宮城谷昌光のレビュー一覧

  • 新装版 奇貨居くべし(五) 天命篇

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    呂不韋の生涯、最後の第5巻、天明篇。

    呂不韋さん〜、彼なりの信念と正義、民衆のために、と思って生きた方だったのですね。
    イメージが良くないと言ってごめんなさい。
    歴史書は、その後に書かれたものであったり、書いた人の主観が入っていたり、解読の仕方によって見方は変わることでしょう。
    宮城谷昌光さんの優しい視点からみた、呂不韋の信念ある生き方を知ることができてよかったです。

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    2024年03月12日
  • 新装版 奇貨居くべし(四) 飛翔篇

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    呂不韋の生涯、第四巻、飛翔篇。
    呂不韋と人質として趙にいたまだ青年の始皇帝の父となる公子との出会い。
    人との偶然の出会いが歴史を作っていくことは本当におもしろいです。

    商人として成功していく呂不韋。
    人質であった公子を奇貨と見定め擁立しようとすると、
    「呂不韋の真意にある欲望とは、比類ないもので、万民を幸福にするというものであることが、けっきょく理解されないのではないか。」
    と周囲に反対されるけれど...
    うん、利や私欲のためかと思ってしまうよね。
    真意はどうだったのだろう。

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    2024年03月12日
  • 新装版 奇貨居くべし(三) 黄河篇

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    呂不韋の生涯、第三巻、黄河篇。

    「呂不韋は孫子(荀子)の、
    ——学は没するに至てしかるのちに止むべきなり。
    という教えを体現し、死ぬまで学問を続けた人である。」
    やはりまだキングダムの呂不韋のイメージとは違う呂不韋。
    冷静に考え続けて、商人として生きる決意をする青年時代。

    貧しい人や困っている人を救い、出会う人々の生き方から学び、
    「苦しむ者が勝つ。」
    という自分なりの思いを導き出す呂不韋。

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    2024年03月12日
  • 新装版 奇貨居くべし(二) 火雲篇

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    呂不韋の生涯、第二巻、火雲篇。
    波乱万丈な青年時代を生きる呂不韋。
    秦の兵士に囚われ奴隷のようになるも、そこでの師と仰ぐ人と出会い、運命に導かれるように流れていく。人との出会いの意味を深く思います。
    荀子、孟嘗君。
    困難にあい、乗り越え、人と出会い、学び続ける呂不韋。
    とてもいい人に成長しそうな気配なのだけど。
    同時期を生きている白起や楽毅も気になってきます。

    「—— 学は耳より入れば、心に著(つ)き、四体に布きて、動静に形(あら)わる。
    ようにしなければならない。耳できいたことを心に到らしめ、全身にゆきわたらせて、行動や態度に表現しなければ、理解したとはいえないのである。」

    「努力し、本

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    2024年03月12日
  • 新装版 奇貨居くべし(一) 春風篇

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    キングダムの中で良いイメージのない呂不韋。
    呂不韋の生涯、全5巻のはじまり、春風篇。

    少年の頃はこんな日々を送っていたのね。
    孤独、生まれもった資質。
    環境が人を成長させていく様子が興味深いです。

    呂不韋と藺相如との出会い。
    藺相如の和氏の璧と「怒髪上りて冠を衝く」エピソード。
    黄歇(春申君)、孟嘗君、廉頗将軍、とその他の登場人物にもわくわく。

    「偉人とは苦難のかたまりのようなものだ。偉人になりたいと望むことは、天に、死ぬほどの苦難をくださいとねだることだ。」

    どんな苦難を乗り越えて、あのキングダムの呂不韋になっていくのか、続きが楽しみです。

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    2024年03月12日
  • 孟嘗君と戦国時代

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    中国史の中でも大好きな春秋戦国時代。
    戦国四君の一人、斉の孟嘗君を通して戦国時代を読み解いています。

    孟嘗君の「鶏鳴狗盗」の話も好きだし、それをもとに清少納言が「夜をこめて鳥の空音ははかるともよに逢坂の関は許さじ」と詠んだエピソードも好き。
    そして「キングダム」の時代へ続くということで、本当に激動の戦国時代。
    戦国七雄、それぞれの国から見るとそれぞれの立場と見方があってとても興味深くておもしろい

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    2024年03月10日
  • 三国志入門

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    三国志は登場人物がたくさんいて名前も似てるし、広いから地名も覚えたりイメージするのが大変で、関連本や解説本を含めて何度読んでも新たに知ること、理解することが多く本当に奥深いです。

