【感想・ネタバレ】華栄の丘のレビュー

あらすじ

司馬遼太郎賞受賞作。争いを好まず、あえて負けを選ぶことで真の勝ちを得る――。乱世にあって自らの信念を曲げることなく、詐術とは無縁のままに生き抜いた小国・宋の名宰相、華元(かげん)。出目で太鼓腹の巨漢、人をつつみこむ、あかるく磊落(らいらく)な性格。西郷隆盛をおもわせる男、とは作者の言。名君・文公を助け、ついには大国晋と楚の和睦を実現させた男の奇蹟の生涯を、さわやかに描く中国古代王朝譚の名作。人間の器量について考えさせられる一冊!

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Posted by ブクログ

意外や意外、初宮城谷作品!
歴史から人の生き様や知恵を学ぶ事が出来る作品。そしてそれらを自分の活力にしていけたら良いな、と感じさせてくれた一冊。
時代は周王朝時代。その時代に実在した宋国の宰相華元と賢帝文公を中心にストーリーは進んでいきます。
国を動かしていく際に礼や徳を重んじ、思いやりを大切にした華元。そんな華元の生き様を心底愛した文公や王姫、家臣達。
古代の歴史の中の話しですが現代にも通じ、大切にしていきたい感覚だと感じました。

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2013年05月09日

Posted by ブクログ

明るく楽しい一本もの。春秋時代、苛烈だったり清貧だったり清冽だったりする多くの宰相たちを輩出した中国だけど、こんな愛嬌と愛がある宰相も名を残している。他の長編と少し趣が違うのだけど、これはこれで名作だと思う。そして定説の裏側からヒントを得る物語づくりは健在で、だからこそ新鮮。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

愛読している宮城谷さんの作品の
なかでひさびさに涙したのがコレ。
もともと春秋時代が好きなんだけど、
宮城谷さんの 作品のなかでとくに
こういう春秋・戦国時代の小国の、
君主をカゲで支える系家臣に
スポットをあてた作品が大好き。

こういう清廉潔白な、なにがあっても
正義をとおそうとする人がいい。
そういうところは晏子に
つうずるものがあると思う。
泣いたのも晏子以来かも。

君主っていうのは頭がよくなくていい。
こういう逸材をひきよせ、アドバイスを
うけいれる心があればいいんだ。

宮城谷さんは、文章自体には一切感情を
こめないのに 人のちいさな感情の
動きを見事に表現するのがすごい。
「目もとに微笑を含ませた−」
とかそういう表現が好き。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

『いい人』と言うのを究極まで煮詰めて、それに熱意と知恵で味付けをしたような人だと。味付けがキチンとなされているからこそ、負けないいい人になれたんだろうな。
しかし、短い記述から想像する容貌がどうしても某RPGの商人になってしまうのは何故だ。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

宮城谷作品の中で2番目に大好き。(マイナー好き?(笑))豪傑でも英雄でも美丈夫でもない主人公「華元」 柔らかく礼を最上とするその生き様、人間性は私の永遠の憧れなのかもしれないです。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

一本筋の通った者たちの遣り取りが爽快!
礼(宇宙の原理)に身を任せ、信義篤く生きる様は、ただただカッコイイ。こうした主従が生まれるのもある意味奇跡だ!
徳を積むとはどういうことかを教えてくれる一冊。
「君の臣に賂うは、命を知らざるなり」

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2021年06月01日

Posted by ブクログ

争いを好まず、あえて負けを選ぶことで真の勝ちを得る――。
乱世にあって自らの信念を曲げることなく、詐術とは無縁のままに生き抜いた小国・宋の名宰相・華元。名君・文公を助け、ついには大国晋と楚の和睦を実現させた男の奇跡の生涯を、さわやかに描く中国古代王朝譚。


名君だけがいても、そばで支える人が優れていなければ国はうまく運営できないし、優れた臣下がいて名君がいなくては国は成り立たないものです。
分かりきったことですが、宋の文公と華元との関係が理想的であり、どちらも驕ることがなかったから国の存亡の危機になっても滅びることはせず、人臣をうまくまとめあげられたのだと思います。
大棘の戦いで華元が鄭の捕虜になったとき、楚と宋との間の商丘攻防戦に、固い君臣の絆をみることができました。

