石井光太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
はぁ、重たかった。
ひたすら不遇な環境で育った外国人労働者2世が裏社会と繋がっていくエピソードで、気が滅入ってしまった。
とても楽しい読書とは思えないけど、彼らの複雑な現状が理解できてよかった。
筆者は国によって背景が異なるからと国ごとに章を分けているけど、多少の差があるだけでどの例も似たような過程を辿っている。
移民問題が騒がれているなか、強制送還しろという声が必ずあるけど、2世にとってあまりにも酷だと思った。
当時は今より支援制体制が整っていなかったとはいえ、日本だけでなく、問題は移民せざるを得なくなった国にもある。
できたら、同じ境遇でも道を逸れずにまともな暮らしをしている話もあったら良 -
Posted by ブクログ
タイトル通り、ヤクザの子どもたちにスポットを当てたルポルタージュです。
正直、ヤクザの世界は映画やドラマでしか知らないので、この本を読んで、彼らがどうやって収入を得てるのか、どんな生活をしているのかを知ることが出来ました。
特にその子どもたちについては、総じて精神的にも肉体的にも虐待を受けているのに、ヤクザの子どもだからという理由で公的な支援もなかなか受けられません。周囲の人間も、ヤクザの子と付き合うなと言って避けるのでなかなか支援の手が伸びず、置き去りにされた子どもたちは益々悪い方へ転がっていきます。
ただ、悪循環の中でも抜け出したり立ち直る人もいます。その抜け出せない子、立ち直れない子をど -
Posted by ブクログ
非常に興味深い本だと思う。国語力の低下というキーワードから出発し、その原因を社会格差、教育格差、SNSに見出し、丁寧な取材を通じて掘り下げている。特に最後の二章では、小学校や中学校での具体的な取り組みを紹介し、今後の教育のあり方を考える手がかりを示している。
一方で、学術的な研究書ではないため、論証の面では疑問が残る。極端な事例を列挙しているのではないか、そもそも国語力の定義が本書の事例に限定されていないか、などの懸念もある。その意味で、本書をきっかけに、まさに著者が紹介しているような「哲学的対話」を行うことこそ、本書の読み方としてふさわしいだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいわゆる相対的貧困について(先進国、日本など)について。絶対的な貧困と何が違うかというのをデータと著者の取材などから提示している、わかりやすい入門書ではないか。
この年(50歳)になって思うのだが、子供の健全な成長に必要なのは衣食住の安定と精神的な安定である。衣食住が欠ける、または不足すると精神にも影響が出るので、これが満たされるのは当然必要である。が、相対的に貧しいとき、たとえば一応食事はできていて済むところもあるが、余分なものに使うお金がないときはどんな気持ちになるか。友達はスイッチ持ってるのに自分は持っていない、友達は遊園地に行けるのに自分はいけない、友達は部活ができるのに自分は道具が買 -
Posted by ブクログ
日本が労働者不足を補うため、どんどん外国からの働き手を受け入れている現状を踏まえると読んでおくべき一冊。
世界情勢の流れで訳もわからず日本に連れてこられ、そこで大人に振り回されながら育ってきた来日2世のケースがとにかく過酷で可哀想だった。
日本人でも劣悪な家庭環境に置かれる子どもは数多いけれど、外国人というだけで、さらに言葉の壁によるコミュニケーション不全や、アイデンティティの欠如、学校や地域での外国人差別など、抱える問題がどっと増える。そして寝るのにも食うのにも困り、やがて日本で罪を犯してしまう。服役して更生した者もいるが、それはその後の人生でもずっと「白でも黒でもない灰色の沼を何度もつまず