宮城谷昌光のレビュー一覧

  • ふたりで泊まるほんものの宿

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     歴史小説家である著者が、夫妻で旅館・ホテルについて語った一冊である。四章までに八軒の旅館・ホテルを語り、五章では京都を、六章では焼き物を巡る旅を語り、七章では旅館への提言をし、八章と九章では夫人による時刻表を使っての旅館判別法を紹介している。
     インタビュー形式で、ややまとまりにかけた内容とはなっているが、方々を旅したお二方の経験を読むことができる面白い本であった。そうした意味で言えば、エッセイと見た方がいい。
     あくまで個人的見解による旅の楽しみ方なので、恣意的である点については念頭に置くべきである。ガイドブックではない。だが、だからこそ、容赦のない評定が見られるということもあるだろう。

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    2015年07月25日
  • 孟嘗君(5)

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    ようやく読み終わりました。
    第5巻の最後も最後にしっとりとした感動があって、読後感がとても心地よかったです。

    さて本作は全5巻の大作歴史小説ですが、文章は平易で、その時代の情勢なども作中で解説されるというスタンスになっているため、とても読みやすいです。
    ストーリーもドラマチックで面白い。
    そしてこの作品でもっとも優れているのは、そんな魅力的なストーリーを彩る登場人物たちでしょうか。
    歴史小説で登場人物にこれほど感情移入した作品はなかったですね。
    出てくる人がかなり多いですが、それぞれに印象に残るほどの個性が与えられていて、愛着が湧いてしまいます。
    読後感が心地よいと言いましたが、魅力的なキャ

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    2015年07月20日
  • 劉邦(中)

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    ネタバレ

    漢の高祖の物語の中巻。

    張良や項羽との出会いがあり、徐々に存在感が増していく劉邦が描かれています。
    まだ章邯が倒されず、司馬さんの「項羽と劉邦」(上中下)の上巻の最後の方に当たるのですが、下巻は一気に漢設立まで行っちゃうんでしょうか。
    司馬作品が群像劇なのに対して、本作はあくまで劉邦伝的に構成されているので、「項羽と劉邦」では魅力的だった登場人物たちが端折られる可能性大ですね。
    ま、宮城谷さんの楚漢戦争時代の群像は「楚漢名臣列伝」や「長城のかげ」を読めということでしょうね。
    ただ劉邦に関して言えば、劉邦の無頼時代から筆を起こしていただければ、もっと劉邦の成長が実感できたように思うだけに残念で

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    2015年07月14日
  • 孟嘗君(2)

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    第2巻も文の育ての父、風洪の活躍がメイン。
    学問を志し、商人として生きることを決意した彼がその名を白圭と改め、新しい人生を歩み始めます。
    「孫子の兵法」の孫臏も登場し、盛り上がってきます。

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    2015年07月05日
  • 劉邦(中)

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    混乱の時代の中で、人間的魅力のある劉邦が、才能のある人々の受け皿となって
    新たなものを築いていく過程。

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    2015年07月04日
  • 劉邦(中)

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    劉邦の周りに人が集まりだしたの巻。
    陳勝呉広の乱から楚に参じたが、やはり外様と言うことで一歩引いた状態で付き合う形であったが、そこで気になった項羽との接触が今後の展開につながる。 やはり項羽は楚の名門、一方の劉邦は田舎の身分もないやくざ崩れ。
    これからが二人の伸びと対立が始まる。まだ上中は最後の決戦の序章だね。次が本番。

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    2015年06月27日
  • 孟嘗君(1)

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    ネタバレ

    この度、宮城谷昌光の「孟嘗君」を読み始めました。

    まだこの第1巻を終えたばかりですが、登場人物がそれぞれ個性的な感性を持っていて、面白いです。
    またまた持病の睡眠不足が悪化しそうな本に出会ってしまったという思いです。

    舞台は春秋戦国時代の末期、そのうちの前半あたりでしょうか。
    史上初めて中国統一を成し遂げた秦の始皇帝が出てくる、その少し前の時代だと思います。
    中国の各地にいろいろな国が乱立していて、歴史の教科書では何が何だかわからない時代のひとつですね。

    物語の節々に、戦国時代の各国の情勢や現代人には馴染みのない言葉について解説がされています。
    話の流れがぶった切られるわけで、嫌いな人は

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    2015年06月14日
  • 劉邦(上)

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    劉邦の物語であるが、光武帝の劉秀の物語と同じであっさり系。結構すらっと読めてしまう。 ちょっと感動が薄い。ただ周りの人々が結構はつらつとしており、光武帝よりは物語としての脇が良い分おもしろみがあるかも。
    次は?

