あらすじ
斉の君主の子・田嬰(でんえい)の美妾・青欄(せいらん)は、健やかな男児・田文(でんぶん)を出産した。しかし、5月5日生まれは不吉、殺すようにと田嬰は命じる。必死の母・青欄が秘かに逃がした赤子は、奇しき縁で好漢風洪(ふうこう)に育てられる。血風吹きすさぶ戦国時代、人として見事に生きた田文こと孟嘗君とその養父の、颯爽たる人生の幕開け。全5巻。(講談社文庫)
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孟嘗君が赤子から生まれてくるところからのストーリー。最初からストーリーの展開が二転三転して、中国古代の歴史背景はもちろんストーリーがめちゃくちゃおもしろい。主な登場人物が春秋時代をつくっていくのだろうが、どう時代が彩られていくのか?次巻以降がとても楽しみになる一巻でした。
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中国の戦国時代中期ごろの名宰相・孟嘗君こと田文を主人公とした歴史小説。
しかし田文を主人公としているものの、本書は戦国時代という時代全体を広く描き出すことに成功しているように思う。
あくまで周王室を中心としてその下に各国が封じられている体裁を取りつつも、既に周王室の威光は衰えきって存在感がない。
それに乗じて、各国が中国の覇権を奪うべく、(戦争含む)外交を駆使して離合集散を繰り返す「昨日の敵は今日の味方」といった乱世の空気。
また、政府のうちに目を向ければ、権力欲に支配された私利私欲を追求する官吏たちが互いに互いの足を引っ張る陰謀が繰り広げられ、王に取り入るための阿諛追従を行い、真に気骨のある士すら王の信任をいともあっさり失う。
一方で、そのような不安定な時代であり・かつ周王室の威光が衰えたことで「王権」という唯一絶対の価値観が既存した。そのことが人々が新たな価値観を生み出していく素地となり、のちに「諸子百家」と呼ばれる思想家が多数輩出され、説客として各国で活躍したのもこの時代の特徴だろう。
物語の前半の主人公たる田文の養父・白圭は、「仁義」を体現し、中国史には欠かせない侠者の風格を帯びている。
物語中盤で活躍する孫濱は、のちに「孫子の兵法」で知られる名兵略家で、これも以降の中国史に欠かすことのできない要素。
田文の実父・田嬰の多数の食客を抱えるスタイルも後の中国の有力者の一般的なスタイルになる。
このように段々と「中国」の基礎となっていく要素が多く生み出されていった時代なのだろう。
そのほかにも公孫鞅・張儀・蘇秦・屈原などなど、三国志に比べれば密度は低いものの、この時代にも時代の寵児と呼ぶべき英傑俊才が多数生まれており、彼らの生み出すドラマはいやおうなしに面白い。
白圭・田文という実に気持ちのいい生き方をした二人の活躍を一本の筋とした娯楽小説としての読みやすさに、中国の戦国時代という実に捉えがたい複雑な時代を鮮やかに浮かび上がらせている本書は、この時代を理解し、楚漢戦争時代、三国志をも理解するのにも格好の一冊であるように思う。
最高の冒険譚です!
中国戦国時代の名宰相、孟嘗君こと田文の数奇な誕生秘話から始まる歴史小説とは思えない数々の冒険の物語。
仁義に篤い大商人 白圭、始皇帝の秦の基礎を作った商鞅や、孫氏と一人である兵法家の孫ピンをはじめ、この時代を彩る数々の偉人を鮮やかに物語に登場させ、田文と一緒に冒険させるなんて…驚きの展開です!!
田文は旅する宰相、中華を愛する名君です。
広い中国をノビノビと駆け回る田文のお話は、
宮城谷さんの小説のなかでもイチオシです!
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風洪がかっこよすぎる。すごい人の元にはすごい人が集まるようで。
物語の主人公はまだ赤子で、一巻だけ読むと風洪が主人公にみえる。
読むとやる気になれる。あー二巻読み進めたいっ!
