宮城谷昌光のレビュー一覧
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ネタバレ斉の君主の家に生まれながら、魏の宰相となり、斉の宰相となり、秦の宰相となる中庸の人田文。
最後に出てきた馮緩が田文と洛芭の子だと暗示されるのもそうだけど、登場人物が濃密に関わり過ぎなところが、吉川英治っぽいなと思う。それは非現実的ではあるけど、フィクションとして面白い。
五巻まで読んで、やっと少しずつ国と人が結び付けられるようになった。
魏にいたのが龐涓や恵王や公子緩で、鄭両がいたのもここ。
秦は最初に風洪が風麗たちを連れて行ったところで、孝公が公孫鞅に律令を作らせ、徹底的な法治政治が行われた。が、人情に欠ける国になり、宰相の孟嘗君を追って鶏鳴狗盗の故事を生んだのもここ。
楚は他国と一線を画 -
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劉秀(後の光武帝)を支えた武将・呉漢。貧家から劉秀軍の最高権力者・大司馬まで上り詰めた人物を描く長編小説は、自身初の宮城谷昌光。三国志以外の中国歴史物を読んでみたいなと思っていた矢先に書店で発見。漢の時代は前漢と後漢に分かれているけど、なぜ後漢ができたのか、光武帝って聞いたことあるけどいつの時代の人なのか、そのあたりがよく解っていなかった自分にとってはとても興味をそそられる作品でした。
さて、呉漢。劉秀の功臣として大司馬に登用され、数々の戦いを制した人物。軍人ということもあり、豪快で我の強い人物かと思いきや、本書で描かれる呉漢は実直で素朴です。そして、その人柄を見いだされ出世の道を歩むことに -
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古代中国を自家薬籠中のものとしてきた著者の初期連作小説。実は宮城谷昌光氏は喪われた古代書物を匿していて、それを翻訳しているだけではないか?と窃(ひそか)に測っているが、証拠を見つけること我能わず。
冗談はそれぐらいにして、紐解いたのは、小野不由美「十二国シリーズ」の世界観は、孔子以前、つまり古代中国春秋時代だと当たりをつけている私が、また別の作家の視点から、その世界を見たかったからです。
小説は紀元前655年ごろから始まり、時代の覇権を担った晋の宰相を務めた趙氏一族を7代に渡り記し、紀元前453年ごろに終わります。
すると驚く勿れ、十二国の世界観が至る所に展開されていました。
曰く。
「 -
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中国戦国時代、楽毅の活躍を描いた物語の最終巻。期待していたよりもカタルシスがある展開に、楽毅という大人物の矜持や振る舞いの魅力。個人的にはそれほど読みやすい訳ではなかったですが、4巻読み通すだけの価値がある本だと思いました。
恵まれた環境にはなく、スポットライトも当たらない、そんな状況下で考え抜き、手を尽くし、機を逃さずに、あくまで自己ではなく王のために動く。
凄まじいまでの胆力で、本著で楽毅が策や振る舞いを間違うことは基本的にはなく、この点では親近感のある存在ではなく圧倒的なカリスマとして描かれています。
同じ宮仕え(といってもこちらはただのリーマンですが(笑)として自分自身の今までの行動 -
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中国戦国時代、楽毅の活躍を描いた物語の第2巻。祖国である中山は隣国の侵略でどうにもボロボロな状態になってしまいます。その中で知恵をめぐらせてもがく人々の姿が描かれます。
第2巻は序盤からハイペースでストーリーが進んでいき、物語に没入しているうちに読み切れました。面白いです。
楽毅や、楽毅が仕える中山王、敵方の武霊王など、様々な人物の姿が描かれ、同時にその人物の限界までも描かれることで、王やそれを支える宰相がどうあるべきか、という姿が示されます。
なお、結構大事な局面がサラッと1行で書かれていて、このシーンが読めたら読み応えあるだろうなぁと思ったのですが、本著が書きたいのはあくまで主人公であ -
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曹丕って在位期間七年だったんだ……
進軍が遅い、諫言を聞き入れないなど思いがけずパッとしないけど後継者選びを誤らないあたり。
父親の明朗さと比べてこう暗すぎないか。
諸葛亮に対して辛い。
馬謖を見誤る、馬謖を処断する決断が早すぎる、魏延、用兵が袁紹並み……
趙雲への情緒はなんだ。
曹叡の有能さ、諫言を聞き入れる器の広さ。
曹丕や孫権とは大違いだね!
曹操人材バンクの恩恵がまだまだある、賢臣の多さと有能な君主のタッグは強い。
と思いつつ悪癖が出てきたので喜べない。
魏延を冷遇する諸葛亮、張コウを疎んじる司馬懿、似た者同士じゃん。
赤壁での孫権の成功体験が根深い。
土盛り合戦は正直なにやっ -
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山霊がつかわした青年、長身清眉の介推は、棒術の名手となって人喰い虎を倒した。
やがて、晋の公子重耳に仕え、人知れず、恐るべき暗殺者から守り抜くが、重耳の覇業が完成したとき、忽然と姿を消した。名君の心の悪虎を倒すために・・・・・。
後に、中国全土の人々から敬愛され神となった介子推を描く、傑作長編
重耳の19年間にわたる放浪生活をともにした人物です。
「重耳」を読んでからこちらを読むのがお勧めです。これは俄然、2作セットですね。
故郷の緜上から、重耳に仕えるために狐氏の邑を訪れた介子推。
重耳の長い放浪生活を裏から支え続け、重耳が晴れて晋の君主となった後に、自分の思いとは違うものがそこにあると -
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<上下巻を通してのレビュー>
中原の小国鄭は、超大国晋と楚との間で、絶えず翻弄されていた。
鄭宮室の絶世の美少女夏姫は、兄の妖艶な恋人であったが、孤立を恐れた鄭公によって、陳の公族に嫁がされた。
「力」が全てを制した争乱の世、妖しい美女夏姫を渇望した男たちは次々と・・・・・
夏姫という春秋時代を通じて西施と並び称される美女を通して、その時代の様々な国の様子や君臣のあり方などが描かれています。夏姫には嫌いを通り越して怒りの感情さえ抱いてしまう・・・・・子の子南は辛かったでしょうね。それ以上に夏姫も過酷な運命に翻弄されて辛かったのでしょうが、どこをどう探っても好きになれる要素がないのです。( -
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争いを好まず、あえて負けを選ぶことで真の勝ちを得る――。
乱世にあって自らの信念を曲げることなく、詐術とは無縁のままに生き抜いた小国・宋の名宰相・華元。名君・文公を助け、ついには大国晋と楚の和睦を実現させた男の奇跡の生涯を、さわやかに描く中国古代王朝譚。
名君だけがいても、そばで支える人が優れていなければ国はうまく運営できないし、優れた臣下がいて名君がいなくては国は成り立たないものです。
分かりきったことですが、宋の文公と華元との関係が理想的であり、どちらも驕ることがなかったから国の存亡の危機になっても滅びることはせず、人臣をうまくまとめあげられたのだと思います。
大棘の戦いで華元が鄭の捕