【感想・ネタバレ】ニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死のレビュー

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Posted by ブクログ 2016年03月19日

安心の石井光太クオリティ。今回も面白く読ませていただいた。
日本に住む外国人たちが、どうやって生活をして、何に悩み、苦しんでいるかが感じ取れた。意外なのは東京だけではなく、群馬や静岡といった郊外にも広がっていってるという事。地域の住民との軋轢もあると思うので、移民や外国人労働者の、受け入れが進むとも...続きを読むっと大きな問題になるだろうので、今時点での課題に取り組んでいかないとひどい事になりそうだわ。逆に今取り組み土壌を作ってしまえば後から来る人たちも日本にあわせやすくなるんではなかろうかね?
外国人が死んだ時の移送方法には驚かされたし、そこにも宗教が大きく影響するのだな。
韓国人売春婦は噂ではなくホントだったのね。

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Posted by ブクログ 2012年03月24日

本書は在日外国人の生活の実態を遺体の冷凍空輸、韓国系教会によるホームレス支援、夜逃げ補償つきの結婚紹介所などから追ったものです。異国の地で生きるということの難しさと彼らの逞しさに心打たれます。

あまりそのときのことは詳しく書くことができませんが、僕は20代の半ばくらいまでに、ここに描かれているよ...続きを読むうな環境に生きる人たちのコミュニティーを覗くこともできれば、彼らの生態を間近に感じる環境に身をおいていたことがあったり、他の方の書いたノンフィクションなどを参考にしながらここにも取り上げられている新大久保界隈によく出没していたので、この本を読みながら彼らの息吹や彼らの生活の『におい』香辛料や、油のにおいが主だったかと記憶しておりますが、そんなものが行間から漂ってくるような感じがして、読み終えたあとに不思議な気持ちになったことを覚えております。

実を言うとこの本を読み終わる前にyoutubeにアップロードされた筆者のトークショウのイベントで、この本について語られてある動画を拝見させていただいてから残り半分を読み終えるような感じだったので、後半部に入ったときにはより生々しく、ここに描かれてある事象の数々が頭に浮かびました。内容をざっと垣間見て言うと、日本でなくなった外国人の遺体の冷凍空輸、韓国系教会によるホームレス支援、や果ては夜逃げ補償つきの結婚紹介所など、『日本に住む外国人』のカネ・性愛・そして、死などの事象を追って日ごろわれわれが知ることがないであろう在日外国人の実態を描き出したルポルタージュです。

のっけから頭をガツーンと殴られるような衝撃を受けたのは日本で死んだ外国人がエンバーミング、いわゆる防腐処置を施されて母国へ移送されたり、宗教上での埋葬方法の違いに関する話は以前読んだ『死都ゴモラ』の中にコンテナに満載された中国などのアジア系の人間の冷凍された遺体を船から荷降ろししている場面があって、ここには書いておりませんが、こういうことが『カモーラ』などのような国際犯罪組織などにとっての「シノギ」になるのかなということを連想しながら遺体に関する話を読んでいたことを思い出しました。

さらにはエンバーミングという技術の成り立ちとその発展が描かれていたり、韓国女性が退去して日本の歓楽街でネットなどを活用して『店』を開き、閑古鳥が鳴くようになると潮が引くように地方へと去り、そのせいで地方で昔から営業していた彼らの影響を受けて軒並み潰れていったりするさまや、『売春島』と呼ばれるところでは、現在はいくつもの事情を抱えてかえるに帰れなくなったタイ人がいたりする、という話。新大久保の界隈でホームレスに対して炊き出しを行いながら布教を行う神父と女性ホームレスのエピソードには『支援する側とされる側』という関係というものが描かれていて、自身の経験から『なるほどなぁ。得てしてそういうことはあるもんだな』ということを感じて、しんみりとしてしまったことを思い出します。

そして、章の合間合間にはさまれている「ガイジンに聞け」というショートコラムがなんとも面白く、日本にあるインド料理屋のほとんどはパキスタンやネパール、バングラデシュの人たちが作っていたりすることが多い、という話や中古車を海外に輸出する際の現地人とのネットワークについてのお話は非常に印象深いものがございました。

これを読みながら、現在ではおそらく二度と会うことはないであろうと思われる『彼ら』のことを思い出してしまいました。『異国の地で生きる』ということのしんどさと彼らのたくましさ。その一端を見たこととこの本を読めたということで、自分の生きてきた道が決して無駄ではなかったということを、たった今気づいた次第でございました。

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Posted by ブクログ 2012年03月05日

日本社会のウラ側、もしくは一側面を生々しく映し出している。こういう社会の多様化を忌み嫌う側の人たちも多いだろうが、いろいろあった方が世間は面白い。そんなニッポン社会に向けた心構えを持つ上でも参考になる好著だ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年01月29日

