宮城谷昌光のレビュー一覧

  • 劉邦(上)

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    小説作品をこれだけ面白く読み切れたのは
    どれだけ振りだろうか・・・(笑)
    これまで読んだ司馬遼太郎版と
    横山光輝版「項羽と劉邦」との違いを
    楽しみながら補完しながら
    上中下巻を一気読みできました。
    宮城谷作品を読んだのは「夏姫春秋」以降
    久々、これまで勿体ないことを
    してきたのかも・・・。

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    2015年07月31日
  • 劉邦(下)

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     劉邦を描いた三部作終の巻は、息つく暇もないほどの密度で展開された戦記であった。これぞまさしく楚漢戦争であろう。
     劉邦という人を思うと、やはり即位後が簡略にさえ記されなかったところは物足りなさを感じる人も多いだろう。儒教の取り入れと、乱れた治世。あるいはこれは彼の没後ではあるが、呂皇后の戚夫人への陰惨極まる処刑など、エピソードとしては面白いものがあまりに多い。
     だが、紙面の限界を思えば、これでさえよく詰め込んだものだとも言える。戦記としては本当にダイナミズムに富んだ内容を豊かな筆致で描いているし、そこで描かれた鋭さは読み応えのあるものだった。

     評価が難しいところだが、ここでは星五つと評

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    2015年07月23日
  • 草原の風(上)

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    ネタバレ

    上巻は劉秀の人柄を書こうとされてて面白かったが、中、下と進むにつれていつものように主人公が超人的に聖人君子にように描かれていてちょっとがっかりした。上巻が面白かっただけに残念。小説中の描写からも、劉秀は聖人君子ではなく他の天下人のように周りの意見をよく聴くことの出来る人だったのではないかと思う。小説中にも進言をいれる箇所が何箇所もあり、それが劉秀の美徳と思うのだが、そのすぐあとに進言をした臣下ではなく劉秀を褒める描写が多くあり違和感を感じた。ただ以前よりストーリーがテンポよくその点は良かった。

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    2015年07月22日
  • 楽毅(一)

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    同作者の「孟嘗君」を読み終えたので、次はこれを読み始めました。
    本作は「孟嘗君」と同じ戦国時代の話で、序盤に孟嘗君その人も出てきます。
    孟嘗君は作中において、主人公である青年楽毅の心の支えといえるくらいの重要な人物なので、「孟嘗君」を読んでいると感慨もひとしおと思います。

    「孟嘗君」は戦国時代の話のわりに人間ドラマ的な色合いが濃かったのですが、本作はまさに戦国という感じ。
    「孟嘗君」も優れた作品であることは間違いないですが、個人的にはこっちのほうがわかりやすくて好きですね。

    主人公の楽毅ですが、第1巻ではまだ二十代の青年です。
    にもかかわらず、人格がすでに完成されています。
    昔の人でそれも

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    2015年07月21日
  • 楽毅(一)

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    見事に生きるとはどのようなことか。キーワードは「臣」と「君」。現代の私たちも、個人事業主でもない限りは、臣か君かのどちらかであると言えるのではないでしょうか。すべての臣へ。すべての君へ。

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    2015年07月15日
  • 三国志 第十二巻

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    宮城谷昌光の「三国志」全12巻を読み終えました。
    作者の文章に慣れてきたのか、比較的スムーズに読むことができました。
    相変わらず、登場人物の多さには閉口しました、1200人余りだそうです。
    しかしながら、わかりづらいのは人名だけでなく、地名もです。
    ある武将が何処から移動して、どこで戦ったのか地名だけではわからないのです。
    添付されるべき地図がまことにもって不親切なのです。

    ご存知のように、吉川英治の「三国志」の元になった「三国志演義」は
    史実とは異なったフィクションが数多く含まれた読み物なのです。
    例えば、あの劉備・関羽・張飛の3人が義兄弟の誓いを結んだとされる
    「桃園の誓い」は「三国志演

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    2015年06月18日
  • 劉邦(中)

