石井光太のレビュー一覧
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今まで石井さんが取材してきた貧困国のまとめのような一冊。
ユニセフなどの国際機関がが発表している統計上の数字も見せながら、数字だけでは見えてこない一人一人の生活の一部を教えてくれます。
例えば、世界では飢えている人々は約10億人いるといわれていて、途上国で死ぬ5歳未満の子供の3人に1人は栄養不良が原因といわれています。
お腹を大きく膨らませ、目や口にハエがたかっても払おうとしない半分死んだような顔の子供たち。
私たちがすぐに思い浮かべることができる貧困国の象徴のような映像です。
では、死なない3人に2人はどのように生きているのか。
栄養不良のまま膨れたお腹を抱えて、友達と遊び、仕事をし、恋 -
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一端の旅人として、ずっと読みたいと思っていた石井光太氏の作品。
古本屋で見つけて、ミャンマーへの旅をするにあたってジャストフィットやと思い、購入しました。
内容としては、アジア各国の街を歩きながら、乞食や障害者などの弱者に対してインタビューを行い、各国の実情を明らかにしていくといったもの。
ハンセン病患者の村を訪れたり、町の乞食を食事に連れて行って話を聞いたり、マフィアとの関係を調査したりと、本気のジャーナリストってすごいな、と改めて感じました。
今では日本でも障害者の人権が主張されるようになってきたけど、それっやっぱ経済的に余裕が生まれて、福祉を充実させたり、家計の中で障害ある家 -
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電車の中で読もうと本書を開いたけど、そこにはあまりに衝撃的な写真が多数が掲載されており、本を閉じた。
家で改めて読んだのだけど、まさに地を這う人々が生活していた。憐れみを増すため、ワザと身体の一部を切断し、砂を塗りつけ化膿させる子供。蛆や虫が入っていても気にせず残飯を食べる少年。数十円で春を売る障害を持った女。ものを拾って稼いだ僅かな金を現実逃避のためシンナーにつぎ込むストリートチルドレン。
世界は思っているより貧しく、安定していない。ここでは命の価値が明らかに異なる。しかし、あくまで異なるのは他人の命の価値。泥をすすって、残飯を食べて、身体を売ってまで生きようとする彼らは自分の命を我々より -
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ネタバレ日本に産まれ育ったことによって練り上げられた自分の価値観を揺さぶり、再考させる書籍であったと思う。この書籍を読んでの率直な感想としては「私自身は著者と同じような体験をここまでできない」ということだった。吐き気や恐怖すら感じる。自分は国際協力の分野に興味があり、大学院の専攻にもかかわらず。
事実をありのまま伝えていると実感でき、目を逸らしたくなるような記事もある、しかし。なぜか、ページをめくる手は止まらなかった。それは、著者による読みやすい文体での構成とともに、ありのままを写している写真が目に飛び込んでくるからである。
日本人として産まれ育った自分としては想像もつかない生活が他の場所にはあり -
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本書は在日外国人の生活の実態を遺体の冷凍空輸、韓国系教会によるホームレス支援、夜逃げ補償つきの結婚紹介所などから追ったものです。異国の地で生きるということの難しさと彼らの逞しさに心打たれます。
あまりそのときのことは詳しく書くことができませんが、僕は20代の半ばくらいまでに、ここに描かれているような環境に生きる人たちのコミュニティーを覗くこともできれば、彼らの生態を間近に感じる環境に身をおいていたことがあったり、他の方の書いたノンフィクションなどを参考にしながらここにも取り上げられている新大久保界隈によく出没していたので、この本を読みながら彼らの息吹や彼らの生活の『におい』香辛料や、油のに -
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この作者の持つ視点の低さには毎度のことながら驚かされます。この本もまた、場合によっては自分の世界を根底から覆される恐れがありますので、お読みになるときにはその点をよくご理解いただけるとありがたいです。
性懲りもなく石井光太さんのルポルタージュばかりを読んでいる自分がおります。この人の本は、ムチャクチャな世界の現実を描写しているので、読んでいるとだんだん感覚が麻痺してくるんですよね。今回取り上げたこの本の中には『飢餓』や『餓死』が日常と化している中で、人がどのようにして生き、食べ、遊び、そして愛し合うのか?そういうことを詳細にルポにしております。
この本は新書なのですが彼の本ははっきりいって -
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世界で数千万人いるといわれる路上で暮らすストリート・チルドレンと呼ばれる子供たち。主人公のトトはその一人です。かわいいタッチで描かれていますが内容は厳然たるもので、私たちに重い現実を突きつけられます。
僕はこの本の原作を書かれた石井光太さんの本はすべて読んでいて、そのディープな世界に魅了されていますが、今回の本は彼が初めて手がける絵本だということで大変楽しみにしておりました。
主人公のトトは作者の石井光太さんがアジアの最貧国で出会った少年のイメージが組み合わさってできたものなんでしょうね。これは、絵本なのでほかの石井光太作品で特徴的などぎつい話は一切出てきません。しかし、ここに書かれている -
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「日本企業は中国でつくった一番いい製品を欧米に輸出する。二番目にいい製品を、日本へ逆輸入する。そして、最悪の品を中国本土で売る」…etc。海外でまことしやかにささやかれている日本の「うわさ」です。
この本は海外でまことしやかにささやかれている日本人に関する「うわさ話」を海外に取材をすることの多い筆者が見聞きしたものを収録した本です。まぁ、笑えるものから「あながち間違ってはいないよなぁ」、というものまでさまざまあります。こういうところから日本人はいったい海外でどうんなふうに見られているのかを知るというのもまた面白いことだと思います。目次に書かれていることをを少し引用します。
「日本人は、洋服 -
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餓死現場で生きる人たちが直面している様々な問題と、問題が起こる背景を実体験に基づいて語ったもの。
児童労働や売春などは先進国の価値観では許されるものではない一方で、彼らにとって家族が食べていく為の最後の手段だったり、貧困から抜け出せる手段だとしたら、我々はこれらの行為を安易に非難すべきであろうか。単に統計上これらの数字を減らせば良いわけではなく、こういったものに従事せざるを得ない彼らの現実をもっと理解すべきであると感じます。児童労働や売春を単に取り締まるだけだと、彼らはもっと劣悪な労働環境に陥る可能性があり、貧困の根本になっているものを解決しないでは、問題は解決しないと感じました。 -
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いいタイトルだ。
ページをめくるたびにぎょっとした。
普通は写さない、写しても大きなメディアでは報じないようなシーンがたくさんある。
死んだ人、死にそうな人、汚いもの、美しくない障害、とりかえしのつかない怪我、薬物。
たとえば負傷したストリートチルドレンの写真。
上半身裸で頭に路上に横たわり、巻いた布は血にぬれている。
上半身裸なのは舗道が硬くて冷たいから、着ていたシャツを脱いで敷いたんだろう。
怪我をした頭が直接舗道にでているのは、血でシャツを汚さないためなんだろう。
痛いとかそんなことよりも考えなきゃいけないことがある子供がいる。
それは大人も同じことで、大事な家族が死んだって、すぐ