石井光太のレビュー一覧

  • 43回の殺意―川崎中1男子生徒殺害事件の深層―(新潮文庫)

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    最初の一ページから胸が苦しくなる。
    ちょっと前まで小学生だった少年が、酷寒の2月の深夜、全裸で体中に切り傷を負い、それでも助けを求めて川から23.5メートルを道路に向かって這っていた。
    どうしてそんなことに。

    あまりに残虐な事件に、犯人の少年たちへの怒りが込み上げる。
    だけど、読み進めるにしたがって、著者が書きたかったのはそれではないことに気づく。
    確かに被害者の父親は加害者少年たちに「死刑になってほしい」「一生許せない」と言う。
    それは当たり前だ。
    けれど、当事者ではない第三者の大人として、それだけに終始していてはいけない。

    なぜこのような事件が起こったのか。
    止めることはできなかったの

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    2023年02月21日
  • 赤ちゃんをわが子として育てる方を求む

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    あとがきに「この物語は、実在の医師・菊田昇の人生に基づいたフィクションです」と書いてあったので「小説」に分類しました。でもほぼ時系列で、菊田医師の子供時代から、医師になった動機、医師として赤ちゃんの命のために奔走した過程、病に侵されながら多くの人の協力で特別養子縁組の制度の成立にこぎつけたところまでを描いているので、ルポルタージュに近い印象でした。
    菊田医師は戦時中の石巻で幼少期を過ごした。当時はまだ遊郭があり、母親が経営する遊郭で、遊女に囲まれて成長した。行き場のない女性たち、望まぬ妊娠、危険な民間療法による堕胎などを目にしてきた。
    母親は上の兄たちを進学させてやることができず、昇に望みをか

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    2023年02月18日
  • 赤ちゃんをわが子として育てる方を求む

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    石井光太『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』小学館文庫。

    数々のノンフィクションで有名な石井光太が綿密な取材により『赤ちゃんあっせん事件』の裏にある真実を描いた評伝小説。

    自らの立場が危うくなることも辞さずに新聞に『赤ちゃんをわが子として育てる方を求む』と広告を出した菊田昇医師の勇気たるや。

    世の中には誤った法律やルールが多数ある。こうした間違った壁を壊すために費やすエネルギーは並大抵ではないだろう。

    1926年、石巻に産まれた菊田昇は、母親が営む遊郭で育ち、遊女たちが味わう厳しい現実を目の当たりにする。母親の強い勧めで医学部に進学した昇は産婦人科医となり、望まれぬ妊娠で命を失う子

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    2023年02月15日
  • 本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式

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    漠然とした世界の貧困事情、サイクル事情がリアルに伝わる。厳しい現実だけど動かないと考えていかないと変わらない。再認識、意識を新たにできる機会になった。既に難しい世の中だけど地域で子供を見守り育てていくことと、その地域の神社を中心に暮らしていくのがいいと思うのと、監視カメラはもはやいたるところにあったほうがいいと思うのと。

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    2023年02月11日
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉

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    所得、職業、男女、家庭、国籍、福祉、世代。あらゆる場面にある格差と分断を挙げ原因と対策を示す。
    困っていない人は社会の恩恵に助けられている人であり、困っている人は助けが届いていない人であろう。未来と希望を若者に託すためにやるべきことを説く。

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    2023年02月08日
  • 育てられない母親たち

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    事例が中心で読みやすかった。
    いわゆる世間の価値観からずれていることを行えば、犯罪となったり、保護の対象となるが、その価値観は本当に当人たちにとって幸せなのだろうか、と福祉に関わっていたときは常に迷っていたのを思い出した。
    何が普通なのか、何が幸せなのか、判断することは厳しいけれども、子どものために、自分の信じる正しいに従って周りが動くしかないのかも。

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    2023年01月24日
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉

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    本書では、所得格差、職業格差、男女格差、家庭格差、国籍格差、福祉格差、世代格差という7つの格差がどのように生まれるのか、その格差によってどういうことが起きるのかが書かれている。「16歳からの〜」とあるだけあって、言葉もわかりやすく大人でも頭に入りやすく、幅広い年代におすすめしたく、また幅広い年代が読んで知る必要のある内容に思う。

    私自身、犯罪に手を染めてしまうのは自業自得では、と少なからず思ってしまっていたので、そうではなく、周りの環境からそうせざるを得ないこと、そこから脱することができるのはほんの一握りだということがよくわかった。周囲の人たちが、自分たちの行動で犯罪や被害を減らせると理解す

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    2023年01月02日
  • 「鬼畜」の家―わが子を殺す親たち―(新潮文庫)

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    こういうのを読むと「明日は我が身」と思う。子育てしていると、些細なことでイライラし、つい強く叱ってしまうことが時々ある。普通はすぐに我に返って落ち着くが、エスカレートして自分でコントロールできなくなると、虐待になる。特に配偶者が同じタイプだと、加虐性が増長してしまうような気がする。全く他人事と思えない。

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    2022年11月24日
  • 本当の貧困の話をしよう 未来を変える方程式

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    貧困についてわかりやすく、読みやすくまとめられています。

    大人の貧困、子どもの貧困、女性の貧困。
    日本の貧困、世界の貧困。

    貧困によって起きてくること。

    暴力。性被害。トラウマの再演。犯罪。
    ストリートチルドレン。児童労働。少年兵。

    そして、人生を切り開いていった人の物語。

    豊富な内容が、ぎゅーっと凝縮されています。
    「貧困」について学び直す、よい機会になりました。

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    2022年11月21日
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉

