石井光太のレビュー一覧
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自らも被災者である関係者たちが、大震災で犠牲となった余りに多くの遺体に戸惑い、悲しみを飲み込み、それでいて尊厳をもって接する姿とその心の内に、尊敬と感謝するばかりであった。
耳に入る身内の遺体を前に慟哭する声を一心に手を動かし耐える姿に、その苦しさが強く胸を打ち涙がこぼれた。
大災害の際は生存者を如何に保護し支援するかに焦点が奪われがちになるが、犠牲者とその親族の対応について国や自治体だけでなくボランティアも含めて備えておかなければならないと強く感じた。
また、僅か1~2キロ先の津波の情報が地域全体に伝わりきっていなかったことにも驚いた。
本書は、3.11を伝えるノンフィクションとして貴重 -
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日本は先進国の中で3番めの貧困大国だという。1日1.25ドル以下で暮らす「絶対貧困」に対して、相対的に可処分所得が少ない層「相対貧困」が日本の貧困の正体だ。
絶対貧困と相対貧困、それぞれの状態を、住居、教育、結婚、食事などの面から比較してみる、という試み。絶対貧困では住居が特定の場所に集まる(スラム)に対して、日本では同じ地域に貧困が混在してくる。絶対貧困者にはセーフティネットの種類が少ないが、逆に強固なセーフティネットがある。日本のセーフティネットは、一度その網から落ちてしまうと這い上がるのが困難だ。グレーを許容することで吸収している社会と、シロクロハッキリさせることで、大抵の貧困はクロに行 -
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わ~ん こわかったよ~
夜中に読んじゃったからまるで「あなたの知らない世界」状態
嘘が本当に聞こえるためには真実をうま~くブレンドすべし。
じわじわっと恐怖がこみ上げてくる仕上がりになっておりました。
こんなのを各地の子供は怖い話として聞かされているんだろうなあ・・・
ちょっとまじめな話
国家間の戦争に対しては国際法もあるし、保障もある。保障が足らないと国同士でやりあうことができる。でも国内の紛争だと敵味方に分かれていたとしてももともとは農民同士だったりで戦後は同じ国・地域で生活する。隣人が自分の親子供を殺した元敵ってこともあり得るわけで・・・
私ならノイローゼになりそう。
リビアでは新た -
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イタリア軍は砂漠への行軍でもパスタを持って行く。
これは明らかな都市伝説らしいのだが、「イタリア軍の兵士は例え
戦場にいようともお昼になるとマンマのパスタを食べに家に帰る」と
言われてもわたしゃ信じるね。笑。
色んな都市伝説があるけれど、本書は戦争や内戦の戦場となった場所
で語られている都市伝説を集めたもの。
ナチスの人間石鹸、死体でのコカイン運び、米兵の遺体修復の高額
アルバイト、夜になると遊びに誘いに来る子供の霊、捕虜たちを見守る
子供、川をせき止める死体、死体を食らって巨大化した湖の魚等々。
それぞれの都市伝説が生まれた背景が解説されており、人間の愚かさ・
残虐さが剥き出しにされ -
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書名サブタイトルの通り日本に暮らす外国人の金・性・死を丁寧にレポートしたルポルタージュ。
日本で外国人が亡くなった時どうするか?
宗教的理由で火葬とせず、遺体のまま本国へ送ることを希望する人々は少なくないという。ではその時どのような措置を取り、どれくらい金がかかるのか?
夜な夜なホステス達が集う占い屋でのコミュニティー、韓国からの大量来日により押し出され地方都市を廻るタイ人やフィリピン人達…。
必要以上に取材対象に近づきすぎず、自分の感想も多くを述べない「ノンフィクション」と言うよりは「ルポルタージュ」と呼びたい一冊。
町中で接する単純労働の在日外国人への目線がちょっと変わるかも。 -
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日本人は外国人からどう見られているのか。
「うわさ」「風聞の果てに起こった出来事」「ジョーク」が同列に入り混じっちゃってるのがやや気になる。
言われる側の立場においてから我が振りをなおさせる構成が良い。
火のないところに煙は立たぬというけれど、幽霊の正体見たり枯れ尾花もまた真実。
そう思われるだけの理由がこちらにはあって、そう思いたいだけの理由があちらにもある。
「いじめられるほうが悪い」式の原因探しじゃないところが良い。
正しく型通りな偏見は、登場人物の名前を入れ替えればそのまま再利用できる。
誰にでも適用できるということはつまり、悪そうだから悪い奴に決まっている!という「言いがかり」に