宮城谷昌光のレビュー一覧
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最高の冒険譚です!
中国戦国時代の名宰相、孟嘗君こと田文の数奇な誕生秘話から始まる歴史小説とは思えない数々の冒険の物語。
仁義に篤い大商人 白圭、始皇帝の秦の基礎を作った商鞅や、孫氏と一人である兵法家の孫ピンをはじめ、この時代を彩る数々の偉人を鮮やかに物語に登場させ、田文と一緒に冒険させるなんて…驚きの展開です!!
田文は旅する宰相、中華を愛する名君です。
広い中国をノビノビと駆け回る田文のお話は、
宮城谷さんの小説のなかでもイチオシです! -
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宮城谷さんは長編もいいけど短編も面白い。
春秋、戦国、に続く名臣列伝シリーズの第3弾。
項羽と劉邦の時代に活躍した名臣達10人が紹介されている。
10人紹介されているうち、漢の臣が6人を占めるのは結果的に漢が天下を取ったのと無関係ではないと思う。それだけ有能で魅力的な人たちが集まってから放蕩無頼な劉邦が天下を取れたのだろうから。
個人的に好きなのは張良と蕭何。司馬遼太郎の「項羽と劉邦」を読んだ時からのイメージに引きづられてるのかな。
ところで、項羽と劉邦、とかたやあざな呼び、かたや諱呼びで呼びならわされているのはなんでなんだろう。
項羽の名前は籍だし、劉邦のあざなは季だから、「項籍と劉邦」 -
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ネタバレ10年以上前に読んだことがあったけど、また読みたくなって再読。
夏王朝を妥当し、商(殷)王朝を樹立した功臣、伊尹のお話。
ようやく実在が明らかになってきた夏王朝を舞台に据えた日本の小説は、おそらく本書が最初じゃあるまいか。
史料も少なかったろうに、よくぞここまで物語を構築できたなあ、と脱帽。
史実なんぞわかりっこないのだから、あくまで読み物として楽しむべきなのだけど、はるかな古代の生活観に触れた気になれるという点で、貴重な本なんじゃないかなあと思う。
あらすじは割愛するけど、語られる素朴な生活観・倫理観が非常に力強い。
「政治とはどうあるべきか」的な為政者の観点だけじゃないところから描か -
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ネタバレ司馬遷『史記』を素材に、古代中国の習俗、文化、歴史について述べたエッセイ集。
一篇に一テーマ、文庫2~3ページくらいにまとまっており、読みやすい。
以下、各文章から、興味を持った点を覚書に。
「酒の霊力」
紂王の「酒池肉林」のエピソード。肉は干し肉を木々の枝にかけた、と一般には言われているが、宮城谷さんは裸の男女を立たせた、としていて驚いた。神霊を招く行為というが・・・
「商民族の出自」
上甲以来、商の王には十干が名前に入るとか。甲は「一」を表すのでなく、「十」が石棺に入った形だという指摘が面白い。
「氷の利用」
古代では貴族の遺骸をきよめるのに氷を使っていた、という話に驚いた。
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秋戦国時代に生きた宰相の話。食客を招き、大切にした人である。人を大切にすることにより自分が助けられるというのを感じる物語です。
孟嘗君も魅力的なのですが、養父の白圭(風洪)の方がさらに魅力的ですね。民の益となる包みを建造したり、人のために生きた商人として描かれているのですが凄く格好良いです。
臨終の際に孟嘗君に告げた「人を助ければ、自分が助かる」「助けてもらった人に礼を言うのではなく、助けてあげた人に礼をいうものだ」という言葉は胸に染みました。人間の価値は、どれだけ多くの人の心の中で温かい記憶として残っているかなのかなというのを感じられる物語です。 -
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宮城谷文学初級者向け。
ちなみに入門書は、「楽毅」と思うのです。
おそらく今回が四周目で、いまはその上巻の半分が過ぎたところ。
さて、吉川英治文学賞受賞作の本書の魅力とはなんだろう。
晋と楚の二大国に攻められては向背を返さざるを得ない小さな国の葛藤。
国内外の暗然とした争いの中で、自家の武門を築き上げていく名将、子国。
武将の嫡子として産まれながらも、幼少から膨大な知と情を培い、あざやかに本質を見抜く未来の大執政、子産。
本書には、「楽毅」や「晏子」のように天を駆けるような爽やかさはない。懸命に未来を描こうとする人たちの生身の姿が、信義のない争いの中で丹念に照らされている。
政治とはなに