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大雪の中、野ざらしの遺体を一人見守る自衛官。娘の生死を巡って激しく口論する夫婦。幽霊が出ると噂のある川原に駆けつける遺族。娘の遺体に遺品の携帯電話を供えて祈る夫婦。土葬した遺体を掘り起こして火葬し、供養する僧侶……。釜石市の遺体安置所に焦点をあて、絶大な評価を得たドキュメンタリー『遺体』の著者が、同作では描けなかった小さな物語をすくいとったノンフィクションが本書です。マスコミが報道してこなかった震災の真実を、つぶさに取材してきた石井光太が、震災の果てに見出した希望とは……。
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Posted by ブクログ
ノンフィクション作家、石井光太氏が描く、今までに明かすことのできなかった『3・11』の『真実』です。圧倒的な破壊があったあとで大手マスコミが取りこぼした話を丹念に掬い取っていると思っております。 ノンフィクション作家、石井光太氏がつづる、『3・11』のこれまで明かすことができなかった『真実』...続きを読むの物語です。百年に一度といわれる圧倒的な破壊のさなか、もしくはその後の世界で展開されていることを、石井氏の筆が時に容赦なく、時に被災した人間に寄り添うように丹念に描かれます。 始まりは石井氏が東京で地震にあったところからです。石井氏の真骨長であるフットワークの軽さで、現地へ新潟から入ろうとします。しかし、それにも一筋縄ではいかないものがあって…。今後に予想される困難な展開を予想されます。 現場に入った石井氏を待っていたものは圧倒的な『破壊』と『死』でありました。震災後に発生した津波が暴力的な力で全てを破壊し、海のかなたへ押し流していった様子や、震災直後の被災地の混迷が描き出され、被災者たちが文字通り全てを失い、情報すらも一切入ってこない中で、石井氏に怒りをぶつけている場面が本当に痛々しいものでした。 現場で石井氏もそこかしこに見たのがあらゆる姿で存在する『遺体』の数々でした。横たわっている、というのはまだいいほうで、木の枝に引っかかっている。または瓦礫の下に埋もれている…。そんな数々の『死』に石井氏の目を通して向き合わされるのです。遺体が見つからずに漂流してしまい、海の底に沈んでしまったままだ、そう投げやりに語る現地の人の言葉がいやおうなしに胸を打ちます。 さらに、震災を報じるマスメディアにも言及がなされていて、仕事のために『個人』としては決してやりたくないこと、できないことを巨大な『システム』の下にやらざるを得なかった人々。ホテルの部屋で同業の人間と食事をともにしながら被災地を取材するというある種の『矛盾』が石井氏の中にあるという思いがあったことを感じたように思います。 その上、被災地でも様々な軋轢が被災者達の間で発生するようになり、遺体が見つかった、見つからない遺族との間で発生した感情の軋轢や、いじめを受けている子供たちが行き場がなくなってしまうという現状。被災地に残って復興を手伝うかどうかで意見が分かれ、別居してしまう夫婦。合間合間にはさまれている壮絶な現場の写真も相まって、本当に胸が詰まりました。 そして最後のほうでは震災から一年後の被災地を描き出し、現地で発生した自殺者が震災でなくなった方と同じ場所に安置されるという話や、身元不明遺体のDNA鑑定の難しさなどが語られていて、遺族が警察の担当者に食って掛かる場面がとても印象に残っております。 今回も石井氏の描くノンフィクションの世界は、その圧倒的な『真実』を記しているので、心から打ちのめされました。マスコミには決して報道されないような被災地の『真実』を丹念に掬い取っていて、本当に読み応えがございました。 ※追記 本書は2015年3月6日、徳間書店より『津波の墓標 (徳間文庫カレッジ い 1-1)』として文庫化されました。
これが現実
あくまでも感想であり 読む人により思いは違うと思います。自分らは報道の一部分しか知らずにいたことの居たたまれなさを感じました。自分が被災者であったとすれば多分同じ感情や行動をとっただろうと考えさせられました。遺体とはまた違った見方ができてあらためて震災のもたらした脅威を感じざるを得ませんでした。
石井光太のルポルタージュは、常に陰陽の陽の部分よりも、陰の部分にスポットを当て、対象の本質を読者に伝えている。この作品も同様で、東日本大震災直後の被災地の陰の部分を隠すことなく正直に描いている。文章という極めて少ない情報量でテレビの報道などよりも、確実に真実を伝えているように感じる。 津波により破...続きを読む壊尽くされた街の描写、行方不明の親族、知人を捜す人びと、あまりにも突然の悲劇に取り乱す人びと、被災地での犯罪、被災者の苦悩と戸惑い… 自分も沿岸部に移住して数年の両親の安否を確かめるために震災の1週間後、可能な限りの食糧や水、生活用品を車に積んで被災地に行った。読んでいて、あの時に見た信じられない被災地の光景が蘇って来た。また、本書に描かれている陰の部分も実際に見聞きした事と重なり、さらに石井光太という作家への信頼が強くなった。 東日本大震災から四年が過ぎたが、被災地の復興は、まだまだ途上である。さらに復興とその先の未来に向かって進むためにも、本書に描かれる震災の陰の部分は決して忘れてはいけない。 同名の単行本に加筆・修正、文庫化。
テレビなどでは知り得ない当時の生々しい状況や人々の混乱を知ることができた。二度とこんなこと起こってほしくない。
著者の別作品の「遺体」では東日本大震災を、遺体の処理を軸に書かれていたが、この作品では、震災をどう乗り越えたかという話のほかに、復興への失敗談なども読めて貴重だった。 避難所でのいじめ、暴力、 被災地での窃盗、 被災者とボランティアの方々との軋轢、無神経にはしゃぐボランティアの方など。 今後またどこ...続きを読むかで自然災害が起きた時のためには、美談よりも失敗談を集めた方が今後の役にたつと思うので、 被災者、ボランティア、野次馬等のもっとトラブル事例に特化した本が出版されるといいのに感じた。
東日本大震災被災地のルポ『遺体』の著者が、書ききれなかった部分を本書に記したものです。 報道されていない「負」の部分が分かります。 きれいごとでは片づけられない人間の感情がひしひしと伝わります。 痛いです。
今までに読んだ震災関係の本はおよそ“良い話”でしたが、本作は影の部分にもスポットが当てられている、という印象。火事場泥棒や、被災者によるボランティアスタッフへのセクハラなど、読んでいて嫌な気分になるところも多々。また、凄惨な現場の描写も読むのがとても辛い。 けれど、どれも目を背けてはいけない現実な...続きを読むんでしょうね。 そうした点で必読感はあるものの、本作の非常に残念な点は、報道する側の人間は時として被災者の意向に反して傷ついた現場の状況を写真に納めたりレポートしなくてはならないことを、「もっと酷いことをしてる(一般の)人がいる」と言い訳していたこと。 そこは罪悪感を持ちつつも、言い訳すること無く使命感を優先させて断行して欲しいところ。言い訳するくらいなら、そんな仕事止めちまえと思っちゃうわけで。
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