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    2015年06月11日
  • 劉邦(上)

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    ネタバレ

    中国漢の高祖の物語の上巻。

    司馬遼太郎の名作「項羽と劉邦」のキャラが焼き付いているのと、著者の別作品での扱いが悪かったので、本作の劉邦ができすぎた人で驚きました。
    確かに、主人公はいつも立派に描かれていたり、別作品で脇役になると悪い面をクローズアップされたりする多面性も著者の人物像の描き方ですね。
    さらに、本作の呂夫人も賢く行動力のある人で、既成の人物像をいい意味で裏切ってくれています。
    また、これまでの著者の作品と異なり、主人公の親や祖父や師匠のように導く人がいないというのも特徴です。
    本巻では決起するところまでで、劉邦がだんだん大人物になっていく途上が描かれていました。
    次巻以降で登場す

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    2015年06月10日
  • 三国志 第七巻

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     劉備とは何者か、第七巻ではその問いかけが重要な意味を持つ。華北にいた頃は呂布や曹操に勝てず、逃げ回ってばかりいた流浪の将にも、荊州では妙な後光が差し始める。赤壁において彼は呉の属将だったのか、それとも同盟者だったのか。この定義はその後の荊州南部と蜀の支配を正当化できるかどうかを判定する上で重要なポイントだが、宮城谷さんは正直に筆を進めていく。その行為は武力侵攻だったかもしれない。しかし、単に武力に勝っていたから地を得たのではない。3日で得られたはずの成都に300日を費やす。そういう姿に、いつの間にか大人の徳が漂っている。劉備の輝きが増す分、大人の態度に徹せない孫権は分が悪い。
     南方の王者た

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    2015年06月01日
  • 劉邦(上)

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    著者の新しい作品が出て、どきどきしながら、頁をめくった。劉邦は、司馬遼太郎の「項羽と劉邦」でも取り上げられているが、著者がどのように描くかとても楽しみである。次巻の発売が楽しみである。

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    2015年05月31日
  • 三国志 第二巻

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    後漢末の宦官の専横によって、政治が乱れ、黄巾の乱に至った経緯が克明かつ詳細に描かれている。ここまでが序章。お馴染みの三国志は、第3巻からか。

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    2015年05月18日
  • 中国古典の言行録

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    名言集である。初めて聞く言葉もあり、新鮮だった。そもそも名言集を読むのは、先人の言葉に学ぼうとするのではなく、日頃自分の思ってることが正しいかどうか、確認するためだと思う。そういう意味で、この本は有用だった。中国文化の奥深さを再認識した。

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    2015年05月16日
  • 三国志 第一巻

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    これは新しい三国志だ。本当に三国志を知ろうとすれば、後漢王朝が何であったのかを知悉する必要がある。曹操の祖父、曹騰もそんな時代の人であり、混乱、衰退する王朝にあっても、王朝に尽くした楊震のような人もいたことに勇気づけられる。

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    2015年03月18日
  • 管仲(上)

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    春秋時代の政治家・管仲が、不遇時代を経て斉の桓公に仕え、天下をとるまでの物語。まるで中国の史書を読んでいるかのような(や、本物は読んだことないけど)簡潔な文体で、中盤までは話がこれからどう転ぶのか先が読めず淡々と進む。しかし、淡々としているのに所々妙に哲学的なのはやはり中国である。

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    2014年11月15日
  • 楽毅(四)

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    ネタバレ

    楽毅,完結!
    楽毅の勇名を轟かせることとなる,対斉の軍略が描かれた巻であった.
    しかし,そこから晩年まではさらっと描かれていったように感じられた.
    中山国時代の軍略を扱っている巻の方がワクワクしたし,感動したように思われたのは何故だろう.

    いや,中山国時代の経験があったからこそ,燕での活躍があったのだ.そして天才が才を発揮するには,その上に立つ者の資質・そして両者の信頼関係も非常な重要な要素だったのである.
    天才を用いる者の資質・信頼なくしては,天才も歴史に現れることができないということであろう.

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    2014年10月07日
  • 晏子(四)

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    ネタバレ

    読破!
    晏子は、国の為に主君にものを言い、国の為に行動で示す。
    現代の我々は、何の為に生き、何の為に言葉を発し、何の為に行動したらの良いのだろう。

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    2014年09月17日
  • 三国志 第二巻

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    宮城谷版、吉川版、蒼天航路の3シリーズ併読の
    「とことん三国志」、先行する宮城谷版の第2巻。

    大帝国の長期政権はいかにして腐敗していくか。
    マクロの視点では体制は「変わらないこと」で
    自壊していくとなる。
    ローマ帝国における共和制及び皇帝制の永き閉塞が
    その象徴であろう。400年続いた漢帝国も同様だ。

    宮城谷はそこにミクロな視点を持ち込む。
    漢帝国の体制は内部は変わろうとして
    何度も何度も「革命」をするのだ。

    皇太后の外戚が暴政を行なえば、宦官が改革を断行する。
    その宦官が虐政をすれば、外戚が誅殺を行なう。
    すべては「大義」のための革命だ。

    しかし、いつの世も、権力の魔力が大義を取り込

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    2014年09月15日
  • 三国志 第二巻

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    組織が壊れるんじゃなくて、腐っていく(しかも緩急つけて)様子が描かれている。後半で曹操がついに登場。いつの時代の人も組織もその弱点で死ぬものだし、克服できない、気づかない事自体が資質なんだと感じた。三国志をひと通り読んでいる人向け。初めてだと面食らうかも。

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    2014年09月15日
  • 新三河物語(下)

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    ネタバレ

    最終巻。大久保家の没落が描かれるが、その段は割とあっさりしている。上巻のころの、家臣のために身体を張る、さっそうとした家康と、この巻の冷徹な天下人としての家康。その変質は、愚直に忠義を貫き続けた大久保家の視点からみるととりわけ寂しく感じられた。

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    2014年09月14日