在日外国人の葬式、風俗、宗教などの人間模様について紹介。

目を背けて「なかったこと」にされがちな在日外国人たちの「日常」が いくつも提示されるている。

あとがきの「日本文化はもう日本人だけのものではない」という言葉がとても印象に残った。

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Posted by ブクログ 2019年06月07日

★何かが散漫★著者得意の外国の特殊エリアではなく、日本にある異国を巡る。遺体処理に風俗、宗教と具体的な事例が豊富で読みごたえがあるが、なぜか上っ面に見えてしまう。決してそんなことはないだろうに、どこか一点突破した方が迫力があったのか。宗教を深堀してほしかったかな。

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Posted by ブクログ 2019年04月01日

やっぱりちょっと観点が違うノンフィクション、
さすが石井光太って感じ。
死体の搬送とか知らなかった。
イスラエル人との結婚や病院、占い。
とても面白かった!

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Posted by ブクログ 2016年03月03日

1日20体弱の死体が日本から海外へ運ばれている。棺の内側は金属コーティング(韓国行きのみなぜか木製でも可)。死体とドライアイス類以外は不可(大使館員立会いで確認)。病院の死亡診断書、パスポート、受け入れ国の入国許可書、葬儀社の梱包内容証明書、受け取り人の連絡先、葬儀社のエンバーミング証明書、全て揃わ...続きを読むないと不可。
エンバーミングで12〜20万、ドライアイスや書類作成、人件費を加えると20〜40万、空輸代で10〜60万、空港から遺族自宅までを含めると数百万になることも。
イスラーム墓地では幽霊は出ない(死は最後の審判までの仮眠期間のため)

韓国内での売春規制強化により日本に売春婦が大量流入、価格破壊で日本人、東南アジア人を駆逐。ウェブ広告無店舗型デリバリーの開業をコンサル会社が手助け、激しく画像修正、作っては潰し作っては潰し。ホームレスとの偽装結婚による在留資格延長。
日本のインド料理屋の大半はインド料理を知らないパキスタン、ネパール、バングラデシュ、スリランカによるもの。建築現場や工場で働いていたものの倒産などにより職場を失った人、体力が衰えて転職した人が中心。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年12月21日

各国から日本に来た人々のコミュニティの、日頃意識しない面を見せてくれる。遺体搬送、売春、偽装結婚、宗教、日本人の誤った幻想に基づく商売など。
日本起源の宗教団体が、外国に根を張っている事例も。
「インド料理」店事情が面白かった。

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Posted by ブクログ 2014年09月28日

石井光太氏のことは、東日本大震災後の釜石の様子を描いた『遺体』で知った。その後にアジアの発展途上国の貧困に的を当てたルポを多く書いたフォトジャーナリストであることを知り、いくつかの本を読んだ。

本書は、そのような経験を活かして日本にいる在留外国人についてのルポ。10年、20年前とは経済面での日本の...続きを読む相対的ポジションもずいぶんと時間をかけて変わってきている。インタビューはその歴史を掘り起こす作業でもある。

日本で死んだ外国人の遺体処理の話から始まり、性風俗で働く女性たちの話、結婚ビジネスの話、宗教活動の話、HIV感の話が語られる。彼らにはビザの話が常につきまとう。結婚ビジネスの話や健康保険の話はそこから発生している。特に性風俗に関わる話は、国際情勢や各国特有の事情が垣間見られて面白い。取材も東京に留まらず、群馬、栃木、三重、岡山、大阪など広く、生の声が拾われている気がする。

国際化や移民の受け入れといったことが、少子化問題や景気対策問題で言われるが、ここに書かれているような事情を知っていることも必要なのかもしれない。もちろん、ここに書かれたことはそれらのごく一部であることも。

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Posted by ブクログ 2014年02月02日

2011年の外国人登録者数、約208万人。(長野県の人口と同じ)。東京40万人、大阪20万人、愛知も20万人。このほかに、不法残留者約8万人。観光・ビジネスでの訪日外国人、2010年に860万人(大阪府の人口と同じ。)昨年は1000万人を超えたらしい。

 日本でなくなった外国人を海外に遺体搬送する...続きを読むビジネス。イスラーム墓地。三重県にあるという売春島。イスラエル人の露天商ビジネス。タイ人の占い師。薬売り。霊友会のネパールでの布教。外国人医療。インド式英才教育幼稚園。中古車販売業。インド・ネパールレストラン。日本社会の中に入り込み、その中で生活する人々。

 先週のNHK,今から約20年前にフィリピン人女性と日本人男性との間に生まれた子どもたちが成人し、日本国籍取得のために多数来日している。彼らを狙った詐欺ビジネスが横行しはじめている、、。(ビザ取得代行のために数十万円を請求)

