宮城谷昌光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
前520年頃。晏嬰(あんえい)とその父晏弱(あんじゃく)の物語。斉の名宰相と呼ばれた晏嬰。史記の著者である司馬遷も彼を尊敬していたそうです。
晏嬰は,父が死んでから古い礼儀にしたがい3年間の喪に服したそうです。当時は1年はあったとしても,3年間は珍しく,これが人々の尊敬を集めるきっかけになります。喪中に敵が晏嬰宅に攻め込みましたが,これを見て感激し「手を出してはならぬ」と命じたそうです。
晏嬰が喪から明けたとき,斉は宰相の崔杼の陰謀等により滅亡の危機でした。しかし崔氏も没落し,景公が王位についた時,晏嬰は入閣しました。晏嬰は景公にも臆することなく諫言し,国を大いに栄えさせました。
晏嬰は歯に衣を着せず,相手が君主であろうとNOを言い続け,しかも天寿を全うしたことがすごい。
また晏嬰は位が高くなろうとも質素倹約につとめたことは,管仲や范雎,子産が多少吝嗇に走ったことを考えると異質であり,すばらしい。
春秋戦国時代は,富めば嫉視され,貧しければ蔑視される。力があれば憎まれ,力がなければ虐げられる。このような中,正道を進んでゆくのは至難である。しかも天寿を全うするなど,天が晏嬰を生かしたとしかいいようがない。
「君主に愛されるより,民に愛されることだ。君主は一代であり,民は永代である」「人が迷うとすれば,欲においてである。欲を捨てれば,自ずと迷いも消える。ただ,欲を捨てようとすることも欲であり,難しい。過大な欲を捨て,寡欲であればよい」「勇気とはおのれの正しさを貫いてゆく力をいう」「やり続ける者は成功し,歩き続けるものは目的地に到着する。わたしは人とかわったところはないが,やりはじめたことはなげださず,歩き続けて休まなかったものです。あなたが私に勝てないというのであれば,ただそれだけのことです。」この言葉が好きだ。
全4巻
1回目2008/2/3 -
Posted by ブクログ
愛読している宮城谷さんの作品の
なかでひさびさに涙したのがコレ。
もともと春秋時代が好きなんだけど、
宮城谷さんの 作品のなかでとくに
こういう春秋・戦国時代の小国の、
君主をカゲで支える系家臣に
スポットをあてた作品が大好き。
こういう清廉潔白な、なにがあっても
正義をとおそうとする人がいい。
そういうところは晏子に
つうずるものがあると思う。
泣いたのも晏子以来かも。
君主っていうのは頭がよくなくていい。
こういう逸材をひきよせ、アドバイスを
うけいれる心があればいいんだ。
宮城谷さんは、文章自体には一切感情を
こめないのに 人のちいさな感情の
動きを見事に表現するのがすごい。
「目もとに微笑を含ませた−」
とかそういう表現が好き。 -
Posted by ブクログ
矢張り偉人は偉人だと感じた本です。管仲は言わずもがなで、彼を推挙した鮑叔の言動も「人間わざとはおもわれない」(下巻P269)です。何と言うかもう人の交わり、情感の所在、全てが飛び抜けていて、歴史――過去の出来事であるのにファンタジーとしか思えないほど。
中には幾つか不透明になる所もありましたが。幾つかの説話を持ってこられて鮑叔像が混乱したり(苦笑)。重要なのは血のつながり云々というよりも姓氏の方なのかとか疑問もあったり。まあこれは己の不勉強さ故なのですが。
あ、この本で存外注視されていた文姜の存在がとても気になります。彼女の一生はとても興味深いです。