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    若い人向けに書かれていることもあり、わからない用語が出てくることもなく、とても分かりやすく世界のことについて書かれていた。
    すごく参考になったし、良かった。
    高校生に特に読んで欲しい本だ。

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    2022年10月16日
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)

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    戦後の浮浪児の証言からその実態がまとめてあり、とても勉強になった。
    今の季節はテレビでも戦争のドキュメンタリーやドラマを毎年やっているが、大半は軍の話だったりしている気がする。
    戦争によって失ったもの、すべてを失ってもなお生かされている現実を受け入れざるを得ずがむしやらに生きてきた人がいること。
    これから上野に行くたびにこの本で読んだことをきっと思い出すと思う。

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    2022年08月30日
  • 虐待された少年はなぜ、事件を起こしたのか

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    少年院などを実際に取材しているので勉強になる。
    生育した環境が人格形成に大きく影響しているのだと思う。
    周りの支援があれば、少しは生きやすい世の中になるのかも。
    自分も含めて、正しい知識を持てるようになりたい。

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    2022年08月28日
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉

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    大きい事件をのニュースを深読みすると、その時の容疑者が置かれていた立場や状況がなんらかの形で関わっていることが必ずあり、自分はそんなことしないだろうと思っていてもそれは相手の立場を理解していないから言えることであり、自分は狭い世界で生きてるなと思うことがあります。
    このような社会問題の本を読み何が起きているのかを少しでも知ることができ、日本人としてこれから自分達が何か対策を打たねばならないのではと少し責任感にかられるような思いがあります。
    たくさん勉強して生きづらさを感じる人が少しでも減る社会に変えられたらいいなと。

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    2022年08月25日
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)

    匿名

    購入済み

    戦後何十年と経ち、風化どころか有耶無耶にされそうな浮浪児のことや戦後の日本の有様を、これだけの資料や証言を地道に集めたのは凄い。浮浪児だけでなくパンパン、アメ横、テキ屋、ヤクザ、朝鮮人(←差別的な意味ではなく)等々の歴史を知ることができる大変貴重な一冊だと思う。

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    2022年12月28日
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉

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    「格差社会」と言われて久しいです。

    しかしその格差を身を以て体験していない人
    にとっては、格差とは収入の差なのだろうな
    ぐらいにしか思っていないはずです。

    しかし今は収入の格差どころではないのです。

    米国社会で起きているような「分断」が日本
    でも起きつつあるのです。

    しかも収入の差だけではなく、職業間、男女
    間、世代間などで分断が起きつつあるのです。

    その内容を徹底した取材に基づいて、リアル
    に表現したのが本書です。

    「え?日本って今こうなっているの?」とい
    う不都合な真実を皆が知って、そこから乗り
    越えるべき道筋を説く一冊です。

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    2022年06月17日
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉

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    「いま、国を動かしている政治家、実業家、あるいは発言力のある有名人を考えてほしい。彼らのうち、どれだけの人たちが日本で起きているリアルを知っているだろうか。
    彼らの大半は格差社会の中で超エリートのレールを歩いてきた人たちばかりだ。そんな人たちが教育格差の底辺にいる子供の気持ち、夜の街で働く女性の気持ち、外国籍の不就学児童の気持ち、虐待を受けた障害児の気持ち、ひきこもりの気持ちをどこまで理解できるだろうか。それが難しいからこそ、抜本的な解決策を打ち出せないでいる。」

    性別、世代、国籍、…さまざまな観点からの格差社会を描かれ、ティーンエイジャー向けに書かれているのでわかりやすく、かつ涙が出るほど

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    2022年03月17日
  • 世界の美しさをひとつでも多く見つけたい

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    千葉さんと、赤ちゃんを亡くした夫妻との再会。両者をつなげた石井さんの本の力。
    現場を体験し、当事者となった責任。
    小さな神様、小さな物語が誰にでもある。
    12歳の自分ならどう言うか。
    自分の恥ずかしい部分も出さなくては。

    題名にふさわしい内容。これからも石井さんの本をたくさん読みたい。

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    2022年02月12日
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)

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    戦後の福祉を研究する人間として読んでて良かった本です。浮浪児、パンパンと呼ばれた売春婦、障害児。すべてが戦後にうごめいていて、それらは助け合っていたこと。いずれも戦後の回復過程で、差別されクリアランスすべき対象も捉えられたこと。それらを有機的に理解するために必読だと思います。

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    2022年01月31日
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉

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    自分の知らない世界が存在していることを認識するべき。
    人生のステージが進むにつれ、自分とは異なる階層にいる人達は少なく(見えにくく)なっている。自分のスタンダードが社会のスタンダードではないということを理解したほうがいい。

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    2022年01月09日
  • 原爆 広島を復興させた人びと

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    原爆が落とされた広島を復興した男たちを描く。
    人からバカにされ、自身が放射能に汚染されながらも原爆投下直後から瓦礫を収集し、どこに原爆が落とされどのような被害だったのが研究した長岡省吾(広島平和記念資料館初代館長)や、記念公園の設計に携わった丹下健三、公園の設置に向けて予算獲得や土地確保に奔走した浜井信三広島市長、原爆によるケロイドに苦しめられた高橋昭博らの活躍が紹介されている。
    広島平和記念資料館では、「アメリカが憎い」といった恨みを後世に残すのではなく、人類として平和を追求するという、全世界共通の理念を人類による過ちを露骨に示すことで、今一度見つめなおす。本書を読み、生きてる間に一度は広島

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    2022年01月01日