石井光太のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
さまざまな辛さを抱えた高齢者のルポ
著者はあくまで弱い立場の側の人々に寄り添うので、言及されないが、
この国は安い賃金で高品質のサービスを求めすぎであり
一般市民、労働者の搾取によって成り立っている仕事が多いと言わざるを得ない。
国会議員や経営者、特権階級のような人々はこういった本を読むことが果たしてあるのだろうか?
弱い立場の人々の気持ちが少しでも理解でき得るのか、、
第一章 黒い黄昏
刑務所という終の棲家―累犯者
暴力化する介護―高齢者虐待
腐朽する肉体―孤独死
第二章 過ぎし日の記憶
海の怪物との戦記―捕鯨
黒いダイヤの孤島―炭鉱
第三章 日本最大のドヤ街の今
ドヤ街の盛衰
-
Posted by ブクログ
感情に訴えてくるような文章の書き方に中々慣れなかったが、全体的には読みやすい内容だった。
自分の幸せは、自分だけで作れるものではなくて、
人との関わりや様々な人が生み出した技術やサービス、制度に助けられて成り立つものだったことを思い出せた。そして、逆に生活環境や社会の仕組みによって不幸が連鎖していくことも理解できた。
自分の思いもよらぬところに格差は潜んでいる。もう少し自分の周りをじっくり観察して、そこから感じた違和感を無視せずにいたい。そして自分には何ができるか、答えはでなかったとしても考えることをやめないようにしていきたい、と思える一冊だった。 -
Posted by ブクログ
"両者は、同じ地域に住みながら乗っているレールがまったく違うので、接点がないに等しい。だから相手のことを理解することができず、何かあれば「貧しいのは努力していないからだ」とか「金持ちは不当に富を独占している」と自分の想像だけで相手のイメージをつくり上げるので、距離は開くばかりになる。
無理解の先にあるのは、衝突だ。 (p.10)"
本書は、5552さんのレビューで知った。
決して誇張ではなく、読んでいてくらくらと眩暈がしてくるような、衝撃的な内容の本だった。
筆者は国内外の貧困、児童問題、事件、歴史などの社会問題を長年取材されてきたノンフィクション作家。本書では -
Posted by ブクログ
まるで事件小説を読んでいるかのような感覚に陥ったが、紛れもない事実として起こったことかと思うと、身が裂ける思いと怒りが生じる。
小説と違うのは、当事者たちが通常の私たちが感じている秩序や理の外側で独自の負のスパイラルを作り上げているところ。介護放棄や貧困からくる殺人は環境がそうさせる部分が大きいわけであり、当事者が一人でそのような事件を起こしたとは考えられない。
逆に言えば誰しも、その環境におかれれば同じ行動をとる可能性があるということ。
一見、限りなく身勝手な理由で家族を殺害しているように見えても、なぜそうなったかはもっと深い闇に包まれている。
責任を当事者のみに科すような社会では一向