石井光太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ非常に良かった!生きるとは何かを考えさせられる良書。
難病の子供たちの困難から、さまざまな家族の姿や海外の先進事例に学び、小児ホスピス創設に至る医療・保育関係者たち。
盲目的に苦痛をもたらす治療を強いるのではなく、患者の人生によりそい、短くとも人生をよりよく生きることに向き合うためにどうするかを考える。その奮闘の姿はすばらしく、日本初の小児ホスピスの草創譚としても読みごたえがある。
海外に専門知識を学びに行った関係者たちも、また、シンポジウムで共鳴して仲間が増えていく様子も素晴らしい。が、さらに印象的なのは、エピソードに出てくる短い生涯を生きた子供たちだ。それぞれ個性があり、魅力的・印象 -
Posted by ブクログ
タイトルに「奇跡」とあるが、「軌跡」としたほうがふさわしいと思われる。本書は日本で初めてのこどもホスピスの設立に携わった医師、看護師、保育士、患者家族らの記録である。
通常の成人用のホスピスは、終末期の患者を看取る場である。子どものホスピスの場合は、難病の子どもたちが短い期間であっても治療の場から離れ、家族や友人たちと笑い合い、障害忘れえぬ思い出をつくるための「家」としての場である。
話の展開上、治療の甲斐なく亡くなった子どもたちのエピソードが出てくる。読んでいて涙が止まらなくなってしまった。
特に、冒頭で登場する中学生の女の子と、その初恋の相手の高校生の少年の話は胸が詰まる。二 -
Posted by ブクログ
石井光太『近親殺人 家族が家族を殺すとき』新潮文庫。
近親殺人をテーマにしたノンフィクション。
7つの家族内で起きた殺人事件を通じて、日本の様々な問題と家族の在り方を浮かび上がらせる。読んでいると、7つの事件は全て心に重たくのしかかって来る。いつ誰の身にも起こり得る事件なのかも知れない。
日本では、殺人事件の認知件数は1954年の3,081件をピークに2013年には1,000件を下回り、近年は800件から900件台で推移しているが、家族内を主とした親族間での殺人事件の件数は、ここ30年ほど400件から500件台と変わらず、割合としては5割強と高くなっていると言う。
介護放棄。介護放棄 -
Posted by ブクログ
これは若者に向けて書かれた本だが、とても良い本だと感じた。所得格差、職業格差、男女格差、家庭格差、国籍格差、福祉格差、世代格差と具体的な例を取り上げて説明してくれる。基本的に同じことを言っているのだが、ある世界にどっぷり浸かっている人間は、それ以外の世界にいる人を理解しないというか理解できない。それゆえに教育の欠落や心無い周りの態度で、多くの犯罪が生まれている中、ただ対象に理解のない非難の言葉を発するのみ。そういう人たちの偏見が、社会により深刻な闇を作り出している。若者に今、日本で何が起きているのかを知ってもらえることに、この本は注力していく。
最後に若者に3つの提案をする。
1.新しい仕事を -
匿名
購入済み何が正解か
遼太くんを助けるためには何ができたのか、親や教師、周りの人が不登校や非行に走り始めた時から支援を始めても遅いのだと感じた。
こんなことを思いたくはないけど、家庭環境と育つ土地環境は生育の過程に大きな影響を及ぼすことを確信する内容だった。
また、不遇な現実からみんなが目を背けた結果の凄惨な事件だと思う。子どもを授かったという重大なこと、責任意識が欠けている親、地域がら不良少年がいても見て見ぬ振りをする地域の人、学校、、みんな自分のことで精一杯の必死さが、読んでいて辛かった。運が悪かったで済まされていいことではないが、身近に感じるような少年が酷い殺され方をしたこの事件は本当に不運が重なっていた。
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Posted by ブクログ
P101) パチンコ市場は20兆円。遊ぶ人の約半数が年収300万円以下という統計がある。つまり10兆円をお金のない人達から吸い上げているということになる。
競馬や競艇、競輪も然り。
日本のギャンブルはお金のない人たちから吸い上げるお金で成り立っているといえる。
→これは衝撃。お金持ちの娯楽だと思っていたパチンコが実はそうではなかったと。
貧乏人が負けて更に課金するスパイラルに陥る構図が容易に浮かぶようだ。
P120)社会的、ビジネス成功の秘訣は、常に相手の立場を理解しようと努めること。相手の立場からものを考えるようにすること。
P148)〜
17歳でノーベル平和賞を受賞したマララさんの発 -
Posted by ブクログ
心が震える、というのはこういうことなんだなと、随所で感じられた一冊。「感動」などという言葉では軽過ぎる。
どんなに手を尽くしても亡くなってしまう幼い命。
患者や遺族から向けられる無念の思い。
どれだけのプレッシャー・ストレスを背負いながらの仕事なのだろうと、ただただ頭が下がる思い。
そしてその重みに負けず、理想とする小児医療の実現に向けて、様々な困難をひとつひとつクリアしていく。
使命感・責任感・真摯さ・優しさ、あらゆる面で尊敬の念しかない。
彼らの歩んできた道のりを読んで、自分がどれだけ甘えた考えで日々の仕事に取り組んでいたのか、反省。
今日と同じような明日が来ることは当たり前じゃ