石井光太のレビュー一覧

  • 「鬼畜」の家―わが子を殺す親たち―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    3件の児童虐待死事件のドキュメンタリー。虐待の生々しい描写に精神を抉られる。
    断ち切れない虐待の連鎖はあるのだな、と思わずにはいられない。

    0
    2022年08月07日
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉

    Posted by ブクログ

    『本当の貧困の話をしよう』がとても良かったので、これも読んでみた。
    『本当の貧困』は古今東西の貧困をグローバルな視点で比較してあって、目からウロコが落ちたという感じだったのだが、こちらは様々な格差と分断はなぜ起きるかを、日本の問題に絞って分かりやすく解説している。この本も大事なところは太字の上にマーカーまでひいてあるし、字もくっきりしていて読みやすい。読書慣れしていない子どもも読みやすい。

    『本当の貧困』ほど、「そうだったのか!」という感じはなく、そうだよね、という感じ。しかし大人だからそう思うので、ターゲットの中高生はやっぱり「そうだったのか!」と感じると思う。
    タレントの生い立ちや最近起きた事件も例として載っているので、若い人が興味を持って読める内容となっている。
    私は読みながら松本俊彦さんの著書を度々思い出した。依存性になる人が、この本に例として取り上げられる人と重なるからだ。虐待(勉強や好成績を強いる教育虐待を含む)、貧困、人間関係の悩み、障害、家庭やコミュニティに居場所がない、など。
    恵まれた人こそ、普通に生きていては決して交わらないこういう人々がいることからまず知ってほしいと思う。高校生になったら読むべき。

    気になったところは、小澤征爾が裕福でない家庭だったのに「大きな情熱を持って」いたから世界的な指揮者になったと書かれている(P330)ところ。小澤家は家柄良く、何よりインテリの家庭で、クラシック音楽家の家庭の平均よりは裕福でなかったかもしれないが、貧困とは言えないし、情熱だけでなく才能とコミュニケーション能力もあったのである。凡人が「よし、頑張って小澤征爾みたいになるぞ!」とはいかないと思う。(そもそもクラシック音楽家に幼い頃から親しめるのはインテリ家庭)

    残念だったのは、参考文献がないこと。飯島愛にしろ小澤征爾にしろ、直接の知り合いでなければ、著書とか評伝とかを読んで書いているのだから、巻末に参考文献は載せるべきだ。新聞記事やテレビ番組なんかも参考にしているようなので、それもあれば言うことないが。(グラフや表の出典は近くに書いてある。)

    信頼性の問題だけでなく、興味を持った読者が読めるようにしておくべきだと思う。

    0
    2022年07月24日
  • 育てられない母親たち

    Posted by ブクログ

    本書は児童虐待の当事者である母親に主に焦点を当て、虐待が起きた背景を探る。
    複雑化した問題を単純化することなく、地域支援の輪を作り出すことの重要性を主張する。
    本書において、一つだけ注文をつけるなら、父親の存在あるいは父親の責任といったものがあまり見えてこないということ。
    決して育てられない「母」を責めているわけではないし、取材対象が母親であるからだと推測はされる。
    産まざるを得なかった母の苦悩に比べ、「俺は知らない」と逃げる父親や恋人、あるいは、客の無責任たるや。

    代理ミュンヒハウゼン症候群の母親については、
    最近発覚した虐待死事件でも同様の精神疾患によるものと考えられるものがあった。
    その後の報道では母親の生育歴が明らかにされていた。
    子供を手にかけたこと、傷つけたことは許されることではないが、彼女自身も救われるべき「子供」だった。

    生育歴に問題があったことと虐待をすることは決してイコールではない。
    また、知的障害や発達障害等があるから虐待をするわけではない。
    だが、筆者が指摘するように、周囲の無理解や、援助のなさが孤立を招き、一番弱いところに行く。
    決して人ごとではなく、誰しもが当事者たりうる。

