あらすじ
三国志よりさかのぼること二百年。王莽の圧政に倦んだ人々は、新たな「天子」を求めていた。貧家に生まれ、一生土を耕して暮らしていくと思われていた呉漢は、食客の犯した罪により、生まれ故郷をあとにすることになる。劉秀の軍に合流した呉漢は、たちまち武将として頭角をあらわし、十四年にもわたる戦いに身を投じることになる。光武帝劉秀が最も信頼し、最も愛した武将の生涯を、鮮烈に描く。
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後漢の光武帝の武将の一人、呉漢を主人公にした物語。
こう言う自分が全く知らない人の事績を巡る歴史物語は次にどうなるのだろう? と言う面白さがあって好きだな。
この巻では呉漢が平民から次第に県の役人などに出世し、ついに劉秀のちの洪武帝に仕えるところまでを描いているのだけど、劉秀に仕えたのは意外と遅かったのだなと言う印象だ。
膨大な登場人物が出てくるのだけど、それぞれの役どころが明確なので、あれ? この人、誰だっけと言うことは少ない。さすがは手練れの作者だなと思った。
ただし、名前の読みは苦労するけど^^
さて、下巻は天下統一への戦いが描かれるのだろう。
作者は戦の駆け引きや描写も手練れなので、期待したい。
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中国史に明るくないので、登場人物や国の名前があまり整理できないまま一通り読んでみた。地図帳を近くにおきながら読みたい。
自分には志がない…すぐ人を羨んでしまうし自分を大きく見せようとしてしまうし卑怯で汚いところがある。かといって羨望の思いを向ける相手ほど努力しているのかと言われるとそうでもない。苦しい。自分に自信がない。自分に自信がないから動けない、さらに自信がなくなる。負のループ。志ってなんだ。
・話半分
・
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項羽と劉邦から200年後 三国志の群雄達が割拠する200年前の時代 新の王莽が簒奪し新が起きる、その後光武帝 劉秀が全てを平らげ後漢の祖となる!
本作は光武帝 劉秀の家臣で大将軍となる呉漢の物語!
呉漢の成長と人間性、次々と現れる呉漢を支える仲間達 読んでてワクワクしてきます!
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劉秀(後の光武帝)を支えた武将・呉漢。貧家から劉秀軍の最高権力者・大司馬まで上り詰めた人物を描く長編小説は、自身初の宮城谷昌光。三国志以外の中国歴史物を読んでみたいなと思っていた矢先に書店で発見。漢の時代は前漢と後漢に分かれているけど、なぜ後漢ができたのか、光武帝って聞いたことあるけどいつの時代の人なのか、そのあたりがよく解っていなかった自分にとってはとても興味をそそられる作品でした。
さて、呉漢。劉秀の功臣として大司馬に登用され、数々の戦いを制した人物。軍人ということもあり、豪快で我の強い人物かと思いきや、本書で描かれる呉漢は実直で素朴です。そして、その人柄を見いだされ出世の道を歩むことに。
前漢を滅ぼした王莽が新たな貨幣を導入するも彼の悪政とともに誰にも使われなくなったように、貨幣の価値とは信頼にあります。決して自惚れず、目上の人や同志の言葉に真摯に耳を傾ける呉漢はひとから信頼され、貨幣のように重用されることとなり、その能力を存分に発揮します。呉漢が大司馬まで上り詰めたのは、確かに彼の能力の高さもあるのでしょうが、他人を信頼し、また信頼されるその姿勢に答えがあるように思えます。案外これは現代社会にも通じることでしょう。襟を正さねばと痛感させられることに。
上下巻の構成で、上巻は呉漢のサクセスストーリーである一方、下巻はひたすら呉漢がどこぞを攻めたかという内容。史実を淡々となぞっている感が強く、また、伏線になりそうでならなかった描写(蓋延とか)があったりして、下巻はちょっと消化不良。とはいえ、中国の歴史小説らしく、印象的な言葉も多々あり、総じて面白く読み進めることができました。自身の備忘がてら印象的な言葉を下に記す。
「儒教には、過てばすなわち改むるに憚ること勿かれ、ということばがあるとききました。ほんとうに恥ずかしいのは、過失を知りながら、そのままにしておくことです」
「単純な悪は、善になおしやすいが、偽善はどうにもならず、赦しがたい」
「人にはふしぎな感覚があり、敬愛をむければ親和がかえってくるし、憎悪をむければ険陂がかえってくる」
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後漢の武将呉漢の話。 貧しい農民であった後漢が、出世をしていく物語。前巻は呉漢が後漢の皇帝劉秀に会うまでの流浪の旅とそこで成長していく過程が描かれている。歴史には表に出てこないもしくは作者の想像?の祁登に教えられて大きく成長する。さて後半は如何に。
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劉秀(光武帝)を大司馬として支えて、漢王朝の復興を成し遂げた呉漢の話し。
著者の作品である割には、少し単調だ。話はほとんどが戦の話で、特に下巻は珍しいことに飽きがきてしまった。
人の話は、話半分に聞いておくことだ。それは、人を信用しないということではなく、その人を信じ、長く付き合っていくのに必要なことだ。情報は、時とともに真実にもなれば、虚報にもなる。また、聞く人次第でも真実にも虚報にもなる。話半分とは、情報を広く捉えて聞くといくことだ。
利益を求めて行動を起こすと計算が狂いやすい。作物を育ててくれる地は変化しない様に見えるが、天候一つで変わってしまう。人の手は地に届くが天には届かない。つまり、人の力ではどうにもならないものがある。利益の計算は、天の気配をうかがい、先を読んで立てるものであるが、必ず計算間違いが生ずる、ということを想定しておくのが真の計算だ。
人には不思議な感覚があり、敬愛を向ければ親和が返ってくるし、憎悪を向ければ険陂が返ってくる。用心すれば、向こうも用心する。
この世には疑って得るものは何もない