あらすじ
DV、ドラッグ、差別、貧困――暴力団の家庭には社会のあらゆる問題が詰まっている。両親は朝から注射を打ちセックスに耽り、クスリが切れた瞬間に血だらけになるまで殴り合う。学校では極道家庭と白い目で見られ孤立し、出自が影響して就職は不可能に近い。ヤクザの血を継ぐ人間は表の世界で生きられないのか。14人の「ヤクザの子」が証言する哀しい半生。「ヤクザ・チルドレン」改題。
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Posted by ブクログ
凄まじい現実。
ヤクザものの映画やゲームなどそれなりにやって来たけど家族の話を考えたことはあまりなかった。自分の生きてきた世界と違いすぎてもはやフィクション。
親や周りの環境に改めて感謝。
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14人のヤクザの子供が自分の生い立ちを語るノンフィクション。
ちょっとでは想像もつかないものだが、ヤクザといえばクスリでセックス、これが連鎖して行くのだとある。子供がそんな環境下で育って行くには足りないものだらけだ。
著者の石井光太さんの他の本も読んでみたくなった。
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「生まれくる子供に家庭を選ぶことはできない。その一方で、国や社会にはどんな子供をも不適切な環境から守る義務がある。」
支援を受けることを拒む家庭こそが、真に支援とつながりを必要としているのだということを、改めて強く感じられる本。
児童養護施設や、児童自立支援施設など、社会的養護の支援機関に、一定数反社会的組織を身内に持つ子どもたちがいるのだろうと想像すると、その運営の困難さが想像される。児童相談所なども、ヤクザの家庭には介入しづらい(拒まれる)のだろう。
ドラッグという身体的快楽と結びつきやすいところも、反社会組織や犯罪がなくならない、そして問題を複雑化させる原因なのだなということもまた、強く感じた。
親がヤクザ等で、子どもが困っているときに、祖父母が手を差し伸べるが、過剰に厳しく躾をしたり勉強させたりすることで逆に子どもが反発する、という事例がいくつかあった。やはり、子どもに必要なことは、まずその子どものありのままを受け入れるということなのだろう。
Posted by ブクログ
【存在する世界】
仲間に教えてもらって読みました。
不謹慎かもしれませんがおもしろかったです。
本人からすればおもしろいとはどういうことだと怒られそうですが、その世界のリアルを感じることができました。
薬は最も手を出してはいけないシロモノですし、育てる気がないなら子供はつくってはいけない。
Posted by ブクログ
映像などでドキュメンタリーを見る事があるけど
この本の内容の方がリアルを感じられた。
それぞれの置かれている立場や
人それぞれの考え方があるけど
あまりにも辛くて途中読み止まる事が何度もあった。
乗り越えようとする者、流れに流される者、
望んでこの親の元に来たわけでは無いはず。
一番怖いなと思ったのは
あとがきに出てくる少年の言葉。
この考えに至るまでに、伝えられる事はないものなのかなと。
Posted by ブクログ
親にヤクザを持った子供たちを追ったドキュメンタリー。映画ドラマに出てくるヤクザは基本的に成功者。子供も贅沢にしていることが多いし、それが現実ではないと知っていたが、想像以上に悲惨。倫理観の欠けた反社会的な両親によってまともな養育を全く受けられず育つ。
少ない例外は金がある、もしくは母親がまともな場合だ。それが稀というのも悲しい。
ヤクザの子も社会から福祉で保護する対象として声を上げていきたいという意義でこの書を書いた筆者に敬意を表したい。
Posted by ブクログ
2025.06.27〜07.01
環境が個人を育てる。親を選べない子供にとって、どこで生まれたのか、誰の子として生まれたのかは、運でしかない。
よくこんなに取材が出来たな。
Posted by ブクログ
作者の方の取材に敬意を表します。
なかなか一般的には、ヤクザの世界の特にその子供がどういう生き様をしていったのか、知ることはできないです。
最初このタイトルを見たとき、なんだか興味が湧き何となく手に取りましたが、詳細の事例を丁寧に取材しとても勉強になりました。
合わせてこの社会問題を何か解決する手立てはないかとも思います。
Posted by ブクログ
想像を絶する世界。
暴力団構成員の家庭に生まれたことで、その後の人生が困難になり、道を踏み外してしまうという悪循環。
さらに、社会も支援しづらいという現実がある。
これを読んでからは、悲惨なニュースを見ても、さもありなんと思ってしまう。
けれど何もできない歯痒さよ。
