宮城谷昌光のレビュー一覧
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第5巻では三国志前半のクライマックス、華北の覇者を決めた官渡の戦が描かれる。曹操は袁紹を破り、漢の皇帝をも掌中に治め、天下の第一人者に躍り出る。
殷の紂王は徳を失い、新たに徳を備えた王者が求められた、と孟子は易姓革命を定義した。司馬遷は更に一歩進めて、秦王朝の失徳は当然として、戦に長けた項羽よりも人を惹き付ける魅力のある劉邦の方が王者に相応しいとした。陳寿もその構図を継承していて、名門のアドバンテージを抱えながら人を活かしきれない袁紹と、酷薄だが有能の士を登用しリーダーシップを発揮する曹操を、鮮やかに対比させている。
曹操はかつて中原と呼ばれた地域を制覇し、次は南方、劉表の荊州へ目を向けるのだろう。三国志の面白いところはそこから話が単純には進まないところ。負け続けた劉備も次第に不思議な徳を放ち始め、関羽、張飛に加えて趙雲を得ながら南方へ向かう。真の天下人に相応しいのは誰か、陳寿の問いかけは続く。 -
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曹操はついに一国を得る。兗(えん)州といえば、今の河北省と河南省の間くらいか。
正史は王朝の交替を語るにあたり、前王朝の非を説き、乱れを説き、民心の離反を説いて政権交代を正当化しようとする。その司馬遷の構図を陳寿も宮城谷さんも継承していて、これまで宦官の専横、黄巾の乱、董卓の圧政と話を進めてきたのだが、三国志の場合ここからが若干ややこしくなる。それは、後に漢の丞相になった曹操も、皇帝の末裔であることを強く意識した劉備も、勤皇を掲げていたからだろう。一方で袁紹と袁術は次第に徳のなさや脇の甘さが明らかになっていく。つまり、興隆する後の三国分立の主役たちと、名門袁氏の失徳・凋落を対比している訳だ。
とまれ、兗(えん)州の反乱を鎮圧して地歩を固めた曹操も、何だかよくわからない度量の大きさで遂に徐州を得た劉備も、関東の主役の一人といえる存在になってきた。そして多くの近衛兵を失いながらも東を目指す献帝。正史三国志の立場で英雄たちの面白さを存分に語ってくれる宮城谷さんの時間に期待。 -
購入済み
中国の伝説は高尚な人な人が多い
なぁ、と感じます。
介子推は強くて高潔でまさに仙人みたいなひとでした。
その潔い生き方には心が洗われます。
でも、他の宮城谷作品にくらべると、
物語の流れで盛り上がりに対して、
介子推がどんどん盛り下がっていくので(笑)
爽快感が物足りないです。
勢いのある最後ではありませんが、
そこには、
欲にまみれた人間社会から、
少し遠ざかることができるような、
清涼感があります。
次は重耳が読みたくなりました。
実は先に重耳を読んだ方が面白いです。
介子推はスピンオフみたいな感じなので。
ぜひ、電子化をお願いします!!! -
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かれこれ10年ぶりくらいに読む歴史長編~。
氏の沢山の著作のなかで、どれから読むかとても迷いました。
楽毅といえば三国志の孔明のアイドルであったということしか知らなかったので
まずはこれから。
滅びゆく小国、中山国の宰相の嫡子であった楽毅の人生は
冒頭から不安に充ちていますが、まれにみる天分の才とひらかれた思考、
孟嘗君やさまざまの人物との出会いなどから翼を得て、気を穿いていく―
生き延びることすら難しいような戦国時代のなかでおのれの生きざまを貫いていく登場人物たちがすごく魅力的です。それも孟嘗君といい楽毅といい、信念は貫きながらも仕える国は変わったりしていくので柔剛を併せもち、亡国や愚王に殉じたりはしないのがとても現代的な感覚も感じます。
最終巻で一気に才覚が飛翔するかのような、さいごまで息をつかせぬ展開なのですが、
後書きで著者がとても長期連載で、いつ書き始めたのかわすれたと仰っているので意外な気がしました。
宮城谷作品といえば、漢字の遣いかたが独特で、とても古い字がでてきたりと細部まで心が配られています。白川静先生の辞書をめくったりしながら楽しみました。
他作品もぜひ読みたいと思います。 -
Posted by ブクログ
本作は、袁家掃討から、荊州南部攻略までが描かれています。
宮城谷さん版三国志には、知らない人物や評価を見直さないといけない人物がたくさん出てきます。(某ゲーム社の数値と比較してですが。)
私にとっての今回の白眉は、「田ちゅう」と「李典」でした。
(田ちゅうは、初めて知りました(覚えていないだけかも・・・)。 李典は、楽進と張り合う”武一辺倒”かと思っていましたが、 宮城谷三国志では、かなり評価アップされている気がします。)
黄忠が戦う前から劉備寄り(?)なのも、いつもと違う感じで興味深かったです。
言うまでもなく次回に期待です。
※孔明は、今のところ、イメージ通りです。