宮城谷昌光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
多くの作家が手がけている三国志。当然、全体の流れやら史実やらは判っているわけで、それをどう表現するか、どこに切り口を入れるかで、読みやすさや興味の視点が変わるものだと思う。
この著者の書き方はというと、三国志初心者には少し辛い。何故なら、分かり易い、誰でも知っているようなところから始まらない。第一巻もしばらく読み進めて、1/3ほどきたところでようやく「曹操」の名前が出る。しかも、名前だけで本人の登場まではまだしばしかかる。というのも、後漢の終焉の部分から書き始めているからだ。外戚の内憂、外患……けして単純な理由で崩壊していったわけではないことが、淡々と綴られている。誰もが思い浮かべる三国志の舞 -
Posted by ブクログ
中国という国が好きか、と言われると、よくわからないです。正直なところ。
でも、三国志とか、水滸伝とか、この「太公望」なんかを読んでいると、日本という土壌では醸成されるはずのない、スケールの大きい物語観というものが確実に存在していて、それは私にとってとても大きな魅力です。
紀元前11世紀、周という巨大な国が中華の中心を治めていた。
少年、望(ぼう)のいる呂族が周に襲われる。
戦火の中で望は年端もいかない少年少女たちを引き連れ脱出。
呂族は滅亡の憂目に逢い、望をはじめ脱出した子どもたちの、苦難の旅が始まる。
のちの太公、呂望が死地を越え、周人以外を人と思わぬ周王朝の打倒を目指して活躍