宮城谷昌光のレビュー一覧
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中国 戦国時代中期の名将・楽毅の小説。
生き方自体が哲学であり、その言動が彼の生き方そのものを映している。
そんな一本筋の通った潔さ・清々しさに胸を打たれる逸品である。
宮城谷小説には珍しく、物語の冒頭から青年の楽毅が登場する。
序盤の彼は、孫子の兵法を学び、過去の歴史を学ぶ、小国の宰相の子として登場する。暗愚な君主に率いられた中山国でいかに生きるか、悶々と悩む彼の行動にはまだ迷いが多く、正直この時点ではこの小説の魅力に疑問を感じた。
しかし、読み進めるほどに楽毅が成長し、いつしか孫濱兵法を戦場だけでなく外交・内政でも発揮する、実践する哲学者とでも言いたくなる楽毅像が出来上がってくる。
もうこうなると、彼の生き方・進退の鮮やかさ・人間的魅力にただただ魅了されるばかり。
魅了されるばかりではない。組織の№2としての組織への殉じ方、あるいは前線部隊の長としての部下育成のあり方など、今の世でも活かせるような哲理を言動で表している、実に得るところの多い書物である。
面従腹背・朝令暮改の世の中を、「人」に視点を据えて清々しく見事に生き切った楽毅の姿を、ここまで鮮やかに想像した宮城谷氏の筆力に、ただただ感嘆。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいよいよ最終巻。
本当に読み終わるのが惜しかった。そして読み終えた今は、とても寂しい。
このどっしり三冊、充実してます。
結局復讐だけではないんですよ。
誰かを助けたいとか、不平等のない世界にしたいとか、そのために旧弊はいらぬと、だから(恨みもあるせよ)王を倒さなくてはならなかった。
つ、続きほしい…!
斉に封ぜられた太公望のその後が知りたい…。(宮城谷さんの語りで)
下巻で登場して一気に私の心を奪った召公セキ。(漢字でない…)
太公望より一回りぐらい若い(設定の)ようですが、とても男気があってかっこいいのです。さすが。
さて牧野の戦いで周が商を破り、天下を獲ると、すぐに武王が崩御してしまい、早速の危機。やっぱどこの時代も国も、王朝が変わってすぐが危ないんですね。この危機を乗り越えた太公望は自分の舅がいる国の近くに邦をもらいます。そして師匠に出会うところでこの物語は終わる。
未来のある終わり方。
でももっと読んでいたかった…。本当にこの物語はいい。
理想を追い求める男子に読んで欲しい。おしゃれとかじゃないけど、かっこいいんだぜ!
歴史好きなおじさんだけに読ませとくには本当に惜しい。脇役まで血が通った、かっこいいお話。相変わらずすてき。 -
Posted by ブクログ
宮城谷さんは長編もいいけど短編も面白い。
春秋、戦国、に続く名臣列伝シリーズの第3弾。
項羽と劉邦の時代に活躍した名臣達10人が紹介されている。
10人紹介されているうち、漢の臣が6人を占めるのは結果的に漢が天下を取ったのと無関係ではないと思う。それだけ有能で魅力的な人たちが集まってから放蕩無頼な劉邦が天下を取れたのだろうから。
個人的に好きなのは張良と蕭何。司馬遼太郎の「項羽と劉邦」を読んだ時からのイメージに引きづられてるのかな。
ところで、項羽と劉邦、とかたやあざな呼び、かたや諱呼びで呼びならわされているのはなんでなんだろう。
項羽の名前は籍だし、劉邦のあざなは季だから、「項籍と劉邦」もしくは「項羽と劉季」じゃないとバランスが悪いと思うのだけど。
三国時代でいえば、劉備と諸葛孔明といったり、劉玄徳と諸葛亮といったりもするから、特に不思議でもないか。