石井光太のレビュー一覧
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外国…主にブラジル、ペルー、フィリピン、コロンビア、中国、ベトナムなどにルーツを持つ者たちが、どういうきっかけで道を外れて犯罪に手を染めることになったのかを調べてある。
外国にルーツを持つ人たちを十把一絡げにして犯罪と結びつけるような短絡的な思考はないと言っているように、とても丁寧に取材しているのがわかる。
事件を起こすのは、彼らを取り巻く劣悪な成育環境である。
家庭崩壊で行くところもなく、生きるためにすることが、違法な行為であり、犯罪へと加速している。
外国人労働者を働きやすく、環境の整った社会で受け入れていくのであれば、もっと彼らの声に耳を傾けて、行動することが必要だろう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ311後の釜石の様子に迫るノンフィクション。
街の民生委員、医師、歯科医師、市役所員、市長等、震災時の遺体の処理に奔走した人たちの回顧と本音が綴られます。
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震災、なかでも遺体処理を巡るものが多いですね。
とはいえ、タイトル以上に物語は広がりがあるように感じます。昨日まで顔を合わせた人が今日はもう息をしていない事実。子どもを救えなかった親の後悔、行方不明の家族を捜し歩きようやく見つけた家族の土気色に変わった亡骸、早く火葬して安らかにしたいのに稼働しない火葬場、被災している市職員に不満をぶつける遺族等々。
そうした辛く、厳しい状況のなかで、葬儀屋で勤務経験のある民生委員の千葉さんが遺体安置所で果たした役割は大きいのでしょう。
遺体に寂しくないかと話しかけ、遺族が迎えに来たよと話しかける。遺族の傷はいえることはないのでしょうが、自分を責めるだけだった遺族たちの心をやわらげ、次のステップにつなげる、優しいことばの数々。
私も読みながら涙しました。
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遺体に話しかけて何になる? 仕方なかった、残念だけど、という以外何もないのでは。
昔の自分だったらそう言っていたと感じます。
でも、喪失体験というのは論理で解消されるのではなく、感情や気持ちの整理がつくかどうか次第なのではと考えます。つまり感情は論理なんか軽々と超えてくる。だからこそ優しさや気遣いは感情に響くのだと思います。
同様に、宗教というのも論理ではなく、ある意味で感情に働きかけるものなのかもしれません。あるいは宗教者の優しさが前提で成り立つものなのかもしれません。
お経をあげる、供養するという行為。これは死者を弔うのと同時に、生者を(こそ)癒すことそのものなのでしょう。
作中で仙寿院の芝﨑氏が仏教会を組織するように動きますが、宗派とか細かい考えとかを抜きに大きな目的のために動くこと、人々の安寧の為に動けること、こうしたことこそ宗教者の素晴らしい資質であると感じました。
こういう方々の活躍を見ると、宗教は胡散臭いというのではなく、一定の果たすべき役割があるのだなあとつくづく感じます。
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ということで石井氏のノンフィクションでした。
生のありがたみをひしひしと感じました。そしてその生を無駄にはできないなあと思った次第です。
石井氏のノンフィクションは個人的にはかなり好きですね。また他の作品も読みたいと思います。 -
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物語を読み取れない子どもが増えている。葬儀で村人が煮炊きする場面を「死体を煮ている」と誤読する小学生たち。家庭による教育機会の格差を、公教育が是正できなくなっている――取材を進める中で著者は、現実に直面する。根源には何が?国語力は再生できるのか?現代日本の不都合な真実に真正面から挑む、渾身のルポ。
衝撃だった。自分はこの本でいう、教育環境が恵まれている社会の上流にいたので絵本の読み聞かせをたくさんしてもらって本好きだし読み書きや話すのも得意な方だ。だからこんなにも国語力のない子供が増えていると聞くと、社会に出て成り立たないだろうと戦慄する。問題点はもちろん一つではないが、他の指導内容が増えすぎて手が回らないというのは早急に解決しなければまずいと思う。欧米のように保護者の義務を増やして強制的に底上げをしないと日本の将来が心配になる。 -
