宮城谷昌光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「砂と星の国 晋」
ロマンチストな表現にどれだけ明るくて素敵な国なのだろうとの想像を裏切り、
その誕生から成長まで血にまみれている、なかなかハードな国。
重耳というタイトルなのに重耳の祖父、称の国力増強から物語が始まるところに宮城谷さんらしさを感じる。
食前酒、前菜、パン・・・とメインを待っている内におなか一杯になってしまうことが多いのだが、
これはちっとも満足させない。寧ろ食べれば食べるほどメインが待ち遠しくなる魅力を秘めている。
どうやって重耳は覇者となりえたのか。
その素地は一体どこでできあがったのか。
その疑問に答えを与えてくれているかのようだ。
初読では、称からどうして重耳のよ -
Posted by ブクログ
活劇系。一巻は勢いもあってぐんぐん読める。主役兄弟の青春の熱が愛おしい。いつも正義で描かれる人々が、裏側の視点で立ち上がってくる。勝者の語る歴史以外を探る視点が、歴史を眺めるうえでは大切なんだなと分かる。英雄たちに残る苛烈なエピソード、一見清冽な意志から生まれているようで、よくよく眺めてみれば打算や計算が見え隠れするような判断や行動。自分が史実を眺めるときも、常に考えたい部分だ。時代の趨勢は大局的で、誠実に生きる人々に残酷な選択しか迫らない。こまやかな配慮も大きな力の前では無力で、すごく切ない。そんな中でも、信念を貫くこと、貫けなかったことに気づくこと、生き方を考えることを、捨ててはいけないん