宮城谷昌光のレビュー一覧

  • 三国志 第七巻

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    着々と領土を広げる劉備。
    そして、周瑜亡きあとも安定した強さを見せる孫権。
    60歳を迎える曹操には、やはり彼らが脅威だったのだとは思う。
    でもどちらにも義はないと思うんだよなあ。
    他人が納めていた土地を奪い取って、勝手に領主になっているだけなんだから。

    特に劉備に関して言えば、反曹操勢力の強い徐州はともかく、自分が困っている時に助けてくれた人たちからかすめ取っているわけじゃん。
    なんであんなに『三国志演義』で聖人扱いされているのかわからん。

    ”住所の定まらないことを『荘子』は、鶉居(じゅんきょ)といい、それが聖人のありかたであるというのであるが、ここまでの劉備がまさにそれであった。ただし聖

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    2022年05月19日
  • 三国志 第六巻

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    いよいよ赤壁の戦いです。
    その前に、いよいよ劉備と諸葛亮が出会います。
    しかし、諸葛亮は劉備がどのように生きてきたのかを知っています。

    ”妻子にも従者にも酷薄な人で、学問を嫌ったせいで浅学であり、知者や賢人を敬ったことがない。とりたててくれた公孫瓚をみかぎり、厚遇してくれた早々に後ろ足で砂をかけた。(中略)群雄のなかで劉備ほど無能な人はいなかったのに、豪傑が淘汰されてきた現在、何もしない劉備に輿望がある。”

    しかし、情もないけど欲もない人なのです。
    諸葛亮は劉備のもとに行き、劉備を盛り立て、劉備の欠点を隠しながら呉と交渉をするのです。
    劉備が諸葛亮を信頼し、それにつれて人となりも多少変わ

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    2022年05月04日
  • 三国志 第五巻

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    いよいよ曹操の時代となっていきますが、曹操が周囲を従えてぐいぐい前に出ていくわけではありません。
    彼は実によく周囲の意見をよく聞くのです。
    そして人を見る目があります。
    敵の将を捕虜としても、有能な人材であれば官職を与えて仕事を任せます。

    曹操の瑕疵は2つ。
    出身が宦官の家であること。
    当時の有力者の中で曹操を忌避する人の理由は、これが一番多いように思います。
    そうそう自身は宦官ではありませんし、仮にそうだったとしても、曹操が私腹を肥やすことはないでしょう。
    ただ、感覚的に宦官は嫌、と思われていたのです。

    もう一つは、そうです、父の仇を討つために、徐州で大虐殺を行ってしまったこと。
    庶民は

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    2022年04月22日
  • 三国志入門

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    入門というだけあって、全体の流れや三国志の主要人物はつかみやすかった。ただ気になったのは妙に描写が主観的で作者の想像が強く入っている点。作者は元々小説家なのでそういう書き方に慣れているのかもしれないけど、新書として読む場合には事実と後世による創作と、作者の想像とはもう少し分けて描いてもらえるとありがたい。
    あと、入門という割にはマニアックな説明がところどころ入っているのも作者が古代中国小説をたくさん書いているからなのかも。古代中国がすきなひとは嬉しいだろうけど、そうでないなら少し難しいので流しちゃっていいかも。

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    2022年04月12日
  • 三国志 第四巻

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    14ページ目で孫堅が死に、途中でちょっと劉備が出るものの、ほぼ曹操の巻。
    と思ったら、次巻に向けての最後の一文『建安年間は、曹操の時代であると言ってよい。』ですって。
    まだ序章だったか。

    ”曹操は不正を憎み、汚吏(おり)には厳罰を与えてきたが、民を苦しめる秕政(ひせい)をおこなったことはいちどもない。”

    また、捕虜に取った黄巾軍に対しても、「生産をすることなく流れ者になって略奪を続けていても未来はない。自分の部下にならないか?」などと声をかけ、なってもならなくてもかまわないぞと釈放する。
    そうやって少しずつ少しずつ味方を増やしていったのに。

    三国志演義で曹操が悪役なのは、父の敵を取るため

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    2022年04月05日
  • 史記の風景

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    中国の古典「史記」を題材にしたショートエッセイ集。

