【感想・ネタバレ】こどもホスピスの奇跡(新潮文庫)のレビュー

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重い病の子供たちにたとえ短くとも、深く生きてもらえる場を作った方々が「白い巨塔」の舞台である阪大医学部をルーツとしていることが驚きだ。
幸い私の子供たちは、今のところ健康に過ごしているが、この本を読んで年老いた両親に優しくしたいと思った。

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2024年05月14日

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子供の不治の病は子供の未来はもちろん
いままでの努力までも奪い理不尽である
また子供も幼くて病気が理解できなかったり
両親の希望で病名告知されずに
なんで辛い治療をしないといけないか
家族や医療従事者に不満をぶつける

少しでもこのような施設が増え
子供、ご家族の心のケアができる事を祈ります

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2024年04月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

非常に良かった!生きるとは何かを考えさせられる良書。

難病の子供たちの困難から、さまざまな家族の姿や海外の先進事例に学び、小児ホスピス創設に至る医療・保育関係者たち。

盲目的に苦痛をもたらす治療を強いるのではなく、患者の人生によりそい、短くとも人生をよりよく生きることに向き合うためにどうするかを考える。その奮闘の姿はすばらしく、日本初の小児ホスピスの草創譚としても読みごたえがある。

海外に専門知識を学びに行った関係者たちも、また、シンポジウムで共鳴して仲間が増えていく様子も素晴らしい。が、さらに印象的なのは、エピソードに出てくる短い生涯を生きた子供たちだ。それぞれ個性があり、魅力的・印象的である。

(誰しも長く生きたいのはもちろんではあるが)必ずしも生の長さだけに価値があるわけではなく、短くとも精一杯素晴らしい思い出を作り、満足することが、本人や周囲の幸福感のある生につながってゆく。18歳までの短い生涯であっても、社会を変え、周囲にも多くを与えながら精一杯生き、周囲に何かを残し、今も皆の中に生きている青年もいる。わずか4歳でもたくさんの思い出を持って旅立っていった子がいる。幸福とは、人生とは、ということを何度も考えずにはいられない。

本書を読み、まったく世界は異なるが、以前読んだ『夜と霧』の世界観に共通するものを感じた。「今いる場所は本来の場所ではなく、ここから出たら本当の自分の人生が始まる」のではなく、「今、ここ」なのだ。病を得ていても、不本意な場所で今日明日の生がどうなるかもわからない中でも、私たちは今、ここに生きる。苦しい病との闘いや、短い生のなかでも、人間らしく幸福に生きることができた事例が本書には記されており、長生き=幸せという一面的な価値観を転換してくれる。(もちろん長生きできればそれに越したことはない。ただ、たとえそうではなかったとしても、幸せでなかったとは言い切れないのだ。)

そして、その幸福を周囲が手助けすることもできるのだ。ささやかなアルバム、大好きなキャラクターからのメッセージ。ピクニック。ささいなことでも、大きな幸せを生み出す。抗えない短い生に対して何もできないと無力感を持つのではなく、小さなことでも力になれるエピソードが紹介されている点にも、勇気づけられる。

本書では幾多の子供たちの短い生涯が記されるが、その生は関係者にも影響を与え、その後の子どもたちの療養に生かされ、親族の記憶にも残り続ける。生は個人のものであるが、かつ、リレーのように社会に継がれていくものでもあることも感じた。

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2024年03月28日

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こんなふうに死を前にして懸命に生きている、私と同じくらいの子や、それよりも下の子供たちがいることは理解しているつもりでしたが、まったくもって分かっていなかったんだとこの本を読んで思いました。
辛い日々を過ごしながら生きる子供たちのその姿が、鮮明に描かれる度に泣いてしまいました。
定まってしまった死の前にその子ども達をできる限り幸せにしようと、そのために動く大人がこんなにも沢山いたんだと、そのために努力をしているひとびとがいるんだと、本当にありがたいような気持ちになりました。

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2024年03月12日

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 タイトルに「奇跡」とあるが、「軌跡」としたほうがふさわしいと思われる。本書は日本で初めてのこどもホスピスの設立に携わった医師、看護師、保育士、患者家族らの記録である。

