あらすじ
●日本人の6人に1人は貧困層、世界で7億人超が絶対的貧困…… ●世界と日本のデータが明かす「見えない貧困」の真実とは? ●読めば、この国の「幸せのかたち」が見えてくる! 世界第3位のGDPを誇る日本。しかし実際には、「先進国中ワースト4位の貧困国」であると聞けば、驚くだろうか。その理由は、日本の貧困は、いわゆる途上国の貧困とされる「絶対的貧困」とはまったく形態が異なる「相対的貧困」だから。貧困という言葉は同じでも、絶対的貧困と相対的貧困は、その性質が大きく異なる。本書では、途上国の絶対的貧困と、日本の相対的貧困を8つの視点から比較することで、現代社会における「本当の貧しさとは何か」を考える。読めば、貧しさとは何か、希望とは何か、豊かさとは何か――その片鱗が見えてくる一冊。
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Posted by ブクログ
確かに日本の貧困と海外の貧困では全然違うのが分かった
海外の貧困地域では女子の方に教育をかけることが多い理由に、海外でホステスになれるからっていうのがなるほどってなった
Posted by ブクログ
世界との違いは、世界では富裕層と貧困層が分かれて生活する分断型であるのに対して、日本では混在型であること。
分断型社会では、貧困層が宗教等に基づいた共同体を作成して相互扶助で生活しているのに対して、混在型の日本では貧困層は孤立する傾向がある。
日本では、生活保護などのセーフティネットが他国と比較して手厚く存在するものの、家族に知られたくない、自尊心の欠如により申請をしない人も数多い。
混在型であるが故に、他者と比較して貧困であることを自覚し自尊心を失っていく構造がある。
Posted by ブクログ
日本文学と世界文学。喚起される趣は違えど、それぞれが味わい深い。人口減少に悩まされる日本。人口爆発が起きている世界。問題ということでは変わらない。…国が救えず、近しい仲間でコミュニティーを作り助け合いながら生きる絶対的貧困。多くのセーフティネットがありながら精神的に病みその利用方法に行きつけず、片隅のアパートで孤独死を迎える相対的貧困。身近にも起き得る日本の貧困。渡航しなければ直接触れることのない海外の貧困。絶対軸で比較できない日本と世界。照らし合わせることで見えてくる何かがある。今この時代に生きている。
Posted by ブクログ
石井光太『世界と比べてわかる日本の貧困のリアル』PHP文庫。
途上国の貧困の実態と比較しながら、日本の貧困について明らかにするノンフィクション。
途上国の絶対的貧困に対して、日本の貧困は相対的貧困であり、貧困の形態が異なる。世界第3位のGDPを誇る日本は先進国の中でワースト4位の貧困国であり、日本人の6人に1人が貧困層なのだ。
途上国の貧困層は社会的なルールの甘さやコミュニティ内での相互扶助により、ある程度暮らしていけるのに対して、日本の貧困層は社会的なルールの縛りやコミュニティの欠如により、公的補助は受けられるが、基本は自助努力で暮らさねばならない。
日本の生活保護で支払われる金額が非正規労働で得られる対価を上回るという矛盾。さらに税金と物価高という負担が貧困層に負担を掛ける。
20年前、中国の労賃は日本の労賃の10分の1だった。その当時、通信機器の生産工場に勤務していた自分は中国にものづくりの現場を流出させないために品質、コスト、デリバリーの全方面での改革を行っていた。今や労賃の差は殆ど無いか中国の方が高い。その上、中国には日本の技術者が流出していると言うのだから最早始末に負えない。
日本の労賃が下落した切っ掛けは労働者派遣法という悪法により、非正規労働者が容認され、企業が人件費を固定費から変動費に変えたことだ。さらには安価な労働力を求め、ものづくりの現場を途上国に流出させ、それでいて企業の内部留保を容認させたことが、日本の労賃を下落させる結果となった。
そして、日本の労賃低下に消費税の増税、健康保険や介護保険料の負担、物価高が相対的貧困を加速させる結果になったのだ。
近い将来、日本はアジアの最貧国に成り下がるかも知れない。
本体価格840円
★★★★
Posted by ブクログ
日本は相対的貧困の国であり、途上国の絶対的貧困に比べれば生活環境は整い、貧困層も空間的に分離されていない。だが、公的支援の発達により人的つながりが薄れ、孤立や孤独、格差が深まっている。
貧困はいずれの形でも苦しい。因みに著者からは解決策は示されていない。
Posted by ブクログ
途上国は絶対的貧困だがコミュニティを作り相互に助け合うことで生きる。対して日本の貧困は相対的貧困、福祉制度により支えられ、最低限の生活は保障される事が多いが人との繋がりを拒否、相互扶助を好まない。貧困と言っても全く違う。悲しい考え方だけど自分自身も同じだと気づいた。日に日に人と関わる事が面倒になっている。
Posted by ブクログ
いわゆる相対的貧困について(先進国、日本など)について。絶対的な貧困と何が違うかというのをデータと著者の取材などから提示している、わかりやすい入門書ではないか。
この年(50歳)になって思うのだが、子供の健全な成長に必要なのは衣食住の安定と精神的な安定である。衣食住が欠ける、または不足すると精神にも影響が出るので、これが満たされるのは当然必要である。が、相対的に貧しいとき、たとえば一応食事はできていて済むところもあるが、余分なものに使うお金がないときはどんな気持ちになるか。友達はスイッチ持ってるのに自分は持っていない、友達は遊園地に行けるのに自分はいけない、友達は部活ができるのに自分は道具が買えないからできない、というのは「不安」とは別の「疎外感、惨めさ」であり、これが積もり積もっていくのは本当にしんどい。大人になる頃には劣等感の塊になってしまうだろう。これをバネに頑張って成功する人もいるのだが、昔と違って教育に金のかかる時代では自分の「階級」から抜け出すのはそんなに簡単ではない。
子供が全ての面で平等に機会を与えられ、公平に扱われる社会が一番だと強く思う。
Posted by ブクログ
成程ね~。
助け合わないと生きていけない+必要悪
助け合わなくても生きていける+治安良い+でも制度頼み
もちろん安心して暮らせることが最低限だけど (SDGs)、その先にも複雑な問題がでてくるわけだ。
幸福とは…