後年、晋と楚の和議を成立させるという離れ業をやってのけた華元。
礼を重んじ相手を思いやる華元の心が、華元の生涯と宋という国を支えたのでしょうね。

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2019年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

史実に基づいた小説…なの?
きちんと文献に当たり、資料を読み込むことで書かれたこの作品は、もちろんノンフィクションとは言えないのだろうけれど、まるで見てきたように描写される古代王国はもはやフィクションですらない。

難しい言葉、知らない風俗が次々と現れるのに、不思議と読みにくくない。
決してドラマチックな文章ではないのに、全く退屈しない。

曽祖父の専横がたたって、祖父、父と不遇をかこってきた華家。
知る人ぞ知る知恵と礼儀(信義)の人・華元を訪ねてきたのは宋の王の弟。
不義の王を弑して、自分が王になろうと思うのだが…。

自ら手を汚す者は決して善ではない。徳を積みながらチャンスを待て。
そしてチャンスをものにしたのが文公で、その時以来ずっと文公は華元を信頼し、華元は文公を盛り立ててきたのである。

大国晋と楚に挟まれた宋の立場は難しいものであるけれど、目先の利益などでは決して動かず、筋を通した華元の生涯。
筋は通すが手腕は柔軟。
ここが面白い。

解説によると、晋と楚を同盟させるということは、日本の首相が冷戦時代のアメリカとソ連の手を握らせたような大事業なんですって。

味方を怒らせ、敵の陣地に1人置き去りにされたり、王の立場を守るために人質になったり。
あれ?結構ドラマチックな生涯じゃない?
しかしひたすら粛々と物語は進むのです。
ドラマチックだからこそ、粛々と。

文公、王姫、華家の家宰、部下の士仲。
魅力的な人物もみな実在の人。
歴史ってやっぱり楽しいなあ。

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2016年10月18日

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古代中国 宋の名宰相 華元のお話。
徳を通じて国を治める、そのやり方は現代にも通じる。
政治家は必読だと思う。

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2016年10月09日

Posted by ブクログ

春秋時代の宋の名宰相・華元の生涯。

淡々と描かれているが、どんどんストーリーに引き込まれていって面白い。
歴史を知らなくても楽しめた。

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2014年01月25日

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春秋時代の宋の宰相、華元を描いた物語。
乱世にあって武や謀をよしとせず、礼と信義を貫く姿に心打たれます。

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2010年04月24日

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 再読。ひたすらに、爽やかな読後感。これといった記述もなく、華元もその他の人たちも、全然具体的な容姿は浮かばないのに、彼らの表情だけはありありと感じることができる、この筆力に脱帽。

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2009年10月04日

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前600年。華元の話。宋の宰相。華御事の子。宋は商の遺民が移り住んだ国で礼を尊ぶ。「宋襄の仁」でも有名。宋の襄公が敵が川を渡るまで待って攻撃を開始し,敗れたことをいい,バカ正直という意味をいう。がそれほど戦いの場においても礼を尊んだ国である。華元も嫌戦家で相手が悪かろうが,できるだけ戦いを回避する策をとった。
華元は自分を殺そうとしている者を殺して生きるということを好まず,自分を殺そうとしている者に殺されないように生きるということを好む。
華元の最大の功労は戦いに明け暮れていた晋と楚が盟いを交わすという歴史的慶事を実現させたことだろう。

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2009年10月07日

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主人公とその属する国・時代は、春秋戦国においては地味なほうだろう。それゆえ、他の作品に比べると迫力がやや劣る。しかし、柔和な華元の物腰、文公や華仲らとの熱い絆が、爽やかな読後感を与えてくれる。また、迫力が劣るといえども、やはりクライマックスの対楚防衛線は、小国ならではの緊迫感がよく出ており抜群の面白さである。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

争いを好まず、詐術とは無縁のまま乱世を生き抜いた小国の宰相、華元。大国晋と楚の和睦を実現に導いた男の奇跡の生涯を描く司馬遼太郎賞を受賞した名作。私はこの著者の作品に結構はまっています。特に中国文化が好きでもない私が、何故ここまではまっているのかは謎です。元々歴史物は好きだけど、何でだろ〜?自分でも不思議。多分読ませる作品で、ストーリーが先を読みたくなるドラマティックな展開だからかもしれませんね。

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2009年10月04日

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