 通常の成人用のホスピスは、終末期の患者を看取る場である。子どものホスピスの場合は、難病の子どもたちが短い期間であっても治療の場から離れ、家族や友人たちと笑い合い、障害忘れえぬ思い出をつくるための「家」としての場である。

 話の展開上、治療の甲斐なく亡くなった子どもたちのエピソードが出てくる。読んでいて涙が止まらなくなってしまった。

 特に、冒頭で登場する中学生の女の子と、その初恋の相手の高校生の少年の話は胸が詰まる。二人とも阪大病院に入院していたので、ちょっと「愛と死を見つめて」を思い起こしたりした。(古いですが)

 高校生の少年は、成績優勝で剣道をやっていて明るくて気配りができ、リーダーシップもあり皆に慕われていた。病棟で中高生の会を作ったり、入院中の高校生への学習支援を訴え、市長に手紙を出したりもした。医学部進学を目指し、勉学に励んでいた。センター試験は、文字通り最後の力を振り絞って挑んだ
。しかし10日後帰らぬ人となる。通夜だけでも千人の弔問客が訪れたという。
 
 少女は少年の制服の第2ボタンを約束をしていた。彼の母親はボタンを渡すときに言った。「これで、うちは姑やわ。… 頑張って生きてな」
 そしてまもなく、ポスピス設立のプロジェクトが始動した。

 百年生きても人生。十年生きても人生。「人生」に変わりなしだ

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2024年03月01日

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何年か前に40日間入院した時、中庭で3〜4人の幼児がカートの乗せられ、楽しそうに散歩してる姿を何度も見た。大人でも我慢できない辛さがあるのに、あんなに小さな子達も闘病してるんだなと思うと涙が出た。この本に登場する子供達の強い意志には驚かされる。私にも何か出来る事はないか、改めて考えさせられる1冊。

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2024年02月23日

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心が震える、というのはこういうことなんだなと、随所で感じられた一冊。「感動」などという言葉では軽過ぎる。

どんなに手を尽くしても亡くなってしまう幼い命。
患者や遺族から向けられる無念の思い。

どれだけのプレッシャー・ストレスを背負いながらの仕事なのだろうと、ただただ頭が下がる思い。

そしてその重みに負けず、理想とする小児医療の実現に向けて、様々な困難をひとつひとつクリアしていく。
使命感・責任感・真摯さ・優しさ、あらゆる面で尊敬の念しかない。

彼らの歩んできた道のりを読んで、自分がどれだけ甘えた考えで日々の仕事に取り組んでいたのか、反省。

今日と同じような明日が来ることは当たり前じゃない。
今元気でも、いつ病気や事故に見舞われるか誰もわからない。
だから、日々を一生懸命に、他人に優しく、仮にいつ死んだとしても、後悔の少ない生き方を心がけようと思った。

今年、間違いなく出会えてよかった一冊。

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2023年08月29日

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大阪に こどもホスピスが、在るとは知らなく
幼い子供達の健気な様子と家族 それを取り巻く色々な人々の交流
本当に 子ども達に優しい社会に 弱者に優しい社会になって欲しい。全国に拡がっていってほしい。機会があれば ボランティアで関われたらと思いました。

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2023年07月26日

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誰かの力になれる大人たちが、人生を終える子どもたちの手を取る。奇跡なような優しさだけど、それを世界中で続けている人たちがいる。それがとても嬉しい

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2023年07月24日

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ホスピスと聞くと最後に死を迎える場所と思ってしまうが、全く違う場所だった。
友として寄り添う、死のあり方について考えさせられる本だったし子供たちが時にホッとできる家、そんな構想で練られたホスピスがUNIQLOが携わって建設されたとは。素晴らしい本でした。

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2023年07月21日

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当たり前の生活を経験する、残された時間をよりよく生きる。
特別な事ではない事をするために、多職種、立場が違う大勢の人達が、その願いを叶えるために奮闘します。
生きるって何なのか、子供達が教えてくれます。

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2023年06月17日

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★★★★
今月4冊目。
命の短い子供のためのホスピスを作るまでの話とそこに関わってきた子達の話。
いやーたまらん。
ホントいくら憎たらしくても元気であってくれ

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2024年01月18日

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日本初の民間小児ホスピス誕生について書かれたノンフィクション。
簡単に感動したとか言ってはいけないと思うが、心に沁みました。同じような施設が、もっと増えるといいと心から思う。

