石井光太のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
石井光太の本は毎度のことながらぐいぐいと読ませる。それもそのはずな、ある意味のあざとさを感じさせるんだけど、取り上げる題材とか紹介されているエピソードとかが私の興味とわりと合うみたい。この浮浪児もしかり。
この本の題材「浮浪児」は戦後すぐからの上野(野上(のがみ)と俗称していたのだとか)あたりを根城にしていた子どもたちが中心。東京大空襲とかの戦災孤児のことかと思いきや変遷があって、当初はそういった子どもたちが多くを占めていたのが、だんだんと地方からの家出少年とかが増えていったのだとか。そこにヤミ市ができたりそれが発展してアメ横になっていったり、そこで暗躍したテキ屋やヤクザ、愚連隊とか、まあ生命 -
Posted by ブクログ
テーマが重くて、自分なりにも解決方法が見つからずに気持ちが沈んだ。ある程度の年齢になれば自分を取り巻く環境を変えることができるけれど、小さな子供や赤ん坊にはそれができない。そして子供は親を選んで生まれてくることができない。だから子供に危害をくわえるようなことは私は絶対に許せない、罪は罪である。それはおいておいて、負の連鎖はどこかでとめなければならないと思うし、本来は公的にするべきことだけれどきっと小回りがきかないのだろう。本書の最後の章のBabyぽけっとのようなNPOの活動は賛否両論あるにしても少なくても赤ん坊の命を救っている。親は子供に育てられて親になるものだとずっと思っていたけれど、子供が
-
Posted by ブクログ
裏表紙に書いてある物語の概要を見て、妻がこういったもの好きかなと購入。軽い気持ちで読み始めた本作。
ハンセン病を題材にして描かれているフィクションということだが、作中の事実があったかのような描かれ方であり、ノンフィクションのように感じた。物語のどこにも読み手である自分を見つけることができなかったからかもしれないかな。
ただ、プロローグとエピローグで話が纏められていたので、読み終わりはとてもスッキリしていたなと感じる。
内容としては、[とても勉強になった]と言えば薄っぺらく感じるかもしれないが、やはり勉強になったと言わざるを得ない。
ハンセン病や、それに纏わるその当時の日本。今の日本から考え -
Posted by ブクログ
ネタバレちくまプリマ―新書であるため、高校生・大学生向けに書かれているが、大人が読んでも心に留めておきたい部分がいくつも見つかった。
海外へ行くことは、「本人がその気になりさえすれば、あらゆるものが自分の肥やしとなりえる」。私自身は今海外に住んでいる。ただ、日々の忙しさに追われて、様々な文化の違いにあまり目を留めず何気なく過ごすことも多い。だが、よく考えれば看板一つをとっても、スーパーで並んでいる野菜一つをとっても、発見が多くあるはずだ。それをもっと活かそうと思った。
また、高校生・大学生の間にどんな考えを身につければ良いのか、また具体的に何をしたら良いのかという部分は、大人として彼らに伝える時に参考 -
Posted by ブクログ
パキスタン、マレーシア、フィリピン、タイ、イラン、スリランカ……、それぞれの地でアフガン難民の父子の確執に触れたり、エイズ禍に沸いた頃の都市伝説を検証したり、イラク難民の夫婦とともによくない筋に感化されイラクに戻ったと思われる息子の足跡を探したり、孤児たちの明るいもてなしを受けたりといった具合に、貧しさや戦争の惨禍などなどに取り巻かれ混沌としたアジアの街でアジアの人と出会ったエピソードが綴られる。
読みながら思ったのは、「この人(著者)、自分と似ている」ということ。どこが似てるって、体験が身にならないタイプだという点が。なかなか得難い体験をしているはずなのに、どこかさらっとしていてありがちな話