宮城谷昌光のレビュー一覧
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ネタバレ武霊君が亡くなったのちに、趙での仕官のみちながなくなり魏にて法家について学ぶ。孔子の言葉、学問をするものは童心のような純粋さをもって師に学ばなければその深奥に触れることができない、という言がよかった。
また法家を学んでいる際の修めるべきところを修め、棄てるべきところを捨てていると評されたことも上に立つ者の学び方だと感じた。
楽毅が魏の使者として、燕に向かう途中で趙の奉陽君に面会した際、奉陽君が楽毅の器を見抜けなかったことも興味深い。この時代魏から、燕は1000里の距離があるが、孟嘗君や魏王の臣下にそのような使いができないものがいないはずがなく、それでも楽毅が任命されている背景に思いを至らせれ -
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ネタバレいよいよ中山が国として危うくなってきている。王に才覚がないので、楽毅への暗殺が画策されるなどし、楽毅自身は、中山への愛着が薄くなっていく。
昔陽の守城戦の準備では、寝ていてもどこが危ういなど気づきがあれば、それをすぐさま対応し、戦いに備える姿など重要だと感じた。
また、『雲従龍、風従虎』という易経の言葉が学びがあった。”相似た性質を持った者どうしが互いに求め合う。 りっぱな君主のもとにはすぐれた臣下が現れるということのたとえ。”らしい。
有名な”先ず隗より始めよ”のシーンの背景が描かれており、勉強になる。
そこまで優秀ではない隗を厚遇することで、それよりも優秀な臣下が仕えに来るという助言であ -
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ネタバレ晏子の4巻を通じて登場する崔杼が没落するところに関する晏纓の論が興味深かった。荘公への憎しみが深いほど手厚く葬り、自身の幻影を見せれば、死ぬことはなかっただろう、ということである。それだけ荘公への憎しみが深かったということであれば、そのために崔杼は死んだということだ。ここに、学びがあった。強い憎しみだけで行動してはいけない。
季札から晏纓への助言も興味深い。危ういバランスをとっている閣内において、職位を返上し距離をとることで、政争に巻き込まれないようにアドバイスしている。これは非常に重要なことだと感じた。正道のない嵐が巻き起こっているときは、距離を置くのが吉と出る。
あとは、和と同の話か。
話 -
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正史やそれに類する史書によれば、曹操はもちろん、董卓・孫堅・公孫瓚・劉備はみな豪腕で、紛れもなく動乱期の英傑なんだなとわかります。大人になって改めて三国志に触れると、子供の頃はわからなかった群雄たちの凄さに気付く、という感じでしょうか。その気付きのきっかけを与えてくれる本だと思います。
特に劉備は、根拠地を失おうが部下を見捨てようが慕われ続けるという、群雄の中でも飛び抜けて不思議な人物です。結局皇帝として自分の国を建国するわけですから、現代だったらとんでもない存在でしょう。
逆に曹操は、官渡で勝利するまで苦境に見舞われ続けたのに、実力や人材の力で乗り切った強烈なリーダーシップの持ち主です。漢 -
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介子推。
宮城谷さんの小説『重耳』を読まなければ、その名前すら知らず、興味を持たなかった。
権力欲とは別の場所にいて、そして、賢母の助力もありながら、神になった人物。
「人から何かを得ようとするのであれば、その人にまず与えなければなりません。救ってもらいたいなら、まず救ってあげることです。」
「竜は天にのぼらんと欲し、五蛇は輔をなす。竜はすでに雲にのぼり、四蛇はおのおの宇にはいるも、一蛇は独り怨み、ついに処るところをみず」
幾多の困難とその功績は史書の中には詳しく記載されてないという。
しかし、晋の文公が介子推に対する、行動が民の心を打ち続けたのだろうと感じた。
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晋の文公。
春秋五覇の1人であり、斉の桓公と並び称される明君とされている。
しかし、その半生は流浪の身であり、辛苦を味わい続けた人物であった。
上巻では、文公の祖父、称が主人公。
じっと待ち、好機と見れば、それをものにする。
諡の武公に恥じない明君であると感じた。
中巻では、称が死に、晋の混乱期が現出する。
やはり、明君のあとの君主は苦労するのだろう。
王朝や、政権が安定するのは、創業者の次の代が安定するか否かであることを示してくれているのではないだろうか?
下巻は、重耳が文公となり、覇者への道を歩んだ。
下巻は、文書が軽やかで一気に読んでしまった。
古代中国史は礼節に始まり、その -
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ネタバレ三国志において、後漢の衰亡に抗った人々の生き様を描く7つの短編集。
時期としては、三国志の中でも、献帝が曹操の手中におさまる以前(つまり魏呉蜀の三つ巴が始まる前の時期)を中心にしている。
何進や朱儁、皇甫嵩など、三国志を読めば必ず目にする脇役たちが、ひとりひとり美点もあれば欠点もある人間として生き生きと描かれていて面白い。
最後に収められた短編は「荀彧」であり、他の作品とは時期がずれている。しかし、読んでいくとどうやら、荀彧を単に曹操の臣でなく、献帝をも支えた「陰徳の人」として描くことで、あくまで後漢の臣と捉え『三国志名臣列伝 後漢篇』に収めたということのように思われて興味深い。
また、荀 -
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薛公・孟嘗君がなくなった後、彼の庇護に在った慈光苑は斉に標的にされてしまう。慈光苑の主は孟嘗君に恩義のある魏を頼るが、卑劣な裏切り行為に会い壊滅してしまう。呂不韋はそこで、敵であると考えていた陶邑にいる秦国の陀方を頼り、九死に一生を得る。
陶を楚の優れた農民・田焦とともに発展させていく中に自分を道を発見する呂不韋が描かれており、この後どのように趙の大商人となり、秦の宰相に上り詰めていくのか展開が楽しみになる一冊でした。
(印象的だった文章)
・呂不韋にとって日々は生み出すものであり、ついやすものではない。産みだそうとしないかぎり、努力は存在しない。
・ー学は没するに至りてしかるのちに止むべ