あらすじ
「平和な国」に住んでいるだけでは決して見えない子供たちの世界がある。食べるものがなく、教育を受けられず、路上に暮らし、望まぬ結婚を強制され、時には戦力として利用される少年少女。しかし、それでも彼らは力強く生きている――。覚悟をもって、知らねばならない。世界中を自ら旅した著者が放つ「本当の」国際協力入門ガイド。
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Posted by ブクログ
貧困だからって、遊びたいし虚栄心も射幸心もある。自分の意思を持って、与えられた環境の中から最善を目指して判断している。始終心を殺して機械のように労働しているわけでもない。
強制労働も売春も児童婚も、貧困に比べれば楽しい人生だと本人はノリノリな場合も全然ある。
「世界の子どもの何分の何がが飢えています。悲惨でしょう?」等とデータで言われるより、実在の人物の生々しいエピソードでよく伝わる。
ちょっと伝わりすぎて辛くなるくらい。
そして(いつも通り)問題が複雑であることを感じる。
Posted by ブクログ
国際協力に興味があったため読んでみた。
マクロの視点からの支援は一定の効果があるものの、家族単位の貧困による苦しみを増長しかねないことを学んだ。あるNGO団体が児童労働を廃止するよう命令したために、子どもの収入に依存している家族の生活は破綻した、というのがその例である。
国際協力は、現地の人の声を聞くことから始めなければならないと強く感じた。
Posted by ブクログ
「ルポ 餓死現場で生きる」を読んだのは9年前。本書はその改題・改訂版。世界の貧困はそのときよりも改善しているという。「低体重児」「児童労働」「児童買春」「児童婚」「ストリートチルドレン」「子供兵」・・。途上国は何故途上国なのか。日本は何故豊かなのか。それは株式会社のように日本が外国から稼いでいるからではない。生活に必要なものを供給できる力。国内の生産力が物をいう。
「借金まみれの国は金を使うな」
この言葉がどれだけ供給力を棄損してきたか。必要なのはお金ではなく、生産性を高める投資である。この答えは世界の貧困を改善することにもつながる。
「経済成長よりも心の豊かさを目指すべき」経済とは経世済民。経済とは会社が儲かることではない。心の豊かさそのものだ。
多くの誤ったレトリックが貧困を作り出す。著者は記す「自分で何ができるか考えて欲しい」と。間違った言説に騙されないこと。それはすぐにでもできること。1人でも多くの人にそれができれば、世界の貧困は改善する。
Posted by ブクログ
石井光太『それでも生きる 国際協力リアル教室』ちくま文庫。
貧困や飢餓に喘ぎながら、知恵を絞り、我が身を削って、自分のため、家族のために働き、何とか生きている世界の子供たちの状況を伝えるルポルタージュ。
今の日本の子供たちは数字で見る限りはかなり恵まれているのだが、本書に描かれているような過酷な生活を強いられる子供たちが少しずつ増えているように思う。また、近い将来、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の低迷で困窮家庭が増加し、日本の子供たちにも同じような苦難が襲い掛かるだろう。本書を読めば、今の日本を見つめ直す切っ掛けになる。
慢性的な貧困により、まともに教育を受けられず、家族のために危険を承知でありとあらゆる仕事をせざるを得ない子供たち。貧困と飢餓に喘ぐ家族に食べさせるために望まざる結婚を強制される子供たち。路上生活をせざるを得ない子供たち。戦争に巻き込まれていく子供たち。そんな子供たちは大人になっても貧困からは脱け出せない。世界にはそんな子供たちで溢れている。それでも逞しく生きる子供たち……
本体価格720円
★★★★