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古代中国を書かせたら右に出るものはいないと思われる、宮城谷昌光氏の作品群の中でも最もエンターテイメント的に成功していると思われる今作!!
表題の、孟嘗君田文のみならず、孫臏、公孫鞅、田忌、鄒忌、蘇秦、張儀などなど、中国戦国時代を知ってる人ならば誰でもわかるオールスターが本書では惜しげも無く登場する。この辺の時代が好きな人は是非。
か、と言っても決して敷居が高いわけでもなく、歴史ものに慣れない読者でもわりと抵抗無く読み返し進めることができるはず。
活劇あり。青春あり。家族愛あり。ラブストーリーあり。政争あり。国際問題あり。オールジャンルを取り込んだ、本書はまさに中国古代史への入門書でもあり、生涯の伴侶にもなり得る。
おすすめです。
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孟嘗君〈全5巻〉 (講談社文庫)
紀元前279年 斉の国で産まれた時からすでに危険と隣り合わせで生き抜いてきた。風洸により育てられ多くの客人に支えられながら中国全土で信じられた人物。
全5巻であるが飽きることなく一気に読破でき高得点。 楽毅とも相互関係あり!
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中国、春秋戦国時代に名を馳せた孟嘗君(もうしょうくん)の話。全5巻。
商人の白圭(はくけい)、孫子の兵法でお馴染みの孫臏(そんぴん)などサブキャラも素敵に書かれています。
というか、白圭の涼やかな生き様に惚れる。
宮城谷昌光氏の作品の中でも、かなり読みやすく、春秋戦国時代を読み始めるのに最適な一冊だと思います。
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宮城谷作品は比較的事実に基づいた作品が多いが、その中では架空の人物や事柄を多く取り入れた作品。
他の作品では事実に則して物語が進行するだが、この作品では白圭の活躍が現実離れしていてとまどってしまった。
しかしすぐに物語にどっぷりとはまってしまい目が離せなくなってしまった。
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前300年頃。孟嘗君は本名を田文と言い,戦国の四君の一人です(四君:孟嘗君,魏の信陵君,趙の平原君,楚の春申君)。
斉・魏・秦の宰相になり,食客を数千人も抱えていたそうです。薛の君主になったので薛公ともいいます。
田文の養父である風洪(ふうこう)、この本では,孟嘗君だけではなく,田文の養父の風洪(ふうこう)(大商人白圭)の話が半分ぐらいあります。その他に,公孫鞅(商鞅),孫臏(孫武とともに孫子と呼ばれる人)も登場します。
孟嘗君『人の命は,すでにあるものを守っていくというようなものではない。日々作ってゆくものだ。今日作ったものは明日には壊れる。それゆえ,いのちは日々生み出すものであろう。長生きとは,今日よりましな自分を明日に画いて今日を生きる。それしかあるまい。』
(追記)白圭『人に儲けさせてもらった金だ。人に返すのは当たり前だ』
白圭は儲けを慈善事業につぎ込んだ。白圭の商売は人を救う色合いが濃厚なため,いくら白圭が儲けても,人は彼を憎まなかったという。
(再読)
斉の田文いわゆる孟嘗君がその名声を高めたのは、魏の宰相としてついた頃からだろう。それは、仁というより、義を重んじた行動をしたことからだと思う。盟約を破らず、多くを望まず、戦争は最後の手段で、勝ってもほどほどにして憎悪を抱かせるほど勝たないということだ。春秋戦国時代で、正しいことを貫くのは非常に困難だ。猜疑心にまみれ、食うか食われるかの時代で正義を貫くのは凄いというより、愚かと言われるぐらいのことで、それを実行したのは、孟嘗君と晏子ぐらいだろう。これも、白圭、孫臏、商鞅、父の田嬰こと靖郭君などその時代の非凡な人に濃厚に接していたことも影響を受けているのだろう。
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再読。初読の記憶は全くなし。宮城谷昌光氏の作品は難解であきらめた記憶だけが残る。