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     時代が展開される中巻では、ようやく項梁、項羽が姿を現し、それと同時に章邯という秦末の名将が歴史の舞台へと上がる。
     この辺の抗争は「香乱記」を思い出させるところだが、あちらで中心となった視点とは別個に、こちらでは劉邦と項羽にスポットが当たっている。その描き方は、やはりさすが宮城谷先生、なかなかに興味深い。
     歴史上には様々な魅力的な if が存在するが、関中を制圧しに向かう劉邦と共に項羽が居たならどうなっていたのか、とこの巻ではとても魅力的な if が問われている。果たしてどうなっていたかは、本当に興味深いところだ。
     話がそれるが、少し真面目に考えてみれば、この章邯にせよ、あるいは後漢の皇

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    2015年06月17日
  • 劉邦(上)

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     宮城谷版劉邦物語である。いつものように豊富な資料をベースにディテールが構築された、新しい像を持った劉邦像が描かれている、と言っていいだろう。
     上中下巻の連続刊行が予定されている、すでに連載が終了している作品のようだが、この上巻では兵を挙げて官軍を打ち破ったところで物語はクローズしている。
     さすがの文章の巧みさであり、近刊で見られるように(一時あまりに淡泊だった描き方から脱却して)物語の温度も高め。歴史的に見ても重要な夫人の呂氏がよく描写されている辺りも、「草原の風」などに比べて物語の持つ濃さを感じさせるところだ。

     氏の作品では「長城のかげ」や「香乱記」においてすでに劉邦が現れてはいる

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    2015年05月19日
  • 晏子(四)

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    ネタバレ

    崔杼が死んだ。
    君を弑して終わりが良いはずはないが、哀しい。
    そして、晏嬰も死んだ。
    景公は、御者を押しのけ、みずから馬を御しながら
    「これでも馬は走っているのか」とわめき、
    ついには自分の足で走った。
    少々出来が悪くても愛すべき君主だった。

    最近の宮城谷さんの本はなかなか文章に没頭できない面があるけど、この本は何度読んでもドキドキしたり、泣いたりしながら、晏子親子の生涯を時間軸を同じくして見続けた気がする。

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    2015年03月29日
  • 晏子(三)

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    ネタバレ

    何度目かの再読。

    ー荘公にとっての真の臣下は、晏嬰しかいない。かなしいかな、荘公はほんとうに自分を敬愛してくれるものをみぬけない。

    哀しみと感動で読み進める第3巻。
    社稷の臣とはこうあるべきだと語られる一方、崔杼の悲しみが胸を締めつける。

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    2015年03月28日
  • 新三河物語(上)

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    何故もうちょっと早く読まなかったのだろうと素直に思えた作品。新しい家康像が新鮮。がそれだけでなく、どう生きれば良いのか?を示唆させてくれる。

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    2015年02月21日
  • 管仲(下)

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    ここまで淡々と進んできた物語だが、下巻に入ってからは雪玉のようにあっちに転がりこっちに転がりながらクライマックスを迎える。特に、ライバルかつ親友の鮑叔や敵国宰相との知恵比べのくだりは実に痛快。
    著者は『春秋左伝』などを下敷きにして肉付けしたらしいが、これが紀元前の話(♪殷周秦漢…の周と秦の間)なんだから恐れ入る。

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    2014年11月15日
  • 三国志 第七巻

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    文章の中身は全く文句なく素晴らしいのですが、巻頭部分にある地図が余りにも貧弱で隔靴掻痒の感ありです。例えば、合肥という地名は記されておらず、「三国志事典」(岩波ジュニア新書)ではじめてわかりました。でも、公安という所は両書とも記載されていません。それに、デジタル化の時代ですから、地名と人名の索引は別巻として発行して欲しいものです。その時に是非とも充実した地図も掲載していただきたい願っております。これほどの力作を活かすためにもお願いしたいと思います。

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    2014年06月19日
  • 草原の風(下)

