石井光太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ここ数年、日本国内の閉塞感の裏返しなのか、嫌韓・嫌中を始めとするナショナリスティックな風潮が強くなっているので、この本もそんな内容だったら嫌だなぁ・・・と心配しつつ読んでみたら、全くそうではないので安心した。
著者の在日外国人へのまなざしは、あとがきでの「日本に根付く異文化を見ることは日本の一側面を直視することだし、在日外国人を支えるものは、きっと日本人自身をも支えるものとなるはずだ。私たちはそれを歓迎すべきものとして受け入れ、日本のグローバル化をより豊かで輝かしいものとしていく必要があるのだろう」との一文に顕著である。
著者は1977年生まれ。年齢で一概に人を判断することは出来ないが、まだ3 -
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世界の飢餓について、貧しい国の現状について、ただ統計の数字ではなく実態をひとつづつ紹介するもの。
普段私たちの目に入らない情報がたくさんわかりやすく書いてあります。
飢餓であってもそれですぐ死に至るという話しではなく、それは彼ら、彼女らには日常で、その状況の中で生きなければならない。
本書の中にNGOや政府の支援の行き違いについて記述されている部分もありましたが、それでもこうした現状を目の前にした時に、私たちはただかわいそうで終わらせるだけではなく、何かできることをする必要があるのではないか。と考えさせられる一冊でした。
少しでも世界の貧困の問題に興味のある方にはお勧めします。 -
Posted by ブクログ
直視するのがつらい、現実の一面。
社会の底辺で生きる人々のルポルタージュ。
日本の生活からは程遠い、けれど地球のある場所では日常になっている、せかい。
最初の「物乞い」の章が衝撃的で、怖くてページをめくることが出来なくなった。
現実にはもっと悲惨な出来事もあるのだろう。
けれど、本と写真が強制的に一番強いところを見せる方法は、現実にはない衝撃がある。
実世界であれば、遠めに察知して、近づくにつれ心の準備が出来ていくこともある。
だが、本は否応なく強い部分を濃縮して提示する。
結局は、私のような心構えの出来ていない人間は目を背けてしまうこともあるのだ。
事実の感情を、ありのまま撮ろうとした -
Posted by ブクログ
仏教圏内の最貧民、物乞、障害者にスポットを当てたノンフィクション。イスラム圏内の方も壮絶だけど、こっちもひどい。
私自身の気持ちが引っ張られて鬱に何度なったことか。
でも、これが事実。それから目を逸らしちゃいけない。(イスラムの方でも書いた気がするけど。)そう思わせる、ぐろい本。読み終わっても「これ本当に事実?」て気持ちが消えないもの。平和ボケとか言われるの仕方ないかも。
この本を読もうと思ったきっかけは宗教と経済、国家というものが複雑に絡み合いつつもそして理想を語りながら決してなぜか理想の形にならないのが不思議だったから。
結果、ますます混乱するだけ、だったため、正直いまは宗教というものに疑 -
Posted by ブクログ
『飢餓に瀕して、骨と皮だけになった栄養失調の子供たち。
外国の貧困地域の象徴としてメディアに描かれている彼らも、
ただ死を待っているわけではなく、日々を生き延びている。
お腹が膨れた状態でサッカーをしたり、化粧をしたりしているのだ。
ストリートチルドレンや子供兵だって恋愛をするし、結婚するし、子供を産む。
「餓死現場」にも人間としての日常生活はある。
世界各国のスラムで彼らと寝食を共にした著者が、
その体験をもとに、見過ごされてきた現実を克明に綴る。』(表紙より)
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この世に生をうける前から栄養失調であるという現実。
彼らは母