石井光太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『本当の貧困の話をしよう』がとても良かったので、これも読んでみた。
『本当の貧困』は古今東西の貧困をグローバルな視点で比較してあって、目からウロコが落ちたという感じだったのだが、こちらは様々な格差と分断はなぜ起きるかを、日本の問題に絞って分かりやすく解説している。この本も大事なところは太字の上にマーカーまでひいてあるし、字もくっきりしていて読みやすい。読書慣れしていない子どもも読みやすい。
『本当の貧困』ほど、「そうだったのか!」という感じはなく、そうだよね、という感じ。しかし大人だからそう思うので、ターゲットの中高生はやっぱり「そうだったのか!」と感じると思う。
タレントの生い立ちや最近起 -
Posted by ブクログ
本書は児童虐待の当事者である母親に主に焦点を当て、虐待が起きた背景を探る。
複雑化した問題を単純化することなく、地域支援の輪を作り出すことの重要性を主張する。
本書において、一つだけ注文をつけるなら、父親の存在あるいは父親の責任といったものがあまり見えてこないということ。
決して育てられない「母」を責めているわけではないし、取材対象が母親であるからだと推測はされる。
産まざるを得なかった母の苦悩に比べ、「俺は知らない」と逃げる父親や恋人、あるいは、客の無責任たるや。
代理ミュンヒハウゼン症候群の母親については、
最近発覚した虐待死事件でも同様の精神疾患によるものと考えられるものがあった。
そ -
Posted by ブクログ
新宿歌舞伎町ホストクラブの半世紀。「夜の街」の真実を描く!「どうせ社会の側の人たちが僕らに理解を示してくれることなんてないでしょう」これは、生きる場所を求めて歌舞伎町に集まった若者たちの、泡のように淡い夢と重い現実の物語である。
コロナ禍で歌舞伎町がかなりダメージを受けているというのはテレビで見ましたが、そもそも自分が全く知らない世界の成り立ちを知りたくて読んでみた。すごい。こんな歴史があったのかってびっくりする。取材した人は何者なのでしょう・・・?社会のレールからはずれた者たちを受け入れる場所で、だけど諦めずに社会の中の一輪として育ってほしいという願いを持って教育や奉仕活動をしているホストグ -
Posted by ブクログ
毎月のように何らかの児童虐待が報道され、その量の多さが逆にこの悲惨なことどもを「アタリマエ」化してしまうようで、この本に取り上げられた3つの事件も、タイトルだけではすぐにどれだかはわからないほどに、感覚が鈍麻してしまっている。それこそが怖い。
タイトルが「『鬼畜』の家」とあるように、これは子どもを死に至らしめた親たち個人というよりは、彼らを生み出した「家」、つまり家庭環境を取材し、問い直したルポルタージュだ。
3つの事件で罪を問われることになった親たち、そのいずれもが一般的な「サザエさん」的なイメージもしくはそれが内包する基準からは、はるかにかけ離れた環境で育っている。
それは貧困であっ