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    10年~50年頃の後漢時代の中国。三国志の約200年前。劉邦の子孫で劉秀という人物が、後漢王朝の光武帝となるまでを描いた作品。劉氏一族の一人とは言っても田舎出身の田畑を耕していた平凡な男であったが、叔父や親戚やまたその周りの人達から人格や秘められた偉才をかわれ、その期待を裏切らずに王朝を築いていく。仁徳、威徳は人を集め助けていくものなのだと納得させられる。従僕の伋が思い出を語る部分は涙必至。

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    2014年06月09日
  • 草原の風(中)

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    10年~50年頃の後漢時代の中国。三国志の約200年前。劉邦の子孫で劉秀という人物が、後漢王朝の光武帝となるまでを描いた作品。劉氏一族の一人とは言っても田舎出身の田畑を耕していた平凡な男であったが、叔父や親戚やまたその周りの人達から人格や秘められた偉才をかわれ、その期待を裏切らずに王朝を築いていく。仁徳、威徳は人を集め助けていくものなのだと納得させられる。従僕の伋が思い出を語る部分は涙必至。

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    2014年06月09日
  • 草原の風(上)

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    10年~50年頃の後漢時代の中国。三国志の約200年前。劉邦の子孫で劉秀という人物が、後漢王朝の光武帝となるまでを描いた作品。劉氏一族の一人とは言っても田舎出身の田畑を耕していた平凡な男であったが、叔父や親戚やまたその周りの人達から人格や秘められた偉才をかわれ、その期待を裏切らずに王朝を築いていく。仁徳、威徳は人を集め助けていくものなのだと納得させられる。従僕の伋が思い出を語る部分は涙必至。

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    2014年06月09日
  • 晏子(四)

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    痛快な前半2巻と、心の強さ・優しさを感じる後半2巻。
    主人公は僕も読むまで知らない人物だったけど、内容も量も読み応えがあって良かった。
    孟嘗君、楽毅と続けて読んだけど、どんどん作品にはまっていく。

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    2014年05月08日
  • 楽毅(一)

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    中国 戦国時代中期の名将・楽毅の小説。

    生き方自体が哲学であり、その言動が彼の生き方そのものを映している。
    そんな一本筋の通った潔さ・清々しさに胸を打たれる逸品である。

    宮城谷小説には珍しく、物語の冒頭から青年の楽毅が登場する。
    序盤の彼は、孫子の兵法を学び、過去の歴史を学ぶ、小国の宰相の子として登場する。暗愚な君主に率いられた中山国でいかに生きるか、悶々と悩む彼の行動にはまだ迷いが多く、正直この時点ではこの小説の魅力に疑問を感じた。

    しかし、読み進めるほどに楽毅が成長し、いつしか孫濱兵法を戦場だけでなく外交・内政でも発揮する、実践する哲学者とでも言いたくなる楽毅像が出来上がってくる。

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    2014年03月08日
  • 楽毅(四)

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    孟嘗君に続いての中国戦国時代のスーパースター小説。

    楽毅のすごさもおもしろいけれども、歴史から学ぶこと、自分をわきまえること、引き際を見定めること、そんなことも感じ取れる小説だった。

    おもしろかった。

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    2014年02月06日
  • 孟嘗君(1)

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    中国の戦国時代中期ごろの名宰相・孟嘗君こと田文を主人公とした歴史小説。

    しかし田文を主人公としているものの、本書は戦国時代という時代全体を広く描き出すことに成功しているように思う。

    あくまで周王室を中心としてその下に各国が封じられている体裁を取りつつも、既に周王室の威光は衰えきって存在感がない。
    それに乗じて、各国が中国の覇権を奪うべく、(戦争含む)外交を駆使して離合集散を繰り返す「昨日の敵は今日の味方」といった乱世の空気。
    また、政府のうちに目を向ければ、権力欲に支配された私利私欲を追求する官吏たちが互いに互いの足を引っ張る陰謀が繰り広げられ、王に取り入るための阿諛追従を行い、真に気骨の

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    2014年02月11日