    よくこんな細かいところに疑問を持つな、というところから始まってしっかり話を広げるところはさすが。あとがきにもあるが、「小説家は一種無責任な立場から、想像や空想を広げ」て自由自在に話題を展開している。

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    2022年04月03日
  • 三国志 第三巻

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    ようやく、知っている三国志の時代に入ってきました。
    皇帝を私物化した董卓はもちろん大悪党だと思いますが、董卓が出てくる以前から、皇帝も皇后も皇太子も権力争いのための旗印にすぎず、倫理観の欠如している人たちにとっては、国を動かしてうまい汁を吸うための人質にすぎなかったのが、霊帝の何代か前からの実態なのでした。
    もう、霊帝の無能さと言ったら、朱理に「上に立つ者が無能なのは、それだけで罪だ!」と怒鳴って欲しいくらい。
    *どっかのネットまんがで『BASARA』がミステリ・サスペンスに分類されていたけど、『ミステリと言う勿れ』に引っ張られた?
     その割に『7SEEDS』は冒険ものでした。

    曹操は、見る

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    2022年03月23日
  • 三国志 第二巻

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    この巻は延々と後漢王朝の腐敗が書かれています。
    外戚が横暴をきわめたかと思えば、次は宦官です。

    なぜ本来は何の権限も持たない宦官が、権力を持ち財産を増やしてゆくことができたのかと言うと、梁冀が、気に入らない皇帝を次々と亡き者にしていったから。
    皇太后の兄であるのをいいことに、好き勝手に権力をもてあそび、人の命を奪ってきた梁冀から皇帝の命を守ったのが宦官たち。
    桓帝・霊帝は宦官たちこそを信頼し、心ある臣下の言うことに耳を貸さない。

    宦官も、最初は純粋に皇帝の命を守っていたのだろうけれど、大量の褒賞が彼らを狂わせたともいえる。
    皇帝からしたら、ほんの感謝の気持なのだろうが、受け取った方は、「

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    2022年03月02日
  • 沈黙の王

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    「言葉を形に表す」
    現在、当たり前のように用いている「文字」はなぜ作られたのか……。

    表題作の「沈黙の王」では、うまく言葉を発することができない商(殷)王武丁が「文字」を作るまでの物語を、主人公の生き方に光を当てて描く。

    歴史小説家が研究者ではない訳は、「事実」や「考察」「推測」をもとに、さらに想像を飛ばし、作家の求める「真実」を「創造」していくことにある。
    この作者は、まるでそこにいたかのように「言い切った」短い描写を丹念に積み重ねて、読者を物語の中へ引き込んでいく。
    読者は読んでいるうちに「きっとこうだったかもしれない」とすら感じなくなる。

    わたしは、歴史小説家が語ることを許される表

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    2022年02月28日
  • 太公望(中)

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    望の下に次第に仲間達が集い周辺の民族と商打倒への準備を着々と進めてゆく。望の右腕的な存在であった彪が敵として現れたのも下巻への楽しみへの一つ。酒池肉林も現代人が解釈している意味とは少し違い神々への祭典の要素があったとの解釈。

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    2022年02月13日
  • 太公望(上)

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    太公望の青年時代を書いた上巻。商に父と一族を殺され復讐を誓う。父の遺言に従い生き残った子供達5人と狐竹へ向かう途中で馬羌族や鬼方、土方などに助けられたり時には騙されたりし目的地を目指す。その後商王の一族と思われる老人から剣と文字を伝授される。自然や人をよく観察する事で兵法の原型を少しずつ現してゆく。

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    2022年02月06日
  • 楚漢名臣列伝

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    楚(項羽)と漢(劉邦)の戦いに登場する様々な名臣たちの物語であります。名臣たち一人一人の人生が、丁寧に語られてております。短編小説集としても読めます。司馬遼太郎さんの項羽と劉邦の副読本でもあります。☆四つです。

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    2022年02月01日
  • 晏子(四)

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    ひとたび小さな声を発しても国の隅々までその声が伝わる。君主でされも憚られる小さな大声。声を上げなくてもそのたたずまいから国中ににらみを効かす怪人。沈みゆく国を背負い聖人となって何を見るのか。

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    2022年01月01日
  • 楽毅(三)