春秋戦国時代の中国の時代物。たくさん登場する国名、人名が難しく覚えられないので相関図をいちいちメモしながらの読書でかろうじて理解する。
斉の公子(田嬰)と妾(青蘭)の子として生まれた文(後の孟嘗君)は5月5日に生まれたために縁起が悪いからと殺されようとするところを救われ、風洪という人間の下で育てられ、斉国内の権力争いや春秋戦国時代の諸国の戦乱の中を生き抜き宰相として中国の歴史に名を遺す人物となる。
古代中国の政治家や軍略家、学者、思想家など多くの興味深い人物と現代に遺る逸話など盛り込まれとても面白かった。特にラストの「鶏鳴狗盗」の語源である孟嘗君が函谷関をすり抜けて逃げるくだりは面白い。
裏切りと談合、合従連衡が繰り返される諸国の関係や覚えにくい人物名などを読み飛ばさずゆっくり読めばスラスラ読めて面白い小説であった。
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全五巻の為、最終巻で感想を書く。
何度も読んだ。
文庫本を手に入れて、再読することにした。
司馬遼太郎や吉川英治のような面白さで、第1巻より瞬く間に虜となる。
相変わらずである。
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中国の戦国時代に興味を持ったこともあり読み始めた。
中国の話は感じが多く、読みにくい印象があったがまださほど話も入り組んでおらず読みやすい。
国の位置関係とかもキングダムを読んでいれば比較的わかる。
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小説として単純に面白いと思う。
展開が早いので、飽きさせない。
肝心の孟嘗君は、まだ赤子の状態。
秦での孝公と公孫鞅のくだりなど、中国ならではの内容で興味深い。
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わくわくしっぱなし。ずっと仙泉のこと考えながら読んでた。あと風洪がめちゃ好き。これからどうなっていくのだろ。
「学者は所耳におぼれる」て言葉に共感。
やっぱり読みやすいし楽しいな。
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面白かった。宮城谷作品の中では活劇的傾向の強い、どちらかというと司馬遼太郎を思い起こさせるような作品でした。
個人的には前半の風洪を主人公とした物語が好みです。主人公や脇役達が生き生きと活躍します。特に美人達が良いですね。妹で活発な明るさを持った風麗・その友人で後に風洪の妻となるひっそりした感じの翡媛。特に豪商・鄭両の娘で風洪に恋するが後に孫ピンの妻になるビン林。最初は清潔感と頭のよさだけで色気が無いが、次第に美しく変身して行く姿が素敵です。(IMEの手書き文字を使ってもピンやビンの文字が検索できません)
後半、孟嘗君が主人公として中心になると、次々に孟嘗君を助ける食客たちや、複雑な春秋時代の国家関係の話が多くなり、ちょっと混乱します。特に今回は外国出張中の時差ぼけの頭で読んだのできつかった
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初めて読む宮城谷氏の小説。
春秋戦国時代、古代中国についてまったく知識のない自分でもまったく問題なし。純粋にエンタメ小説として面白い。
不思議な縁で赤子の田文・孟嘗君を救出し養父となる風洪。この男が本当に魅力的。その懐の深さ、器の大きさは多くの人を惹き付け影響を与えていく。どこか坂本龍馬に通じる雰囲気がある。
各国の情勢や時代背景も分かりやすく解説されているのも有り難い。
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非常に読みやすい、司馬遼太郎によれば秦王朝、中国統一以前の中国史が、思想的豊かさがあって面白いと何かにかいてあったことを思い出す。次巻もたのしみ
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この度、宮城谷昌光の「孟嘗君」を読み始めました。
まだこの第1巻を終えたばかりですが、登場人物がそれぞれ個性的な感性を持っていて、面白いです。
またまた持病の睡眠不足が悪化しそうな本に出会ってしまったという思いです。