    性に対する理解が少ないのなら、学校、家庭、社会で教育・啓発を進めていく必要がある。
    「寝た子を起こすな」の教育方針がどれだけ子供を傷つけるか。
    子供たちに与えるべきは自分を守る術だ。
    子供を守る人が足りないのなら、デジタル技術を最大限取り入れてほしい。
    人が足りないのなら、人がやらなくてもいい作業はやらなくてもいい。
    支援教育の場に向かうのならば、副業も認めてほしい。
    さまざまな理由で子供を助けられる仕事を本業としていない有資格者は多いはずだ。
    私も、自治体の支援センターに助けられた。
    だから今度はその手を別の人につなげたい。
    小さな意見かもしれないが、社会が変わることを、心から望んでいる。

    0
    2022年03月20日
  • 格差と分断の社会地図 16歳からの〈日本のリアル〉

    Posted by ブクログ

    日本における格差について分かりやすくまとめられた本。
    導入には最適。
    自分が生きる世界以外の世界を知ることはとても大切。
    自分さえ良ければ、という人ばかりになったその先にあるものをみんなが想像することが大切。

    0
    2022年01月09日
  • 絶望の底で夢を見る

    Posted by ブクログ

    絶対貧困で有名な石井さんの日本で出会ったいろんな人たちについてのエッセイ。
    日本で身近な分読んでいて辛いところが多かった。

    0
    2022年01月02日
  • 43回の殺意―川崎中1男子生徒殺害事件の深層―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    この事件に関してはその残忍さと未成年者による犯罪で被害者が中学生だったことから同時かなり衝撃を受けた記憶がある。
    その詳細と背景がかなりリアルに伝わってきた。
    読み終わった後感じたのは、今回の主犯者のような狂人は一定数社会に存在している訳で自分を含め家族や親族が同じような事件に巻き込まれる可能性が充分にあり得ると言うこと。
    そのためにはどうしたら良いか?
    近づかない或いは逃げるのがある意味一番賢明なのでは?
    あくまで持論だけど。

    0
    2021年12月30日
  • 世界で一番のクリスマス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    1980年代の上野界隈。
    上野の夜に働く男女。短編5話。

    出張ホスト、デリヘル、韓国エステ、ラブホテルの従業員、HIV感染、堕胎、AV女優などなど。


    0
    2021年12月06日
  • 物乞う仏陀

    Posted by ブクログ

    アジアの仏教国の身体や精神に障害を持った物乞い・乞食の人達に取材をしていく。違う国の人という立場だからこそできることなのかも。著者も話を聞いてもどかしい気持ちかもしれないが、悲しい辛いを表す言葉を引き出すべく質問を投げかけ、結局救いがないのが辛い。それでも前向きな気持ちを持ってる人もいるからすごい。最後のインドでの話は衝撃で、これは何とかしないとならないし、世界の機関は何とかできないものか。

    0
    2021年08月03日
  • 夢幻の街 歌舞伎町ホストクラブの50年

    Posted by ブクログ

    新宿歌舞伎町ホストクラブの半世紀。「夜の街」の真実を描く!「どうせ社会の側の人たちが僕らに理解を示してくれることなんてないでしょう」これは、生きる場所を求めて歌舞伎町に集まった若者たちの、泡のように淡い夢と重い現実の物語である。
    コロナ禍で歌舞伎町がかなりダメージを受けているというのはテレビで見ましたが、そもそも自分が全く知らない世界の成り立ちを知りたくて読んでみた。すごい。こんな歴史があったのかってびっくりする。取材した人は何者なのでしょう・・・?社会のレールからはずれた者たちを受け入れる場所で、だけど諦めずに社会の中の一輪として育ってほしいという願いを持って教育や奉仕活動をしているホストグループがあるなんて今まで知らなかった。彼らみたいな人をもっと大々的に取り合げていくメディアがあればいいのになあ。裏社会のイメージという色眼鏡だけで見ていた自分を反省するとともに、どうか彼らには今後もしたたかに生き抜いていってほしい。

