石井光太のレビュー一覧
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ネタバレ最初の一ページから胸が苦しくなる。
ちょっと前まで小学生だった少年が、酷寒の2月の深夜、全裸で体中に切り傷を負い、それでも助けを求めて川から23.5メートルを道路に向かって這っていた。
どうしてそんなことに。
あまりに残虐な事件に、犯人の少年たちへの怒りが込み上げる。
だけど、読み進めるにしたがって、著者が書きたかったのはそれではないことに気づく。
確かに被害者の父親は加害者少年たちに「死刑になってほしい」「一生許せない」と言う。
それは当たり前だ。
けれど、当事者ではない第三者の大人として、それだけに終始していてはいけない。
なぜこのような事件が起こったのか。
止めることはできなかったの -
Posted by ブクログ
ネタバレあとがきに「この物語は、実在の医師・菊田昇の人生に基づいたフィクションです」と書いてあったので「小説」に分類しました。でもほぼ時系列で、菊田医師の子供時代から、医師になった動機、医師として赤ちゃんの命のために奔走した過程、病に侵されながら多くの人の協力で特別養子縁組の制度の成立にこぎつけたところまでを描いているので、ルポルタージュに近い印象でした。
菊田医師は戦時中の石巻で幼少期を過ごした。当時はまだ遊郭があり、母親が経営する遊郭で、遊女に囲まれて成長した。行き場のない女性たち、望まぬ妊娠、危険な民間療法による堕胎などを目にしてきた。
母親は上の兄たちを進学させてやることができず、昇に望みをか -
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石井光太『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』小学館文庫。
数々のノンフィクションで有名な石井光太が綿密な取材により『赤ちゃんあっせん事件』の裏にある真実を描いた評伝小説。
自らの立場が危うくなることも辞さずに新聞に『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』と広告を出した菊田昇医師の勇気たるや。
世の中には誤った法律やルールが多数ある。こうした間違った壁を壊すために費やすエネルギーは並大抵ではないだろう。
1926年、石巻に産まれた菊田昇は、母親が営む遊郭で育ち、遊女たちが味わう厳しい現実を目の当たりにする。母親の強い勧めで医学部に進学した昇は産婦人科医となり、望まれぬ妊娠で命を失う子 -
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ネタバレ本書では、所得格差、職業格差、男女格差、家庭格差、国籍格差、福祉格差、世代格差という7つの格差がどのように生まれるのか、その格差によってどういうことが起きるのかが書かれている。「16歳からの〜」とあるだけあって、言葉もわかりやすく大人でも頭に入りやすく、幅広い年代におすすめしたく、また幅広い年代が読んで知る必要のある内容に思う。
私自身、犯罪に手を染めてしまうのは自業自得では、と少なからず思ってしまっていたので、そうではなく、周りの環境からそうせざるを得ないこと、そこから脱することができるのはほんの一握りだということがよくわかった。周囲の人たちが、自分たちの行動で犯罪や被害を減らせると理解す -
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「いま、国を動かしている政治家、実業家、あるいは発言力のある有名人を考えてほしい。彼らのうち、どれだけの人たちが日本で起きているリアルを知っているだろうか。
彼らの大半は格差社会の中で超エリートのレールを歩いてきた人たちばかりだ。そんな人たちが教育格差の底辺にいる子供の気持ち、夜の街で働く女性の気持ち、外国籍の不就学児童の気持ち、虐待を受けた障害児の気持ち、ひきこもりの気持ちをどこまで理解できるだろうか。それが難しいからこそ、抜本的な解決策を打ち出せないでいる。」
性別、世代、国籍、…さまざまな観点からの格差社会を描かれ、ティーンエイジャー向けに書かれているのでわかりやすく、かつ涙が出るほど -
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原爆が落とされた広島を復興した男たちを描く。
人からバカにされ、自身が放射能に汚染されながらも原爆投下直後から瓦礫を収集し、どこに原爆が落とされどのような被害だったのが研究した長岡省吾(広島平和記念資料館初代館長)や、記念公園の設計に携わった丹下健三、公園の設置に向けて予算獲得や土地確保に奔走した浜井信三広島市長、原爆によるケロイドに苦しめられた高橋昭博らの活躍が紹介されている。
広島平和記念資料館では、「アメリカが憎い」といった恨みを後世に残すのではなく、人類として平和を追求するという、全世界共通の理念を人類による過ちを露骨に示すことで、今一度見つめなおす。本書を読み、生きてる間に一度は広島