    今回は宮城谷昌光さんの三国志入門。
    宮城谷さんらしいわかりやすい入門書で、流れがよくわります。
    「三国志のことば」の章では「水魚の交わり」「鶏肋」「呉下の阿蒙」など三国志にまつわる故事成語が紹介されており、とても興味深かったです。

    正史「三国志」、「三国志演義」、その他「三国志」を扱った中国ドラマや映画「レッドクリフ」。
    いろいろな視点によって登場人物のイメージが変わったり、深まったりするのも「三国志」のおもしろ

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    2024年03月08日
  • 呉越春秋 湖底の城 九

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    呉越春秋は呉の伍子胥から越の范蠡に主人公がうつっていきました。范蠡篇。
    呉から見ていたものを越側の視線に変えるとまた見え方が変わってきて、王が変わると国も変わってきて、興味深かったです。

    上に立つ者の資質によって国のあり方は変わってしまうし、努力や忠誠は報われるわけではないのか‥
    人を見抜く目や先を見越してどう振る舞えばよいかを見極める大切さ‥
    いろいろと考えさせられました。

    「人は、環境と地位のちがいによって、変わるものである。他人への好悪の方向、角度、濃淡さえ変わる。」

    確かな歴史的記述が極めて少ない時代を宮城谷さんの力で生き生きとした世界に作り上げてくださり、春秋時代に色がついて見

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    2024年03月05日
  • 呉越春秋 湖底の城 六

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    中国・春秋戦国時代。楚王に父と兄を処刑され復讐のため呉で生きる伍子胥が中心の伍子胥篇。
    「屍に鞭打つ」がここに。
    そして「孫氏の兵法」で有名な孫武との出会いと2人の信頼関係。後宮の女性たちを兵に仕立てるエピソード。
    点であった歴史上の事実やエピソードがストーリーになると、生き生きと人間味を帯び、身近に感じます。

    「生まれてから死ぬまでの時間が、すべて有意義であるという人などひとりもいない。むなしさにさらされている時を、意義のあるものに更えるところに、人のほんとうの心力と智慧がある。」
    うんうん、どんなときも工夫と心持ちで次への力に変えよう。

    次は越の范蠡篇へ。

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    2024年03月05日
  • 三国志名臣列伝 後漢篇

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    後漢の忠臣たちから見る三国志時代は、また違う景色が見えます。
    後漢末期、王朝のために立ち向かった7人の忠臣たちのお話。

    その忠臣の荀彧や孔融や漢王朝最後の皇帝の献帝たちがでてくる「三国志 Secret of Three Kingdoms 」という漢王朝と曹操をめぐる中国ドラマをちょうど見終わったあとだったので、さらに彼らの生き方をや時代を知ることができておもしろかったです。

    私は吉川英治さんの「三国志」しか読んだことがないので、宮城谷昌光さんの「三国志」も読んでみたいし、後漢・魏・呉・蜀それぞれの視点から見える三国時代も比べて見てみたいなと思います。

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    2024年03月04日
  • 三国志名臣列伝 蜀篇

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    正史ベースで三国志を描いた列伝の蜀編。吉川英治三国志から入った身としては分かりやすい人選である。劉備のしぶとさ不気味さとでもいう発想と行動が読み取れる。曹操に劣らず人事登用に関してこの人もハズレがなくやはり英雄といえよう。
    ほぼ文盲ながらも馬謖の誤りを指摘して行動した王平やたぶん瞬間記憶力を持つ天才でありながら治世を保った費禕はまさに名臣。諸葛亮のところを読むと曹操の徐州虐殺がやはり失敗だった事が分かる。
    関羽や張飛は演義の大活躍に比べると地味な気もするが正史にもある単身で大将の首を取った関羽、橋で曹操の大軍を一喝して退かせた張飛の特級的殊勲は凄い。関羽は曹操からの高評価、劉備嫌いの程昱も関羽

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    2024年03月03日
  • 諸葛亮 <上>

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    爽やかで飄々とした諸葛亮。
    突飛な事は少なく相談役的な諸葛亮?
    劉備に対する人物像は言葉にしてもらってスッキリした。
    蜀側に聖人君子が多過ぎてちょっとお腹いっぱいになるかも。

