宮城谷昌光のレビュー一覧

  • 王家の風日

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    この時代、紂王や妲己、太公望などの有名人物が多くいるのにもかかわらず、萁子を主人公にした作品。
    個人的には、「天空の舟」のあとに読むのがオススメ。

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    2022年01月10日
  • 晏子(一)

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    晏子の言行録から得られる人となりを、まごころを通じて体現した小説。宋の公子として生まれたために亡命を余儀なくされた晏子。斉では不遇であったが戦略眼で国難に立ち向かう、といったところでしょう。ここでいう晏子は晏弱です。宋は殷の子孫なので子弱、晏に領地をもらったため晏氏となりました。全てを失った男の決死の覚悟が突き動かしたものは!?

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    2022年01月01日
  • 楽毅(四)

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    ネタバレ

    武霊君が亡くなったのちに、趙での仕官のみちながなくなり魏にて法家について学ぶ。孔子の言葉、学問をするものは童心のような純粋さをもって師に学ばなければその深奥に触れることができない、という言がよかった。
     また法家を学んでいる際の修めるべきところを修め、棄てるべきところを捨てていると評されたことも上に立つ者の学び方だと感じた。
    楽毅が魏の使者として、燕に向かう途中で趙の奉陽君に面会した際、奉陽君が楽毅の器を見抜けなかったことも興味深い。この時代魏から、燕は1000里の距離があるが、孟嘗君や魏王の臣下にそのような使いができないものがいないはずがなく、それでも楽毅が任命されている背景に思いを至らせれ

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    2021年12月13日
  • 楽毅(二)

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    ネタバレ

    いよいよ中山が国として危うくなってきている。王に才覚がないので、楽毅への暗殺が画策されるなどし、楽毅自身は、中山への愛着が薄くなっていく。
    昔陽の守城戦の準備では、寝ていてもどこが危ういなど気づきがあれば、それをすぐさま対応し、戦いに備える姿など重要だと感じた。
    また、『雲従龍、風従虎』という易経の言葉が学びがあった。”相似た性質を持った者どうしが互いに求め合う。 りっぱな君主のもとにはすぐれた臣下が現れるということのたとえ。”らしい。

    有名な”先ず隗より始めよ”のシーンの背景が描かれており、勉強になる。
    そこまで優秀ではない隗を厚遇することで、それよりも優秀な臣下が仕えに来るという助言であ

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    2021年12月05日
  • 晏子(四)

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    ネタバレ

    晏子の4巻を通じて登場する崔杼が没落するところに関する晏纓の論が興味深かった。荘公への憎しみが深いほど手厚く葬り、自身の幻影を見せれば、死ぬことはなかっただろう、ということである。それだけ荘公への憎しみが深かったということであれば、そのために崔杼は死んだということだ。ここに、学びがあった。強い憎しみだけで行動してはいけない。
    季札から晏纓への助言も興味深い。危ういバランスをとっている閣内において、職位を返上し距離をとることで、政争に巻き込まれないようにアドバイスしている。これは非常に重要なことだと感じた。正道のない嵐が巻き起こっているときは、距離を置くのが吉と出る。
    あとは、和と同の話か。

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    2021年12月01日
  • 三国志入門

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    字を読むだけじゃ、中々全体像が掴めなかったが、諸葛亮やら曹操やら、聞いたことのあるワードも中には出てきたので、あとは、買ってある漫画版で知識を深めたいと思う。

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    2021年12月01日
  • 晏子(三)

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    ようやく晏嬰の物語が始まった。礼が重んじられた春秋時代において、自分の礼に則った行いがどのように大衆や諸国に支持されるのかを理解しているのだと感じた。決して勇名をはせることを目的としているわけではないが、そのように支持を得られているからこそ、時の宰相や国王を勇めたとしても、無事であったのだろうと思った。礼をつくしているからこそ、さらにおおきな活動ができているのだと物事の連なりを感じる。最終巻も楽しみ。

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    2021年11月28日
  • 三国志入門

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    正史やそれに類する史書によれば、曹操はもちろん、董卓・孫堅・公孫瓚・劉備はみな豪腕で、紛れもなく動乱期の英傑なんだなとわかります。大人になって改めて三国志に触れると、子供の頃はわからなかった群雄たちの凄さに気付く、という感じでしょうか。その気付きのきっかけを与えてくれる本だと思います。

    特に劉備は、根拠地を失おうが部下を見捨てようが慕われ続けるという、群雄の中でも飛び抜けて不思議な人物です。結局皇帝として自分の国を建国するわけですから、現代だったらとんでもない存在でしょう。
    逆に曹操は、官渡で勝利するまで苦境に見舞われ続けたのに、実力や人材の力で乗り切った強烈なリーダーシップの持ち主です。漢

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    2021年10月31日
  • 沈黙の王

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    宮城谷昌光『沈黙の王』
    伝説の夏王朝や、商(殷)、周、そして春秋時代の晋の王や名臣を題材にした短編集。
    表題作の『沈黙の王』は現在の漢字に連なる、中国最初の文字を創った王の物語。他にも、弓矢を創った者やそれに対抗して盾を創った者の話など、どの短編も非常に満足のいくものでした。
    夏王朝の話で登場した人物の名前が晋代の会話の中で出てくるなど、歴史小説ならではの時代を超えた人々の歴史の紡ぎ合いを垣間見ることができます。

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    2021年09月16日
  • 孟夏の太陽

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    ネタバレ

    やはり読みやすく面白い.

    春秋時代の晋の重耳に仕えた趙衰とその子孫(趙盾,趙朔,趙武,趙鞅,無恤)の物語.趙朔編の最後,公孫杵臼と程嬰の恩返しで涙.

