石井光太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ここに書かれている話は徹頭徹尾、グロテスクなものを地で行くのですが、その中に感じる人間の強さや弱さ。はかなさやおかしさを思わせます。
この本はあるWebサイトで連載されたものを書籍化にあたって大幅に改善したものです。内容はというと、世界各国、特に貧困地域でまことしやかにささやかれるうわさや、恐れられている幻、そして霊に関する話などをあつめたかなりグロテスクなものになっております。相変わらず、この人の本は読み手を確実に「選別」します。書いている本人にはそのつもりはないみたいですが。
読んでいて僕がなるほどなぁと思ったのはフィリピンやミャンマーやインドネシアなどで、まことしやかにささやかれる日 -
Posted by ブクログ
2011年3月11日。40000人が住む釜石を襲った津波は、死者・行方不明者1100人もの犠牲を出した。膨大な犠牲者を前に立ち止まることすら許されなかった人たちの記録です。壮絶すぎて言葉がありません。
石井光太さんのルポルタージュは毎回読むたびに心のここから打ちのめされて、ほかの事が一切手につかなくなってしまうことが多いのであまり万人に勧められるものではないのですが、ここに書かれてあることは震災を経た日本人すべてに読んでいただきたい壮絶な記録です。
内容を簡単に申しますと、釜石市でご遺体の収容、身元確認、葬送に当たった人たちへのインタビューを丁寧に積み上げた一冊です。民生委員。歯 -
購入済み
読んで良かったです
最後の、遺族にとって震災の悲しみはいつまでも残るが、身内で亡くなった方がいないうちは、すぐに復興を望む、本当に重い言葉、かつ震災はそういうものだったとつくづく思わされます。
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Posted by ブクログ
小説のようでもある。詩のようでさえある。しかしこれはノンフィクションである。題名の『物乞う仏陀』が示す独特な世界観を以って貧困の世界を描く。
衝撃度でいえば「第8章 インド」がもっとも貧困の闇を描いている。しかし他の章にもぜひ注目したい。「第1章 カンボジア」はさながら「羅生門」のような雰囲気を持つ。「第7章 ネパール」のザグリと少女の話は呪術の持つ「現実的な」効用とともに希望を感じさせる。
特に私は「第5章 ミャンマー」が印象的だった。老婆の感情が瓦解する場面は胸が締め付けられる。現世を否定されることはいまの自分を否定することになる。だから輪廻転生の来世を信じる老婆。やりきれなさを感じず -
Posted by ブクログ
ここに取り上げられているのは、日本国内におけるHIVキャリアの人々のセックスと愛です。このほとの本は全て読んでいますが、初の国内ものです。読んでいただければわかるんですが、重いです。
いま、HIVは治療さえきちんとすれば、死に至る病ではなくなったとはいえ、かならずしも根治しない、と言うのが現代の基本的な知識でしたがいやはや…。毎度のことながらこの作者の書くノンフィクションは衝撃的なものが多いんですが、今回この本で取り上げられている話題は、国内におけるHIV感染者における性愛がテーマです。
実は、この記事を書いている今も、内容が自分の中で整理ができてないです。最初はエイズにかかった同性愛者同 -
Posted by ブクログ
凄まじい。表現し難い衝撃だ。
眼を背けたくなる光景。それが日常に溶け込んでいる事実。紛争や飢饉という非日常ではない。日常である。同じ空間に悲惨さが横たわっているのさえ忘れさせる微笑ましい写真もある。アジア特有のまとわりつく埃っぽい空気感とともに、数々の事実を切り取った写真の価値は高い。
石井氏が自ら語るように、自分の弱さを痛感しながらも使命感から貧民窟を訪問し、写真を取り、文章へ興す。初海外がアフガニスタンというツッコミどころはあるものの、冒頭で語られる少女とのエピソードは彼の強烈な原体験になっている。偽善ではなく問題提起。本書の意義は十分果たしている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレチェック項目15箇所。その夜、漁師たちは信じられない光景を目の当たりにした、見張っていたところ、首都カンパラの方向から軍の巨大なトラックが何台も走ってきた、そして湖のほとりで止まると、軍人たちが荷台を開けた、そこには人間の死体をがぎっしりと詰められていた、軍の処刑によって殺された民間人だった、軍人たちは死体をトラックから降ろし、次々と湖に投げ捨てていく、湖にいた魚たちは一斉にその肉を食いはじめた。東南アジアには赤いバナナが実際に存在するが、こちらは黄色いバナナより一回り大きく、ねっとりして食べ応えがあって甘い。「魚は東京湾に流れた死体を食い漁った。きっとそれがもとで大きくなったり、異常繁殖した