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    2024年03月03日
  • 介子推

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    『重耳』を読んで興味を持った介子推。
    中国・春秋時代、賤臣として、重耳が晋の王位(文公)につくまで19年に及ぶ苦難の亡命生活に従い重耳を陰から助けた介子推。
    人知れず尽力した介子推の功績は重耳に届くことはなく、論功行賞の対象にはならず、功臣の要求に応じて論功行賞を行ったりそれどころかそれまで命を狙っていた者も受け入れるという重耳に失望したということです。
    認められなかったことではなく、敬愛する主君への失望から、故郷の山へ去ってしまう介子推。
    生きのびるのが精一杯の想像を超える苦難を乗り越えたのに、19年も、それはもうやってられないですよね。
    なんだか哀しい。

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    2024年03月01日
  • 歴史を応用する力

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    歴史書のほんとうの凄みというのは、年齢に関係なく、人の自立力、発想力を育ててくれるところにあるのではないかと思います。」
    歴史から何を読み取れるか、とってもワクワクします

    織田信長や水戸光圀など日本の多くの歴史上の人物も中国の歴史から知恵を得ているところも、同じものを読んだのかもしれないと思うとドキドキです。

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    2024年02月26日
  • 呉漢(下)

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    後漢の呉漢。
    貧しい農家で他人の農地で働いていた呉漢が、後漢の祖・光武帝に信頼される武将となり共に中国全土を統一する物語

    貧しい頃からどんなに武功をあげて立派になろうとも一貫して人を思いやり、謙虚に教えを受け入れる呉漢の姿勢が立派でした。

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    2024年02月25日
  • 沈黙の王

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    中国の数千年前の古代を題材にした短編集

    なかなかイメージがわかないほどの古い時代の人々を驚くほど生き生きと描いています。
    歴史書では文字としてしか感じられないことを、私たちと同じように生きた人間として手触りを与えてくれて、とても嬉しくワクワクしました

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    2024年02月25日
  • 新装版 奇貨居くべし(五) 天命篇

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    呂不葦は、趙の人質である、異人 を見て、奇貨なり、と感じ、父に相談。
    戦国策に父と呂不葦の問答あるとか、
     問)耕田の利益は幾倍か →答)十倍だ、
     問)珠玉の儲けは、幾倍か→答)百倍だ
    では、国家の主を立てた儲けは、幾倍ですか →答)かぞえきれぬ 
    と。では、秦の公子である異人に、事えてみたいと思います。
    奇貨、居くべし、蓄えておく と投機(買い持ちですな)を行う事を決断、
    呂不葦は、秦に出向き、様々な艱難辛苦を経て、異人を、秦に迎える、という。
    異人の子供が、秦の始皇帝となるわけですが、まあ、凄い物語であります、★四つ

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    2024年02月18日
  • 諸葛亮 <上>

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    宮城谷版「諸葛亮」。
    この人の書く文章は、妙に説明臭くて以前からあまり好きじゃなったんだけど、「諸葛亮」好きとしては読まぬばならぬと思い、思い切って購入。

    今までの三国志、演技とも違う部分があり、よく調べて書いてある印象。脇道への逸れ方も昔程鼻につかない。

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    2024年02月03日
  • 晏子(一)

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    ネタバレ

    随分前に胸を躍らせて読んだ記憶がある。マンガで三国志を読んだ勢いで、再度「晏子」を読むことにした。時代は春秋時代。諸葛亮孔明の生まれが181年、晏弱(父)の生まれが紀元前556年ということなので、この本の舞台は、三国時代から遡ること700年くらいだということになる。

    春秋時代中期に大国と呼べる国は、秦、晋、楚、斉の四国で、本書の主人公晏子はその斉の人である。ただし、本書はその父・晏弱の活躍の時代から描いている。

    第一巻の主役は父・晏弱。斉の当時の君主・頃公の品のない外交上の悪戯が晋との間に確執を生じるもととなり、その尻ぬぐいにかりだされたのが、本書での晏弱の最初の役割だった。

    晋の郤克の

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    2024年02月01日
  • 諸葛亮 <上>

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    下巻を先に読んじゃったんだけど,上巻の前2/3が読み易いのは・・・~郡丞の父の元で次男に生まれた亮は,実母が死に実父が死んで,叔父に引き取られ,叔父が袁術によって豫章郡太守に任じられて同行し,大過なく1年を過ごして野に下り,荊州に非難して,荒野を開いて殖産で財を築き,亮を塾に通わせて,生涯の友と名士との知己を得た。曹操と対立していた劉備が荊州に流れてきて,再三の招聘で劉備に仕え,呉の孫権と連携することを提案して受け入れられ,赤壁の戦いで曹操が退いた後,益州を本拠として天下平定を提言する~想像で書いた(フィクション)からだね。三顧の礼以降は史書に記されているから迂闊なことは書けないのだ

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    2024年01月30日