石井光太のレビュー一覧
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久しぶりの石井さんの本。
貧困についてやけど、その貧困を理由に生じる児童労働・教育・児童結婚と性・ストリートチルドレン・子供兵・エイズについて書かれている。
それぞれ筆者が出会った人たちの個人のストーリーが紹介されるので、自分が思ってたそれぞれの問題が一概に言えないと痛感。
とくに児童労働の話が印象的で、ハッとさせられた。
児童労働と聞くと小さい子供たちが朝から晩まで長時間、低賃金で肉体労働させられて可哀想!と思ってたけど、実際はそうとも言えないなと。
そこで働けなくなったら、本当に餓死しかない切羽詰まった環境。
よくよく考えたら分かる事を気付かされた!
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Posted by ブクログ
「ルポ 餓死現場で生きる」を読んだのは9年前。本書はその改題・改訂版。世界の貧困はそのときよりも改善しているという。「低体重児」「児童労働」「児童買春」「児童婚」「ストリートチルドレン」「子供兵」・・。途上国は何故途上国なのか。日本は何故豊かなのか。それは株式会社のように日本が外国から稼いでいるからではない。生活に必要なものを供給できる力。国内の生産力が物をいう。
「借金まみれの国は金を使うな」
この言葉がどれだけ供給力を棄損してきたか。必要なのはお金ではなく、生産性を高める投資である。この答えは世界の貧困を改善することにもつながる。
「経済成長よりも心の豊かさを目指すべき」経済とは経世済民。 -
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石井光太『それでも生きる 国際協力リアル教室』ちくま文庫。
貧困や飢餓に喘ぎながら、知恵を絞り、我が身を削って、自分のため、家族のために働き、何とか生きている世界の子供たちの状況を伝えるルポルタージュ。
今の日本の子供たちは数字で見る限りはかなり恵まれているのだが、本書に描かれているような過酷な生活を強いられる子供たちが少しずつ増えているように思う。また、近い将来、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の低迷で困窮家庭が増加し、日本の子供たちにも同じような苦難が襲い掛かるだろう。本書を読めば、今の日本を見つめ直す切っ掛けになる。
慢性的な貧困により、まともに教育を受けられず、家族のた -
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ネタバレ育てられない母親がいても、育てられる父親がいれば、不幸にも命を落とす子供は少なくなるだろうなあ、と感じる。
「babyぽけっと」の活動は素晴らしいものだと思うし、特別養子縁組のシステムはもっともっと普及していって欲しいとは思う。
私にとって子育ては苦行の部分もあったし、そうでない部分もあった。
苦行でしかない時期もあったし、そうでない時期もあった。
なるようになる、どうにかなると、どうしてもっと早く対策しなかったの、どうして誰かに相談しなかったの、がない交ぜになるのが子育てのように思う。
どうやっても、この環境では健全な子育ては無理だ、という事態はあるのだということをこの本は教えてくれる。
親 -
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たとえば、シングルマザーの彼氏が子どもを虐待して死なせたという事件は多い。
そのとき世の中は、一様にその事件を非常に分かりやすい構図で捉えようとする。子供のまま親になりきれない女が、ろぐてもない凶暴な男に入れ込んで我が子を犠牲したのだと。シンプルな構図で彼らを糾弾する。
でも私はそういった事件を見聞きするたび、「どうしてこのような事件が起きたのか」、「どうしてこのような人間ができあがったのか」と考えてしまう。背後に潜む過去について。
本書は、まさにそこに着眼点を置き、彼女たちの長い人生の中で色んな問題が雪だるま式に膨れ上がり、やがて虐待事件が起きてしまうまでを追ったノンフィクションだ。
子ど -
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ネタバレ記憶に新しい三つの凄惨な虐待死亡事件。それら一件一件を丁寧に取材した石井光太氏のノンフィクション。
「文庫版あとがき」に記載されているが、どの事件の背景にも共通する真実があった。それは、「虐待親たちが生まれ育った環境の劣悪さ(338頁)」と「ゆがんだ親子関係(338頁)」。つまり、「犯人を育てた親が大きな問題を抱え、子供たちを虐待、もしくはそれに近い環境に置いていた。犯人たちは生まれつきのモンスターだったわけではなく、彼らの親こそがモンスターだったのだ。そういう意味では、犯人たちは幼少期からモンスターである親の言動に翻弄され、悩み苦しみ、人格から常識までをねじ曲げられたまま成人したと言えるだ -
