石井光太のレビュー一覧
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ネタバレ「国語力を育てることって成果主義とは真逆で、目に見えないものなんです。」(p.129)
ここで言う国語力とは、言語力、思考力、判断力、想像力、表現力、調整力…という学問(教科)以前の、学ぶための力で、いわゆる教科としての国語力はその先のにあるものだと私には思われる。
学校では教科を教えることがメインで行われているが、それ以前の学習するための力をつける活動が意識されることは、よほど開明的な教師でもなければまずない。
やらなければいけないことを終わらせるだけで精一杯だからだ。全体のテストの点数が低かったらその学習は失敗なのだ。
今井むつみ著『学力喪失』では、遊びや体験の中で正しいスキーマを身 -
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危機感。この本を読み進めて行って最初に思い浮かんだ感情だ。そしてそれは最後の方まで続く。だからこそ文章量は多いが読み進めなければいけないという想いに駆られ、思いのほかすらすら読める。
危機感の正体は、(世界の情勢はよく知らないが)日本はこのままどうなってしまうのだろうか、という思いだろう。SNSによる短絡的なコミュニケーションによって、要らぬ対立ばかりが起きて、益々世界が分断される。不幸の量が多くなる。子育て世代としてこの本を読んで本当に良かった。世界を良くしていくために教育はとても重要な要素であり、もしかしたら唯一の解決策なのかもしれない。先進的なAI技術でも無く、人はやはり人なのだから、根 -
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リアル本にて。
センセーショナルなタイトルだが、決して釣りではなく、今世の中で起こっている危機を適切に表現していると、読み終わった今、思う。
本書では「国語力」という言葉を、「単純に情報として文章を読める能力」ではなく、「1つの物事の前に立ってじっくりと向き合い、そこから何かを感じ取ったり背景を想像したりして、自分の思考を磨き上げていく力」としている。
その「国語力」が低下したことによって、子供たちが国語の授業で、文脈に対して驚くような誤解をしてしまっているケースが、複数紹介されている。その誤解の内容は、あまりにも衝撃的で、子供がいる身としては、とても悲痛な気持ちになった。
私自身、2003年 -
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自分の感情を言語化することの重要性を身に染みて感じることができた。
犯罪を犯したり、いじめしたりする人たちのことを哀れに思う自分がいたが、これまで生きてきた環境がその行動に与える影響が大きいことを実感した。
そのような人を見下して自分は立派だと考えたこともあったが、ただ自分が生きてきた環境が恵まれていただけなんだと思う。何も誇れることではないのかもしれない。
悪い家庭環境を作る両親もどうかと思うが、彼らにもそうする理由があるわけで、その悪い循環を絶ちきるためにも子供たちへの教育が重要であると感じた。
自分は教育に携わる立場にはならないだろうけど、子供ができたときにはこの本を思い返してたくさん話 -
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まさか本を書く"技術"を読んで泣くとは!
本を書くつもりはないけど、読みやすいレビューを書く参考になればと思い読み始めたら、マーカーだらけになりました笑
※ここから先に残酷な描写があります※
もう10年以上前に読んだ石井さんの本で、インドの超貧困社会では、ストリートチルドレンがより稼げるよう、腕を切られたり目を潰されたりしてしている(見た目が可哀想な方が稼げるから。)という実態があることを知った
そんなの絶対許せないすぐやめさせないと義憤に駆られたけど(多くの人がそうだと思う)、本を読み進めるにつれ、圧倒的に残酷な現実の前に、そういう正しさは傲慢な押しつけになり得るこ -
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「生まれくる子供に家庭を選ぶことはできない。その一方で、国や社会にはどんな子供をも不適切な環境から守る義務がある。」
支援を受けることを拒む家庭こそが、真に支援とつながりを必要としているのだということを、改めて強く感じられる本。
児童養護施設や、児童自立支援施設など、社会的養護の支援機関に、一定数反社会的組織を身内に持つ子どもたちがいるのだろうと想像すると、その運営の困難さが想像される。児童相談所なども、ヤクザの家庭には介入しづらい(拒まれる)のだろう。
ドラッグという身体的快楽と結びつきやすいところも、反社会組織や犯罪がなくならない、そして問題を複雑化させる原因なのだなということもまた、強く -
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本を書く技術
取材・構成・表現
著:石井 光太
出版社:文藝春秋
本を書くために必要なテクニックを学ぶための、数少ない書である
そして、その本とはノンフィクションが中心である
人生を変えるほどの衝撃を与える作品を書くために必要なのは、取材力、構成力、表現力の3つだ
もっとも、ノンフィクションを書きたいわけでも、それで儲ける気もないのですが、すばやく1冊の本を書けるぐらいの力、長文を書く力はほしいものだとはおもって手に取りました。
ノンフィクションならではの、いろいろな仕掛けがほどこされていて、なるほどと思いました。たのしかった。
やっぱり、文章って奥が深い。言葉って、ある意味恐ろしい -
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ネタバレ子どもを殺した親たちの事件のルポタージュ。
3つの事件のことが書かれている。どれも大きく報道されていたので、私も覚えている。
と思ったけど、二つ目の事件は記憶の中ではかなり曖昧だった。子殺しの事件は他にもありすぎて覚えきれてない。
Case1:厚木市幼児餓死白骨化事件
3つの事件の中でも、この事件は私の中で一番印象が強い。というのも、私も厚木市に住んでいたことがあるからだ。現場近くの様子や厚木市内の様子などの描写は、私の知っているものと重なってしまった。
そして、それとは別でもう一つこの事件を印象付けたのは『逮捕されたのは父親』という点だった。それまでは子供へのネグレクトでの死亡は母親逮捕