Posted by ブクログ
2012年08月24日
一端の旅人として、ずっと読みたいと思っていた石井光太氏の作品。
古本屋で見つけて、ミャンマーへの旅をするにあたってジャストフィットやと思い、購入しました。
内容としては、アジア各国の街を歩きながら、乞食や障害者などの弱者に対してインタビューを行い、各国の実情を明らかにしていくといったもの。
...続きを読むハンセン病患者の村を訪れたり、町の乞食を食事に連れて行って話を聞いたり、マフィアとの関係を調査したりと、本気のジャーナリストってすごいな、と改めて感じました。
今では日本でも障害者の人権が主張されるようになってきたけど、それっやっぱ経済的に余裕が生まれて、福祉を充実させたり、家計の中で障害ある家族にお金を使う余裕ができてきたからなんやというのを再認識しました。
障害者雇用なんてのも、雇用環境が整ってから実現するものやしね。
経済的に恵まれないアジア各国では、障害を持った子どもが生まれた途端、その家族は不幸になると、みんなが思ってる。
家計が圧迫されるだけでなく、隣人からは迷惑がられるから、人目を避けて生活しなければならない。
さらには、輪廻転生を信じる地域では、傷害の持った子どもが生まれたら、それは両親の悪業が要因だと思われて、村を追われたりする。
そんな不幸の要因とされている障害者は、自ら乞食や露天商になる道を選ぶ。
そんな状況が、もう何十年と続いているのが、アジアの障害者や乞食の現状である。
この作品では、そんな現状を明らかにしているだけで、ほんなら自分たちに何ができるかというところまでは書かれていない。
けど、作者はまず現状を自分が知りたい、そして多くの人に知ってもらいたいという想いで書いているんやと思う。
経済的援助や教育支援ももちろん大事やけど、こういった現実も知っておかなければならないと感じました。