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    楽毅は善処するが、中山は滅び、趙の武霊王も後継者争いの波の中で最期を迎える。
    後継者の指名は、難題が多く争いの種になることが多々あるのが現代でも同じように思う。
    また、楽乗の言葉で面白いことのがあったので書き留める。
    人が十の力を十出せば死ぬ。楽将軍は八でとめる。それにもかかわらず、敵が楽将軍をみれば、十以上の力を出しているようになる。

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    2021年12月11日
  • 三国志入門

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     2021年3月刊。筆者の本を読むのは 『侠骨記』(どんな内容だったか、全く覚えていない)を17年前に読んで以来、2冊目。中国史に材を取った小説などで著名な筆者による、『三国志』世界へのいざない本。
     私の『三国志』初体験は、吉川英治版だ。書籍に関しては、他に横山光輝版の最初の数冊を読んだ程度。あとは『三国志』全編を描いた中国製テレビドラマ、有名エピソードを映像化した映画を数作鑑賞……以上が、私の『三国志』体験だ。エンタメの基礎になっている作品だし、また再挑戦したいと思いつつ、長大な物語なので、二の足を踏みながら、早幾年。
     そんな時、本書の発刊を知り、取り寄せた。全6章からなり、当時の時代背

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    2021年12月07日
  • 楽毅(一)

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    名前だけ、キングダムに出てきて知っていたが燕の大将軍、楽毅の生涯を書いた作品。
    幼少のころ、斉の臨淄に留学をしていたことから大局的なものの見方ができているように感じた。また、その際に会った孟嘗君の影が1巻を通じて見られる。
    同作者の孟嘗君では、孟嘗君となるまでの話に主軸が置かれているように感じていたので、別の作品からこのように光が当たるとそれも面白い。
    内容的には、戦いのシーンが多い。

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    2021年12月05日
  • 三国志入門

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    まさに三国志の入門書。後漢末期から晋の統一まで人物、戦い、名言を通してわかりやすく纏められた一冊。董卓などは初め天下を望んで上洛したのでは無く。朝廷の混乱の中で権勢を欲しいままにした時期がありそれが自分の本意であったかは疑問だと解説されて確かに成る程と自分の中に新しい解釈が産まれた。ご自身は呉が余り好きでは無いのか呉に対する想いが少し辛辣に感じられる。

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    2021年10月31日
  • 香乱記(四)

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    田横。

    秦末の人。戦国時代の斉王の一族。楚と漢が天下を争った時期に斉の支配者となった。

    田横の人柄は
    「漢王と自分は共に王であったのに、彼に仕えるというのは大変恥ずかしい。またいくら天子の命令があるとはいえ、煮殺した相手の弟と肩を並べるというのは恥じ入らずにはいられない。私はそれに耐えられないだろう。そもそも漢王が自分を招くのは、私の顔を一度見ておこうということに過ぎない。いま自分の首を斬っても、ここからなら洛陽まで容貌がわからなくなるほど腐敗することはないだろうから、私の顔を見せるには十分だろう」
    からもわかる通り、義の人だったのかもしれない。

    項羽、劉邦の楚漢戦争の切り口を大胆にかえ

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    2021年09月26日
  • 花の歳月

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    前漢の文帝の妻であり,武帝の祖母である竇猗房の話.
    リアルおちぶれてすまん人生を過ごしていた猗房の転機は10歳の頃.呂太后が諸国の王の妻を探していたとき.紆余曲折を経て代国王の妻となった猗房は王の寵愛を一身に受ける.代国王はやがて漢の皇帝になる.
    猗房が代国へ向かう前日か当日,猗房の弟である広国は人さらいに攫われ,10年以上奴隷として過ごす.ひょんなことから皇后の弟であることを主張し,認められる.
    物語の最後の広国と蘭の話が最高.

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    2021年09月13日
  • 花の歳月

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    中国の漢時代、劉邦の息子文帝の皇后になった女性のお話です。

    短編小説なので1日で読み終わりました。貧しいけれど教養を身に付け、心の清らかさを備えた人は魅力的ですね。

    今、奴隷制度にナイーブな時期ですが、そのような時代を超えて現代があります。

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    2021年09月09日