    0
    2021年02月23日
  • 育てられない母親たち

    Posted by ブクログ

    仕事柄様々な保護者と会う機会があり、家庭環境など気になる子供の存在から、何かヒントとなることはないかと考えて通読。

    虐待と一口に言っても、その背景にはかなり複雑に絡み合う要因があり、解決にはかなり困難を伴うことがよく理解できた。

    本書に出てくる親子までいかないまでも、ネグレクト、毒親、過干渉、など多かれ少なかれ問題を抱える親子はかなりいるのではないかと思う。

    自分が自分の立場でそういった親子に対し何ができるか、考えるきっかけになった。

    0
    2021年01月02日
  • 夢幻の街 歌舞伎町ホストクラブの50年

    Posted by ブクログ

    夜の街の男の業界。いじめ、暴力、殺人。近づきたくない。この著者でなければ興味を持つことはなかっただろう。そんな世界で何かを成し遂げて来た人たちがいる。彼らは何も持っていなかった。下っ端で働き独立。ブームにも乗った。目立ってはいけない不文律を破った。いつしかもてはやされるようになった。順風ばかりでもなかった。バブル崩壊、浄化作戦、311。切磋琢磨し、知恵を絞りだし生き残って来た。そして、コロナ。一転悪役に。実際には人一倍の工夫をしていた。彼らにはエンパシーを持つ。つまり、共感は持てなくても敬意は示したい。

    0
    2020年11月16日
  • 「鬼畜」の家―わが子を殺す親たち―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    親の親が問題あるならその親も問題あってまたその親もってなっていくとしたら一体いつまで遡ると最初の問題の人が出てくるんだろう。

    日本は色んなところでカウンセラーがもっと必要なんだと思う。

    あと、一生懸命働くより生活保護の方が収入多いって問題じゃないの?

    0
    2020年10月28日
  • 感染宣告 エイズウィルスに人生を変えられた人々の物語

    Posted by ブクログ

    HIV感染者達とその家族への取材。現在では薬の発達により発症も抑えられ、普通の生活も可能になった。しかし制限された部分もある。感染した恐怖により露呈する弱さ苦悩、そこから湧き出る強さ。感染経路を思うと悲しくなる。

    0
    2020年08月25日
  • 「鬼畜」の家―わが子を殺す親たち―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    石井光太さんのルポは、見つけたら必ず読んじゃう。これはずっと読みたかったやつ。

    仕事柄色々な親を見るけど、一貫して言えることは生物学的な愛情は必ずあるということ。
    そこに生活力や育児能力が複雑に絡み合うから、子供の問題行動は親に起因するところも少なくないということ。
    虐待も同じように考えるべきで、多面的に見ないと全体像が見えないという点が共感できた。

    まぁでも普通はここまでにならないわな…まさに鬼畜…と思える話ばかり。詳細な描写には背筋が寒くなった。我が子に手をあげるなんて、やっぱり信じられない。

    0
    2020年03月09日
  • 遺体―震災、津波の果てに―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    被災直後の遺体にまつわる混沌が、様々な人の立場から書かれたルポ。
    市役所の職員、民生委員、僧侶、葬儀社の社員、歯科医など。

    小学生の息子が今まさに火葬されようとしているときに、泣きもせず、少し離れたところにいたという母親の気持ちが、痛いほど分かって涙が止まらなかった。
    次の3月11日はあの日と同じ金曜日。
    震災を知らない子供たちに何をどう伝え、自分はどんな1日にするか、考える材料のひとつになった。

    0
    2020年03月09日
  • 「鬼畜」の家―わが子を殺す親たち―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    つらすぎる事件の数々。「私なりに」愛していた。「私なりに」精一杯やっていた。「私なりに」「私なりに」…。身勝手に子供たちを殺してしまう親がいること。家という密室で助けを求められず亡くなってゆく子供がいること。悲しくてつらい、真実のルポ。

