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人食い日本兵の亡霊、「私が産んだの」と乳飲み子を抱くオカマ、奇形児を突き落とした産婆、人間の死体を食い漁る野犬……途上国の地べたに伝わるおぞましい幻想や流言が、貧困地のリアルを露にする。
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Posted by ブクログ
僕らは世の中の出来事について、うわべと理屈だけで本質を理解したような気になってしまって、物事を見誤っていることが多いように思う。石井光太はささいな出来事についても、徹底的にフィールドで調査を行い、そのうえで結論を出すという姿勢を貫いている。その結果、本書に描かれているように、戦争や貧困の本質をも見事...続きを読むんいえぐりだしているのではないかと思うのだ。
ここに書かれている話は徹頭徹尾、グロテスクなものを地で行くのですが、その中に感じる人間の強さや弱さ。はかなさやおかしさを思わせます。 この本はあるWebサイトで連載されたものを書籍化にあたって大幅に改善したものです。内容はというと、世界各国、特に貧困地域でまことしやかにささやかれるうわさや、恐れら...続きを読むれている幻、そして霊に関する話などをあつめたかなりグロテスクなものになっております。相変わらず、この人の本は読み手を確実に「選別」します。書いている本人にはそのつもりはないみたいですが。 読んでいて僕がなるほどなぁと思ったのはフィリピンやミャンマーやインドネシアなどで、まことしやかにささやかれる日本兵に関するうわさ。それはいいものも悪いものも含めてですが、ここに書かれていることが現地の人間の間でまことしやかに今でもささやかれているという事実を知ったときにはなんとも言いようのない複雑なものを感じました。 そして、最後のほうに書かれている現在は復興を遂げたルワンダのかつて起こったフツ族によるツチ族の虐殺事件に関するエピソードで、道端に打ち捨てられた死体を犬が貪り食っていたという話から、その辺に落ちてくる人骨を犬が拾ってくると、かつて自分たちが受けた、もしくはやってしまったことに関する傷跡がまたよみがえってくるということから、犬を棒などで殴るという話が掲載されていて、ルワンダは経済的なところでは復興して、 彼らの中では表面上はあの事件はなかったことにして取り繕っていても、決して忘れることができないという深く、暗い闇の底をのぞき込んだような気がして、なんともいえない気持ちになったことを覚えています。
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