を超えた「言葉」を書く
家出少女の「大丈夫」の裏にあるもの
言葉を超越する「言葉」
第8章 作品の社会性を掘り下げる―圧倒的なカタルシスを生む
評価される作品とは
作品に社会性を与える
テクニックのメリットとデメリット
身体性と人間性
ラストシーンとカタルシス
負の物語には負のカタルシスを
奥深さを作るための推敲
社会的評価を意識すべきか
デビューへの道のり
新人賞はドラフト1位
現実に与える影響の責任を負う
あとがき
参考文献
ISBN:9784163919133
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:1600円(本体)
2024年10月30日第1刷発行