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2024年01月10日

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ホスピスとは死に向かう場所ではなく、深く生きるための場所である。

子どもは、ひとりで闘病しているというより、治療の中で家族の愛情が感じられることに喜びを見出している。

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2023年10月08日

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大阪にできた日本初のこどもホスピスの誕生物語。
死にゆく場所ではなく、子どもがその子らしく生き生きと過ごせる場所を目指し、設立されたTSURUMIこどもホスピス。何度かテレビの特集などでその存在は知っていたが、これほどの苦労があって設立されたのだと知り感動した。
設立に携わった人たちの行動力と志の高さに、頭が下がる。思いはあっても実際に行動することには大きなハードルがあるけれど、一歩踏み出して飛び込んでいった彼らには尊敬しかない。

本の中には数々の病気のこどもと家族のエピソードが載せられていたが、病気や年齢、家族構成は違えど、どれも精一杯生きてきた証であり涙が止まらなかった。

短い人生であっても、どのこどもにも『生まれてきて良かった』と思って欲しい。子どもの家族にも『この子に会えて良かった』と思って欲しい。

私は言うだけで何の力にもなれないのだけれど、同じようなホスピスがどの子にも身近なところにあるような社会になるといいと思った。

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2023年09月06日

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 本書表題は『こどもホスピスの奇跡』ですが、日本初の民間こどもホスピス設立に向けた「これまでの軌跡」と「これからの希望」の記録です。
 こどもホスピス‥そこは、死にゆく場・看取る施設ではなく、短時間でも治療を離れ、笑い合って普通の子としての時間を生き、生涯忘れえぬ思い出をつくる場であり「家」なのでした。

 命に限りのある子どもたちの、尊厳を守ろうとして闘った人たち。厳しく悲しい状況に、読み進めるのが辛くもありましたが、その奮闘・奔走ぶりに敬意を表します。
 また、真の意味で、「子どもに寄り添う」とはどういうことなのか、考えさせられる一冊でした。
 とりわけ、登場する難病の子どもたちの描写は、涙なしには読めません。短くとも深く生きたその命の輝きを見るとき、こどもホスピスの存在意義が際立ち、必要性が増します。
 
 こどもホスピスを全国に普及させるため、こども家庭庁が2023年度中に初の実態調査に乗り出すのだそうです。ネックはやはり資金不足や制度面の不備なんでしょうね。
 欧米では寄付文化が背景にあり、こどもホスピスが数多く存在するそうですが、日本では各地で設立を目指す動きが出てきたばかりのようです。

 私たちが、まずは難病の子供たちが置かれている状況を知り、社会的支援を広げていく必要性を痛感しました。
 そのためにも、多くの方に読んでほしい本です。

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2023年05月28日

Posted by ブクログ

ホスピスと聞くと、どうしても死を看取る施設だと思ってしまうけど、そうじゃなくて、
闘病頑張ってる子たちが,ほんの少しの間、安らぐ場所であると言う考え方でできた、大阪の鶴見にできた施設のお話。
それが出来るまでいろんな人がかかわって、
いろんな子どもの闘病や、死や,看取り、いろんな想いがあって、そしてようやく完成した。
そして、完成してもゴールじゃなくて、
そこでどう子どもたちと向き合うか、についても四苦八苦する。

うちの子はすぐに退院できる病気だったが(今も通院してるけど)ここにでてくるとある病院にお世話になった事がある。たまたま、クリスマス時期で、クリスマス会も参加した。普段は鍵のかかった病棟であまり他の患者さんとかかかわることがなかったが、そのクリスマス会でたくさんの病状の子どもや保護者を垣間見た。そして、その子たちの目がキラキラしてて、クリスマス会を心から楽しんでる様子は忘れられない。
長く病院にいる子たちにとって、世界がベット周りだけなのは辛い。(プレイルームもあるけど、あまり利用されてなかった)
終末医療だけでなく、こういうシステムが日本にもっと普及すればいいのにと思った

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2023年06月10日

Posted by ブクログ

友として寄り添う。すばらしい考え方に基づき運営されている施設。自分の平凡な日常があたり前でないこと、日々の生活に感謝することにあらためて気づかされる。

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2023年05月18日

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