宮城谷昌光のレビュー一覧
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古代中国、春秋五覇の一人、晋の文公である重耳。
親子で、兄弟で、国同士で、滅ぼし滅ぼされで‥なんかもう‥な時代。
亡命生活19年。
重耳自身の強い思いというより、臣下たちの強い思いに導かれるうよに覇者となっていくところがおもしろいなと感じました。
春秋時代の「中国の伝統的な情意のありかたと行動」のようですが、重耳が亡命時代に自分たちを冷遇した人たちを許さず復讐をするところはちょっと‥と思ったのだけど、覇者となるには当然のことなのでしょうね。
「天命も天啓も、あたえられたときに受けねば、二度と得られぬであろう。」 -
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後漢の光武帝、謙虚で思いやりとまごころのある皇帝の物語
あまりの立派な生き方に本当に感動しました
こんなに徳のある皇帝がいたのですね
「善は、積み重ねてはじめて善になる。」
「強くないこと、豊かでないことを、耐えるのではなく、その弱点こそ長所であると考え、それをもって強いもの、豊かなものをしのぐという発想である。」
「呉漢」を読んでから、呉漢が尊敬して仕えた光武帝に興味を持って読んだので、物語の後半で呉漢と出会い、感動
光武帝と呉漢から、謙虚に、思いやりをもって生きることの大切さを学びました。
「歴史は、いまを生きる者にとって、鏡戒(あきらかないさめ)となりうる。」という宮城谷さんの言葉は本当に響きます。 -
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三国志や春秋戦国時代をさらに遡り、時代は殷。暴君紂王が悪虐の限りを尽くし、天も人も新たな風を求めた世において、後世にも不滅の光芒をはなつ人物があらわれる。王朝の殺戮から逃れた羌族の少年、太公望がそのひとである。
中国史においては、三国時代や春秋戦国時代が有名で多くの書物やゲームでも題材にされているように思います。実際、私もこれらの時代はいろんな媒体を通じて楽しませてもらっているところですが、私にとってのはじめての中国史は藤崎竜氏の漫画「封神演技」でした。基本はバトルものですが、緻密な構成にギャグ要素もあり、週刊誌に掲載されていたこともあって、子供だった当時は毎週ワクワクしながら読んでいた覚えがあります。主人公の太公望は、策士として時には汚い手も使いますが、とても魅力たっぷり。私にとって太公望とは、この漫画のイメージが強くあるのですが、宮城谷昌光が描く太公望も、これまた素敵な人物。族長として、軍師として、様々な立場で人を導いていく太公望。彼が投げかける言葉はときに物語を飛び越えて、読者の心をうつことがあります。宮城谷昌光の特徴なのかもしれませんが、本書では太公望に限らず、多くの信念を持った人物が登場し、彼ら彼女らの言葉にとても心を揺さぶられました。信念を持って、苦難に立ち向かいながらも正しいことを行うことの大切さを勉強させられました。
個人的に感じている宮城谷昌光のもう一つの特徴は、終盤が尻窄み傾向にあること。本書でもその印象があり、それまでの盛り上げが素晴らしかっただけあり、牧野の戦いも含めた終盤は、もっと膨らませて欲しかったなぁというのが率直な思い。
とはいえ、非常に楽しめた全3巻。引き続き宮城谷昌光の中国史を読んでいこう。 -
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ネタバレ遂に終わってしまった。
三国時代って、中国の長い長い歴史の中で一瞬のように短い。
蜀は二代、魏は五代、呉は四代しか続かず、その国の終焉はどれも自滅と言っていいようなもの。
才ある者の枯渇、権力者の専横、など。
滅ぶべくしてほろんだ王朝ではあるけれど、建国前から読んでいた身にすると、先人たちの苦労や偉業をふみにじるような愚かな後継者たちに忸怩たる思いがぬぐえない。
それにしても今まで読んできた三国志となんと違う事よ。
曹操の祖父の時代から書きはじめられたのは、幕末を描こうとして関ヶ原から描き始めたみなもと太郎にも通じるけれど、わかりやすくはあるけれど情報量が多すぎて、思考も行きつ戻りつしながらこの作品を咀嚼した。
桃園の誓いもなければ、赤壁の戦いにおける劉備軍の活躍もない。