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幼くして入院生活を送らなければならない子どもたちがいることも知っていた。小児がんで命を落とす子どもたちの話も聞いていた。しかし、闘病後の生活まで思いは及ばなかった。ここに載っていたのは、子どもたちとその家族の闘病生活とその後の生きる力を支えようと奮闘されてる方々へのインタビュー記事だ。犬好きの私がまず惹かれたのは、ファシリティドッグのお話。犬ならではの支えがそこにある。闘病に付き添う家族を助ける家、院内学級、プラネタリウムで宇宙とつながる(初耳、魅力的)などなど、いろんな支え方があるのだと知ることができた。いろんなアイデアで広がって欲しい活動だ。きめ細かい政治の力添えも必須だ。なかなか目を向けてこなかった分野、多くの人に手に取ってほしい本だと思った。
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Posted by ブクログ
途上国の「絶対的貧困」と日本の「相対的貧困」を具体的なエピソードで比較した本。日本の事例については確かに具体的でリアルな感じは伝わってくるんだけど、これが本当に多数のケースなのかどうかは正直わからないなあというのが読後の印象。
例えば「親が生活保護を受けていると、子どももそうなりやすい」という話は、まあそういう傾向があるのは事実らしいけど、これって鶏が先か卵が先かという話にもなってくる。貧困家庭で育つと教育機会が制限されて、結果として貧困になりやすいのか、それとも貧困を「学習」してしまうのか、因果関係は単純じゃないと思う。こういう傾向があるからといって全部鵜呑みにするのはどうだろう、という批判的な目は持っておきたい。
ただ、自分にはあんまり考えたことがなかった、幸いにも縁がなかったエピソードや体験談が多くて、そういう家庭もあるのだなという見方ができたのは収穫だった。特に途上国との違いは興味深かった。途上国では貧困層同士のコミュニティがあって相互扶助で暮らしていけるのに対して、日本の貧困層は孤立しやすいというのは、なるほどなと思った。日本は「混在型」で富裕層と貧困層が分かれて住んでないから、常に他者と比較して「自分は貧しい」と自覚させられて自尊心を失っていく構造があるらしい。これは日本特有の辛さかもしれない。 -
Posted by ブクログ
世界の貧困の現実を載せた本作。
写真が多く、視覚的に訴えるものばかりでした。
正直、この本のページを捲るのが怖かった…どのくらい怖かったかというと、動物の殺処分の実態を知るときくらい怖かった…
特に印象に残ったのは、
マフィアに腕を切断され物乞いする男の子、
レストランの残飯を手にするストリートチルドレン、
下半身はだかで路上に横たわる女性。
写真が脳内に焼き付いて、今後忘れることはないと思います。
日本の情勢に対して意見がありつつも、この本を見ると日本は本当に恵まれた国だなと思い知らされます。
平和ボケしている僕ら。
世界の貧困の現実は誰もが知っておいた方がいいなと思いました。
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Posted by ブクログ
【『格差』を『分断』へ転化させないために、私たちの側にこそ『知識』が求められている。】
《要約》
●日本社会に深く根を張る「格差」によって、下層の生活実態が全く見えない「分断」を生んでる
●現場取材に基づく「具体的実例」を通して、格差の「構造的要因」を浮かび上がらせる。
●「7つの格差」を軸に各章を立て、「自己責任論」では片付けられない、「分断の実像」を解き明かす。
①所得格差
②職業格差
③男女格差
④家庭格差
⑤国籍格差
⑥福祉格差
⑦世代格差
《感想》
●内容自体は平易平凡で、既知のものが多かった。タイトル通り、読者ターゲット層は社会問題をあまり知らない中高生って感じ。
●無知が分断を拡大させるので、自分の生活圏では出会わない他者の実情を知り、歩み寄ることが大切(本書では登場しなかったが、これを『エンパシー』と言う)
●タイトルの「社会地図」が強調されておらず、”地図”のコンセプトが分からなかった(読み飛ばしたか…?)。もしかしたら、「7つの格差」を知ることが、「7大陸を巡る探検」のような読書体験だったのかな…?