 彼らだけでなく、多くの在日外国人の声がもっと聞こえる世の中になればいい、と思う。

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Posted by ブクログ 2012年03月24日

在日外国人の諸問題を書いたノンフィクション。
普段生活しているうえでは全く知らなかった日本の一面を
垣間見ることができる珍しい本かと。
読後は色々考えさせられました。
ノンフィクションをあまり読まないのですが。これはぐいぐいと引き込まれました。

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Posted by ブクログ 2012年03月17日

異国に住むせつなさとしたたかさ。生身の人間の息づかいを感じる。

ニッポンに住む外国人たちの、通常はスポットライトが当たらない部分に目を向けたルポ。
死後の遺体搬送、宗教、売春、病気の治療などに焦点を当て、外国人たちのナマの姿を浮き彫りにしていく。

多くの事例が紹介されているが、いずれの話も、へぇ...続きを読む、そうなんだと驚くとともに、ああそうなんだろうなと納得がいく。
特に興味深かったのは、韓国系新興宗教のホームレス支援。やむにやまれずいつの間にか宣教師になっている例もあるのだろう。
タイ人の占い師の家が売春をしているタイ女性の一種のコミュニティになっているという話もなるほどと思わされる。
イスラム教では土葬が基本であるが、日本の病院にはその事実があまり浸透していない。イスラム女性が、早産した赤ん坊を祖国に送って埋葬してやれなかったのを悲しむくだりには胸が痛む。

留学生などを除き、異国「ニッポン」の周辺部で暮らす外国人には、往々にして、それぞれの「国へ帰れぬ事情」がある。せつなさを抱えつつ、だが弱者として打ちひしがれるばかりではなく、したたかに生き抜いていく強さもまた持っている。
著者が言うとおり、社会のグローバル化はそうしたところから生じていく面もあるのかもしれない。

驚くのは、なかなか気がつかないような切り口で、社会の周辺部に目を向け、そこへ実際に飛び込んでいく、著者の姿勢だ。彼を突き動かしている「原動力」は何なのだろう。取材した相手と決して同化するわけではないのに、興味を抱かずにはいられない。その大元には「何か」があるのだと思うのだが。
対象の懐に飛び込んでいく行動力と、人々に向ける視線の温かさ。
不思議な魅力のある人である。


*この著者の本を読むのは『遺体』に続き、2冊目。

*コラムとして挟み込まれる軽めの読み物、「ガイジンに聞け」もおもしろい。インド人がいないインド料理屋の話が秀逸。うちの近所には、看板はネパール料理だけれど、ナンやカレーが主になっている店があるよ、そういえば。

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Posted by ブクログ 2012年03月10日

ここ数年、日本国内の閉塞感の裏返しなのか、嫌韓・嫌中を始めとするナショナリスティックな風潮が強くなっているので、この本もそんな内容だったら嫌だなぁ・・・と心配しつつ読んでみたら、全くそうではないので安心した。
著者の在日外国人へのまなざしは、あとがきでの「日本に根付く異文化を見ることは日本の一側面を...続きを読む直視することだし、在日外国人を支えるものは、きっと日本人自身をも支えるものとなるはずだ。私たちはそれを歓迎すべきものとして受け入れ、日本のグローバル化をより豊かで輝かしいものとしていく必要があるのだろう」との一文に顕著である。
著者は1977年生まれ。年齢で一概に人を判断することは出来ないが、まだ30代でありながら、骨太で読み応えのあるルポルタージュ。他の著作も読んでみようと思う。

強いて言えば、サブタイトルの「在日外国人のカネ・性愛・死」が、ちょっと下世話な印象を与えるのが残念。もう少しいいのはなかったのかしら。

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Posted by ブクログ 2012年02月17日

「日本文化はもう日本人だけのものではない」
石井光太の本はどれも外れがなく、新しい視点を与えてくれる。

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Posted by ブクログ 2012年01月16日

日本に住んでいる外国人市民の話では、
亡くなった時、宗教についてというのは、
一般に資料を持たことがなかったので、
著者ならではだな、と興味深く読めました。

面白かったです。

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Posted by ブクログ 2023年02月11日

2023.02.11
アフターコロナの日本において、本書に述べられたような「社会」がどう変わったのかに関心がある。

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Posted by ブクログ 2012年04月17日

書名サブタイトルの通り日本に暮らす外国人の金・性・死を丁寧にレポートしたルポルタージュ。
日本で外国人が亡くなった時どうするか?
宗教的理由で火葬とせず、遺体のまま本国へ送ることを希望する人々は少なくないという。ではその時どのような措置を取り、どれくらい金がかかるのか?
夜な夜なホステス達が集う占い...続きを読む屋でのコミュニティー、韓国からの大量来日により押し出され地方都市を廻るタイ人やフィリピン人達…。
必要以上に取材対象に近づきすぎず、自分の感想も多くを述べない「ノンフィクション」と言うよりは「ルポルタージュ」と呼びたい一冊。
町中で接する単純労働の在日外国人への目線がちょっと変わるかも。

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