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    2021年08月21日
  • 介子推

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    介子推。

    宮城谷さんの小説『重耳』を読まなければ、その名前すら知らず、興味を持たなかった。

    権力欲とは別の場所にいて、そして、賢母の助力もありながら、神になった人物。

    「人から何かを得ようとするのであれば、その人にまず与えなければなりません。救ってもらいたいなら、まず救ってあげることです。」

    「竜は天にのぼらんと欲し、五蛇は輔をなす。竜はすでに雲にのぼり、四蛇はおのおの宇にはいるも、一蛇は独り怨み、ついに処るところをみず」

    幾多の困難とその功績は史書の中には詳しく記載されてないという。
    しかし、晋の文公が介子推に対する、行動が民の心を打ち続けたのだろうと感じた。

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    2021年08月06日
  • 重耳(下)

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    晋の文公。

    春秋五覇の1人であり、斉の桓公と並び称される明君とされている。

    しかし、その半生は流浪の身であり、辛苦を味わい続けた人物であった。

    上巻では、文公の祖父、称が主人公。
    じっと待ち、好機と見れば、それをものにする。
    諡の武公に恥じない明君であると感じた。

    中巻では、称が死に、晋の混乱期が現出する。
    やはり、明君のあとの君主は苦労するのだろう。
    王朝や、政権が安定するのは、創業者の次の代が安定するか否かであることを示してくれているのではないだろうか?

    下巻は、重耳が文公となり、覇者への道を歩んだ。
    下巻は、文書が軽やかで一気に読んでしまった。

    古代中国史は礼節に始まり、その

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    2021年07月16日
  • 三国志入門

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    ◎入門とあるが、なかなかいろんなことがわかります。わたしは宮城谷先生の本は読んだことありますが、けっこう難しいと感じました。この本は読みやすい。

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    2021年06月29日
  • 小説 伊尹伝 天空の舟 下

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    ネタバレ

    開基の功より、守成の勇

    紀元前1600年という遥か昔の、文字もない時代の出来事や人間模様を、ここまで完成した物語にしていることに驚嘆する。
    また、摯の誕生から商夏盛衰まで、摯の立場や各后のパワーバランスの目まぐるしい変化がうまく描かれているため、最後までだれる部分がなかった。
    時代背景にある呪術的思考を、新鮮に感じつつも、そうした一つひとつの思考に共感できる部分があることもまたおもしろい。

    それにしても、夏滅亡寸前まで、桀が目覚めなかったのが口惜しい。

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    2021年05月28日
  • 三国志入門

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    ネタバレ

    肩の張らない入門書の貴重なことよ。

    楽しかったですねぇ。勿論、『三国志演義』も読んでいるし、吉川英治版の『三国志』も読んでますが、それでも深く掘り下げることができるこの作品の楽しさ♪

    こういうところが中国古典の魅力ですね。
    (私は『西遊記』でもそれやっているので♪)

    面白かった。そして、ゆとりができたら宮城谷版『三国志』も読みたいなぁ。

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    2021年05月24日
  • 夏姫春秋(下)

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    すべてを諦め、流れるままに男たちに身を任せてきた夏姫が、最後にみせた意思力のすごさ。圧巻でした。身を切るような覚悟をしなければ、幸せになどなれないということを、教わりました。悪女という評価がないのに歴史に名をのこした珍しい女性です。

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    2021年05月14日
  • 孟嘗君(5)

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    白圭、田文といった登場人物が魅力的で一気読み。戦国の世で、仁義や調和を信念とした孟嘗君がとても魅力的だった。

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    2021年05月05日
  • 沈黙の王

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    短編集なのだがどれも味わい深い。
    特に表題作の『沈黙の王』が好きである。
    ラストはまさしく王が神聖な存在である、ということを示していると思う。

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    2021年05月02日
  • 三国志名臣列伝 後漢篇

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    ネタバレ

    三国志において、後漢の衰亡に抗った人々の生き様を描く7つの短編集。
    時期としては、三国志の中でも、献帝が曹操の手中におさまる以前(つまり魏呉蜀の三つ巴が始まる前の時期)を中心にしている。

    何進や朱儁、皇甫嵩など、三国志を読めば必ず目にする脇役たちが、ひとりひとり美点もあれば欠点もある人間として生き生きと描かれていて面白い。

    最後に収められた短編は「荀彧」であり、他の作品とは時期がずれている。しかし、読んでいくとどうやら、荀彧を単に曹操の臣でなく、献帝をも支えた「陰徳の人」として描くことで、あくまで後漢の臣と捉え『三国志名臣列伝 後漢篇』に収めたということのように思われて興味深い。
    また、荀

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    2021年04月20日
  • 新装版 奇貨居くべし(三) 黄河篇

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    薛公・孟嘗君がなくなった後、彼の庇護に在った慈光苑は斉に標的にされてしまう。慈光苑の主は孟嘗君に恩義のある魏を頼るが、卑劣な裏切り行為に会い壊滅してしまう。呂不韋はそこで、敵であると考えていた陶邑にいる秦国の陀方を頼り、九死に一生を得る。

    陶を楚の優れた農民・田焦とともに発展させていく中に自分を道を発見する呂不韋が描かれており、この後どのように趙の大商人となり、秦の宰相に上り詰めていくのか展開が楽しみになる一冊でした。

    (印象的だった文章)
    ・呂不韋にとって日々は生み出すものであり、ついやすものではない。産みだそうとしないかぎり、努力は存在しない。
    ・ー学は没するに至りてしかるのちに止むべ

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    2021年02月21日