そもそもこの十二巻の作品中、多分蜀の記述が一番少ない。
史実に残されるような出来事があまりなかったのだろう。(三国志を編纂したのは晋の時代)
だから、フィクションにする余地が多かったのだな、きっと。
そして、これは中国に甚だしい特徴だと思うのだけど、誰かが出世すると一族みんなが優遇される。
これは儒教的なことなのかな。
そして、だれかが罪に問われると一族全員が族滅させられる。
だから権力闘争が命がけなのだ。
そして儒教的感覚では、上に立つものの指示に従うのが是であり、過ちを正すのは否らしい。
時代の違い、文化の違いを超えて、人の思いや行為って通じるものがあるんだなあと巻を通してしみじみ思う。
ああ、面白かった。
次はだれの三国志を読もうかな。 -
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ネタバレ読む前はちょっと腰が引けていました。
宮城谷昌光だからなー。
史実に基づいたエピソードが、多少時系列を前後させながら淡々と書かれているんだろうなー。
難しくなきゃいいけれど、ま、三国志だし、なんとかなるか。
いや、もう、面白かったのなんのって、久しぶりに手を引っ張られる勢いで物語世界に引きずり込まれました。
普通の三国志は、人心がすさみ食べる物にも事欠くような世の中で黄巾の乱が起こり、それを憂いた劉備と関羽と張飛が桃の木の下で兄弟の契りを結ぶところから始まるのですが、この本は違う。
「四知」から始まります。
「四知」とは「天知る。知知る、我知る、子(なんじ)知る」のことで、誰にもバレないだろうと思っても、悪事は露呈しないわけがないという意味です。
この言葉を言った楊震(ようしん)は、後漢時代の儒者であり、請われて重臣となった人です。
その清廉潔白の人が、陥れられ死なねばならなかったのが、後漢という時代。
三国志と言いながら、物語はここから始まります。
まるで、幕末を描こうと思って関ヶ原から始まった、みなもと太郎の「風雲児たち」みたいじゃありませんか。
少し前の時代から始まることによって、時代の背景が明確になり、何年とか誰がとかの個別のことはさておき、流れがつかめるようになります。
どういうわけか短命な帝が続いた後漢時代。(後半は毒殺じゃね?って思っているんですが、どうでしょう)
帝が若くして亡くなるということは、皇太子が幼いということ。
皇太子が幼いということは、後見人が力をもつということ。
というわけで、帝の未亡人である皇太后と、その血族が力を持つ時代が続きます。
善政を布くならそれで構わないのですが、そういう人ばかりではありません。
自分達の好き勝手にふるまうことに歯止めが効かなくなる人が多いわけです。
降ってわいた権力ですからね。
そして、王朝が堕落すると、官僚も堕落します。
自分たちだって好き勝手やっていいだろうと。
もちろんたまには正しいことを言ったりやったりする人もいますが、そういう人はたいてい目の上のたん瘤扱いされて、最終的には追放されるか命を奪われます。
ローマ帝国の末期みたいですね。
そんな時、帝に子どもが生まれます。
しかし生みの母は殺され、父に愛されることもなく、見かねた皇太后が手元に置き慈しんで育てたのが後の順帝です。
いつ何時命を狙われるかわからない立場の皇太子ですが、大仰に警護すると却って敵を刺激することを畏れた皇太后は、幼い宦官たちで順帝の周りをガードします。
なので、一度皇太子の座を追われた彼に帝の座を持ってきてくれた宦官たちを、順帝はとても信頼しています。
しかしそれが、官僚対宦官、外戚対宦官の火種にもなってしまいます。
いや、順帝の時代なんて、ほんのちょっぴりしか書かれてないんです。
ほとんどは彼の父親安帝のころか、その前。
で、順帝の死後の後継者争いでこの巻は幕を閉じます。
固有名詞は難しいので、なんとなくで判断。
時代は後漢の中盤なので、福岡県の志賀島で発見された金印のちょっと後の時代。卑弥呼より結構前。
くらいの知識でも十分読み進めることができます。(よいこはもう少し勉強してね)
書き忘れましたが、順帝が幼い頃から身近にいた宦官の一人が、曹操のおじいちゃんです。
一般的な三国志ではあまり評判のよくない曹操ですが、私は曹操一押しなので、今後がめっちゃ楽しみです。
よく考えたら、三国志って三国ができる前の話がメインなんですよね。
なら、このアプローチもありだな。