    0
    2020年03月07日
  • 日本人だけが知らない 日本人のうわさ~笑える・あきれる・腹がたつ~

    Posted by ブクログ

    様々な日本人についての噂を知れて、また「盛り塩」の由来など意外な事実も知れて、興味深く読めた。
    とどのつまり筆者もいうように「噂というのは、人々が抱く無知や不安や恐怖のバロメーター」であることがよくわかった。今後、噂は噂であることを頭において溢れる情報を受けとめたい。

    0
    2020年01月09日
  • 「鬼畜」の家―わが子を殺す親たち―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    毎月のように何らかの児童虐待が報道され、その量の多さが逆にこの悲惨なことどもを「アタリマエ」化してしまうようで、この本に取り上げられた3つの事件も、タイトルだけではすぐにどれだかはわからないほどに、感覚が鈍麻してしまっている。それこそが怖い。

    タイトルが「『鬼畜』の家」とあるように、これは子どもを死に至らしめた親たち個人というよりは、彼らを生み出した「家」、つまり家庭環境を取材し、問い直したルポルタージュだ。

    3つの事件で罪を問われることになった親たち、そのいずれもが一般的な「サザエさん」的なイメージもしくはそれが内包する基準からは、はるかにかけ離れた環境で育っている。

    それは貧困であったり、本人もしくは家族の疾病であったり、何らかの人格障害めいた行動であったり、単純にひとつの要因で語られるようなものではない。

    「歪んだ」家庭環境からは、社会的多数が容認、同調できるような常識的感覚を身につけた人間は生まれてこないのだ。そして当然、その人間は「社会的生物」つまり権利を守られ、義務を果たすべく道徳や倫理観を持った人間を「育てる」ことはできない。彼らが育てている「つもり」の人間は、そういったものが欠損した存在で、当然のように自分が家庭を持ったときに、正常に機能できないのだろう。

    とても気になったのは、ここで取り上げられた「鬼畜」を生み出した家庭の主が、ほぼ自分と同世代だということ。「家」制度が事実上解体はしたものの、「個人」の権利と義務に対しては、全くというほど躾も教育もなされて来なかった自分たちの世代。個性とは自己主張すること、権利とは言いたいことを言えること、義務とは罰せられない限り果たす意味合いを見いだせないもの。

    そんな育ち方をしてしまった世代であることには十分以上に自覚も同調もできてしまう。悔しいけど。

    そしてそれが社会的に連鎖していくものであることを、この本は十分過ぎるほどに語っている。

    児童虐待は未熟な個人がつくる歪んだ家庭が生み出すものだとしたら、それはそこら中に広がっている。それが事実だ。

    0
    2019年11月27日
  • 浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    戦後、多くの孤児はどうやって生き延びたんだろう、という疑問から読み始めた。
    調査対象が上野周辺で東京の限定された地域であることから、わたしの疑問はすべては解決しなかったけれど、東京で子供たちがどうしぶとく生きていたのか、なぜ孤児院から脱走する子が多かったかなど、深く理解できた。
    せっかく生き延びて親と再会しても、すでに1度自立(というのが的確かわからないけれど)してしまった子供は、他人になってしまった親と一緒にもう住めないというのが印象深かった。
    石井さんの文章は読みやすいので、ほかの作品も読んでみたい。

    0
    2019年11月05日
  • 感染宣告 エイズウィルスに人生を変えられた人々の物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    パートナーがHIVだったら…その子どもを産めるのか?
    様々なパターンのカップルの、始まりから経緯、結末まで、なるほど、そのような悩みが出てくるのか、と思った。
    夫はHIV陽性なのに、妻には30年間教えなかった…
    産まれたこどもが陽性かどうかは18ヶ月後までわからない…
    なんとも壮絶な話が多かった。
    同様の状況の方には参考になるかも。

    0
    2019年10月29日