宮城谷昌光のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
たとえば、その頃の日本は縄文時代と呼ばれている。
邪馬台国の卑弥呼が魏志倭人伝に登場するのはそれから1000年以上後のことになる。
そういう時代である。主人公の望も、後世からは神話的性格が色濃くみえ、その人となりをつかむには、真っ暗闇の平原を手探りでさがしまわるような困難があったはずである。もともと歴史小説にはファンタジーを描くような側面があるが、この主題に取りくむことは、それこそ想像力に翼でもはやさなければやり遂げることはできなかったであろう。
そして、生身の望をぼくはみた。宮城谷昌光の暗闇の中を踏破する勇気によって生々しさが与えられた太公望であると、そうおもっている。
じつは、この作