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石井光太『砂漠の影絵』光文社文庫。
本作はノンフィクションではなく、『蛍の森』に続くフィクション小説である。ベースには石井光太の一連のルポルタージュがあるようで、描かれる事件が実際に起きたISILによる日本人拘束事件とオーバーラップし、非常にリアリティがあり、迫力があった。
2004年、イラクでも最悪なテロ組織に商社マンの橋本優樹ら日本人男女5人が拉致される。組織の要求は自衛隊のイラクからの撤退だが、日本政府がその要求を拒否したことから、処刑の日が刻々と迫ってくる……
自国の利益、石油利権のために他国に土足で踏入り、次々と戦争を仕掛け、他国をテロ国家と罵る自称世界の警察、アメリカ。犬のよ -
ネタバレ 購入済み
漫画だからこそ伝えられる地震、津波の被害。
しかし、主人公のエピソードの時系列がしっかりしていなくてすっきりしない。子どもを98年に産んで、理由がよくわからないまま子どもを旦那一家に親権を渡した状態で離婚が08年。んで、11年の地震後、子どもに会いに行く。その子どもが未就学児みたいな感じで母親のことも忘れてる。計算だと10歳の頃に母親がいなくなってるはずだから、忘れるはずがないが、
話の内容的に忘れている設定が必要だったらしい。
このエピソードをしっかりとさせたうえで、もう一度書き直されることを願います。 -
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とうとう3作目です。
本作はいかに自分の意志で選び取った道を歩んで行くか。夢なんて大それたものでなくとも、色々体験して楽しいと思える事を夢中にやるべきだという本です。
大人になるとベターだと思われる人生が薄っすら分かる為に、どうしても子供に意見を押し付け気味です。子どもの頃の事考えると、自分の意見より大人の考えの方が正しいと思っていたし、逆らっても良い事なんてないと思っていたのは確かです。
でも、子供にもやりたいことはあるし、意見だってありました。声に出して大人に分かってもらうというのは大事な事ですね。自分だって子供から真摯し言われたら何とかしてやりたいと思うもの。
時が解決しない問題「いじめ -
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全3作のうち2作目です。
1作目「言葉を武器に変えて」は大人のぼくもガーンと衝撃を受ける名作でありました。子どもの頃の自分に何とか届けられないものだろうかと、読んでいる最中胸打たれまくりでした。
本作は世界に大きな影響を与えた子供たちの足跡を参考に、君たちも出来る、世界を変えて行こうという内容になっています。
前作が、「自分」であるのに対して本作いきなりグローバルかつ、「他者」が対象になっていくので、子供が読んで「自分も出来る」と思えばとても心強いですが、ちょっと大きく出過ぎかなーなんて思いました。
本作に登場する子供たちはまさに「世界を変えた」子供達です。読んでいて胸が熱くなります。いい大 -
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僕らの世代は原爆の事を学ぶにあたって「はだしのゲン」よ読む、映画を見るのは常道でありました。でも今は映画はもうTVでやらないし、、漫画も子供にショックが多いという配慮なのか、図書室に置かない学校も有るようですね。広島長崎の被害の事を、意識しないで子どもたちが自然に知る機会は、社会科の授業ぐらいなのでしょうか。
石井光大氏のルポタージュはどれもこれも重厚で、しっかりとした取材と心情を救い上げる優しさ。そしてある意味冷たいともとれる位冷静な視線が同居しています。
本作は広島を復興させるために動いた人々の足取りが書かれていますが、いわゆる感動的なだけの話ではなく、全てを投げ打って、平和都市への復興、 -
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内容が内容なのでなかなかヘビー。ゆっくり読んだ。
読み進めているとなんだか夢見心地になってくる。『本当に起こっているのだろうか?』とすら思ってしまう。
それだけ今が恵まれている証拠だろう。日本の場合、ストリートで生活する人たちは地方で生きることはほぼ困難で、都会に住む場合が多いように思える。それ故に、その景色を目の当たりにしたことが無い人達がたくさんいる。
最も印象的だったのが『出来ることが物乞いしかなく、それを仕事にしているだけ。それがどうして恥なのか?』というフレーズ。培ってきたレッテルが剥がれかける瞬間であり、言葉では説明がつかない感覚だった。
どの章からも、悲痛な叫びが今にも聞こえ