文庫化にあたり、新潮文庫になったことで組織名を明記することができたそうだ。
少しでも多くの人の目に触れることを願う。
Posted by ブクログ
普通に生活していても、なかなか出会えないヤクザとその関係者。そんな彼らの子供がどのような生活をしてきたか、たいへん興味深く読むことができた。やはり、大半が社会で真っ当に暮らしていくことは困難で、似たような道に進むことが多いようだ。あまりに過激な生活をしている人々なので、衝撃的な内容であった。
Posted by ブクログ
石井光太『ヤクザの子』新潮文庫。
『ヤクザ・チルドレン』を改題、大幅加筆修正。
暴力団の家庭に生まれたが故に様々な苦難を味わう14人のヤクザの子の証言により構成されたノンフィクション。
かなり衝撃的な内容だった。特に覚醒剤に溺れる親を持つ子供の人生は悲惨だ。クスリが切れると血だらけになるまで殴られ、学校ではヤクザ家庭と白い目で見られ、社会人として普通の職業に就くのも困難なのだ。
女の子であれば、レイブや母親にソーブに売り飛ばされたりとさらに悲惨な人生が待ち受ける。
戦前、終戦直後であれば、警察では目の行き届かない裏社会の抑止力となった暴力団であるが、暴対法などが施行され、国家権力による締付けが強化されると事情は大きく変わる。合法的、或いはグレーゾーンのシノギの場はどんどん奪われ、組織の末端となれば、貧困に苦しむことになる。そうなると薬物売買などの非合法なシノギに手を染めざるを得ないのだ。
昔、学校の同級生や先輩で親が暴力団というのが2人くらいは居た。中でも親が暴力団という先輩は一家全員が空手の有段者で、某国営放送のローカルニュースでそれが街の話題として取り上げられていたのには笑ってしまった。まだ暴対法など無い時代の話である。
本体価格710円
★★★★
Posted by ブクログ
文庫本での出版にあたり、単行本の時には伏せられていた暴力団の組織名を実名で掲載されるようになったとのこと。
ヤクザの子を取り巻く環境は想像していた以上に酷かった…。
Posted by ブクログ
タイトル通り、ヤクザの子どもたちにスポットを当てたルポルタージュです。
正直、ヤクザの世界は映画やドラマでしか知らないので、この本を読んで、彼らがどうやって収入を得てるのか、どんな生活をしているのかを知ることが出来ました。
特にその子どもたちについては、総じて精神的にも肉体的にも虐待を受けているのに、ヤクザの子どもだからという理由で公的な支援もなかなか受けられません。周囲の人間も、ヤクザの子と付き合うなと言って避けるのでなかなか支援の手が伸びず、置き去りにされた子どもたちは益々悪い方へ転がっていきます。
ただ、悪循環の中でも抜け出したり立ち直る人もいます。その抜け出せない子、立ち直れない子をどのように救うかという課題を投げ掛けた素晴らしい本です。
特に衝撃だったのは、第3章のLGBTの子の台詞。『友人の家に行って初めて「家族」を知った。ホームドラマのような温かい家庭なんてフィクションの中だけで、SF映画みたいな非現実的なもので、絶対にありえないって。』
自分がヤクザの世界なんて映画の中だけだと思っていたように、彼女にとっては普通の家庭がフィクションだったのだと。
この本が多くの人に読まれて、まずは彼らの存在が知られて、彼らについて少しでも考える人、思いを馳せる人が増えて、少しずつでも彼らの世界が良い方向に変わっていって欲しいと思います。
Posted by ブクログ
全く知らない世界だけど、貧困連鎖のようにヤクザの子はヤクザから抜けきれないのか、と悲しくなる。どうしたらまともに生きていけるのか、と思うが、一番感じているのはヤクザの子だろう。
子どもたちのためにとにかくこの世からなくなればいいのに、と願うのみ。
Posted by ブクログ
ある程度どんな人生を辿るのかは想像できていたが、
その想像を鮮明にさせ、よりリアルになった。産まれた子供たちは、家庭環境を選べない。考え方も凝り固まってしまう。その中でも、必死に自分の人生を進もうとする子供たちもいたが、本当に家庭を選べないからこそ人生で出会う人たちや経験によってしか道は作れないと痛感。もっと目を向ければ、救える人生もあるのではないかと感じた。
Posted by ブクログ
負の連鎖と、よく言われるけれど、こんな家に生まれたらまともに育つわけないよな、という家庭のオンパレード。「なぜ、暴力団の家庭は似たり寄ったりなのか」と、あとがきに書かれているが、本当に、そう。暴力で支配する男。それに魅力を感じる女はだいたい、自身も劣悪な環境に生まれ育ち、だから、子供を持っても責任のある行動はとれず、シャブ中になる。家に居場所のない子供は外を徘徊し、不良の道へ。中にはそんな両親を嫌い、堅気の世界で生きていこうとする者もいるが、環境がそれを許さなかったりする。読んでて辛くなった。