あらすじ
中山国はこの世から消え去るのか――。隣国趙と成立した講和は一方的に破棄され、趙の苛烈な侵攻は再開した。中山国の邑は次々に落ち、そのさなか中山国王も没した。そして首都の霊寿もついに陥落する。東西の辺土を残すのみとなった祖国の存続をかけ、楽毅は機略を胸に秘め、戦火の消えぬ中山を離れ、燕へと向かった。抗い難い時代の奔流のなか、楽毅はなにを遺そうとしたのか。
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「――四千未満の兵力で十万余の敵軍に勝てようか。
彼此の兵力が隔絶していながら勝利を得た武将とは(中略)太古からいままでの歴史のなかで、戦史を綴るとすれば、太公望ただひとりがそれである。(中略)太公望は十倍の敵を撃破したのである。だが、楽毅の場合は、二十五倍の兵力をもつ敵を迎え撃たねばならない。」
文章が故事を紐解きながら、生き生きと物語を盛り上げる。
山野に王を迎え、迫る趙軍を鮮やかにはらい続けた楽毅であったが、ついに王は隠棲を選び、中山国は滅亡する。亡国の臣となった楽毅が、魏で士官の道を探すことを決めるまでを描く第3巻。
楽毅の周囲から少し離れ、趙国の内紛・沙丘の乱についても描かれるが、脇役ながら、その光景の中で恵文王に従う高信期の忠心がまた美しく映し出される。
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奮戦するも祖国中山は滅亡。
楽毅は流浪の身となります。
第3巻の見所は楽毅ではなく、なんといっても趙王室の御家騒動「沙丘の乱」でしょう。
主父(武霊王)は息子に殺されるだろう。
唐挙という占い師のこの予言が、ここで実現することになります。
主父の最期を描くシーンは衝撃的です。
絶対的なカリスマ性で国を率いてきたかに見えた彼。
ところが、最期の瞬間までともに戦ってくれるほどの信臣はいなかった。
祖国滅亡という絶望的な状況下でも、慕ってくれる部下がいた楽毅とは、実に対照的です。
国をあげて戦った両者の違いとは?
絶対的な指導力という自分本位の資質だけでは、本当に信頼を得ることはできないということでしょう。
武霊王、僕は好きですけどね。
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終盤、楽毅が最後の城を攻める時敵の計略により王に謀反を疑われ楽毅は逃走、田文が城を攻め上がり自国の物だった城を取り返す。
この時涙してしまいました、積み重ねてきた物が裏切り計略により崩れていく人間関係とはもろい物だと思いました。
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宮城谷昌光氏の楽毅・第3巻。
ここらへんで、楽毅がいかに名将と言われるかがよくわかりました。
平易な言葉ですが、とにかくカッコイイ!! 彼の行動の一つ一つに彼らしさがにじみ出ています。
将に、名将。
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楽毅は善処するが、中山は滅び、趙の武霊王も後継者争いの波の中で最期を迎える。
後継者の指名は、難題が多く争いの種になることが多々あるのが現代でも同じように思う。
また、楽乗の言葉で面白いことのがあったので書き留める。
人が十の力を十出せば死ぬ。楽将軍は八でとめる。それにもかかわらず、敵が楽将軍をみれば、十以上の力を出しているようになる。
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趙との壮絶な戦いを凌いできたが、遂に中山は滅ぶ。中山を破った趙だが、主夫が足元を見誤り、後継者問題で内乱が起きる。楽毅のストーリーだが、趙での出来事が中心の巻である。
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隣国趙に攻め続けられた中山も、紀元前二九六年に中山王を西の辺邑へ幽閉することで末路を迎えた。祖国がなくなった楽毅の前に現れたのは、かつての敵国・趙であった。斉での立場が不安定となった孟嘗君を頼る訳にも行かず、趙への士官を考え始めた頃、趙で父子(異母兄弟)を巻き込んだ大政変が勃発。さらにその政変で楽毅を迎え入れようとしていた主夫(武霊王)も逝去してしまい、楽毅の行く末はまた降り出しに戻り、いよいよ最終巻へと続いていく。
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中山国の滅亡と大国趙での砂丘の乱がこの巻での主題になります。感じたのは盛者必衰であり、いち早く変化に合わせ決断。行動したものが栄えるということでした。
印象的な文章
・目的がなければ努力をしつづけにくい。が、人が目的をうしなったときに、目的をつくるというのが、才能というものではないか。
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中山国が世から消え去る時。楽毅は戦略で戦いながら、燕へと逃れる。
そんな中で起きた動乱。主父が黙殺した、子殺しと反逆。主の流れを見た占い。
それぞれの運命を、歴史の大きな流れとうねりを感じることができる。
あきらめと決意、覚悟が入り混じっていて、中国の歴史感を良く表しているのだろう。面白い。
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中国戦国時代、楽毅の活躍を描いた物語の第3巻。祖国中山がどのような帰結を迎えたのか、趙の野望はどう展開していくのか、が第3巻の2つのヤマでしょうか。なかなかのドラマでした。
登場人物はそれぞれ個性的なのですが、本巻においては人相見、唐挙のキャラクターがなかなか素敵でした。
Posted by ブクログ
先を読むつーのはこういうことかと、感心しきり。
っても、実際使うことはないだろうけど。
話がどんどん動いて、ますます面白くなってきた。
残り1冊で、この話まとまるのか?