舞台は春秋戦国時代の末期、そのうちの前半あたりでしょうか。
史上初めて中国統一を成し遂げた秦の始皇帝が出てくる、その少し前の時代だと思います。
中国の各地にいろいろな国が乱立していて、歴史の教科書では何が何だかわからない時代のひとつですね。
物語の節々に、戦国時代の各国の情勢や現代人には馴染みのない言葉について解説がされています。
話の流れがぶった切られるわけで、嫌いな人は嫌いかもしれませんが、僕のような歴史初心者にはありがたい。
したがって、歴史小説はちょっと……という人でも問題なく読めると思います。
さて、全5巻のこの大作、これからどのように展開していくのか、ひじょうに楽しみであります。
そして第1巻の時点ではずっと赤子のままだった孟嘗君こと田文。
彼の成長と活躍にも期待がかかります。
余談ですが、行きつけの本屋さんに第1巻しか置いてなかったので、すぐに続きを読めないことが残念でなりません。
↓↓以下は自分なりに物語を整理するという意味で書いていて、大ざっぱにネタバレしてますので、未読の方はご注意。
第1巻は、孟嘗君(田文)の誕生と、彼の養父となる男、風洪(白圭)、そして革命的な大志を抱く青年、公孫鞅(商鞅)の登場から始まります。
物語の本流は、赤子の田文を連れた風洪一味の斉(東の国)から魏(真ん中あたりの国)、そして秦(西の国)にまで至る長旅。
その旅の果てでなされる公孫鞅の仕官が、第1巻の山場と言えるでしょう。
ひとつの旅を終えた風洪が、偶然にも田文の出生にかかわる人物に出会ったというところで、第2巻へバトンを渡します。
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孟嘗君の話の前哨戦。 商鞅とその妻、その兄である風洪が活躍。 まだ田文は赤ん坊でありその成長の途中での話。でも風洪を中心に巡る話が非常におもしろく読める。話の内容は良い。 今回は10数年ぶりに再読した。
Posted by ブクログ
全5冊の1冊目ですが、宮城谷氏の小説の中では非常に読みやすい一冊。冒険活劇のノリに近く、構えずに気楽に楽しめます。
史記でお馴染みの人物も登場してきますので、小説の中の人物を通して
歴史の一端を垣間見ているようで、話に引き込まれていきました。
三国志以外の中国史に興味を持ち始めた方にオススメです。
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少ない資料から、あたかも観て来たかの様に物語を紡いでいく力量は流石の一言。所々で文字に纏わる薀蓄もまた楽しみの一つですね。まだ主人公「孟嘗君」は生まれたばかりで何も喋れません。これから彼がどう成長して行くかが楽しみです。
Posted by ブクログ
中国の歴史上の人物「孟嘗君」とその父「白圭」の話。
ちなみに5巻までありマス。。。。
「絶対に読め!!」といわれ、半ば強制的に読まされたんだけど、いちよう5巻まで読めました。
このテの本は、名前覚えるのが大変やから自分からは絶対に読まないデス。
でも、
恩を受けた人に感謝するのではなく、恩を与えたヒトに感謝しなさい(こんな感じの内容やったはず。。。)
って言葉にはいたく感動。
この言葉にピンとくるヒトは、我慢して5巻まで読むべし!!
Posted by ブクログ
戦国春秋時代でその名をはせた孟掌君の物語。彼の数奇で不幸な生まれから丁寧に描かれているが、また最初が丁寧であとが雑に描かれないことを祈りつつ読み進めていこう。しかし、どの程度孟掌君の資料が残っているのかは知らないが、作家とは想像力たくましく、あたかもそこで物語が展開しているかのように、本当の話であるかのように物語を紡いでいくのだから、凄まじい。さすがプロなのでしょう。。。。
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孟嘗君パパの白圭他、夜逃げ一家の壮大な転職物語とも読める。地図を片手に読まないと、何が何だか分からないくらい、中国各地を移動する。
国境や身分制度を越える商人像も描かれ、紀元前にして、これかー、と改めて中国の大きさに打たれる。ローマにも驚くけど、中国もすごい国だな。
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中国戦国時代の政治家・孟嘗君をテーマにした小説。登場人物が生き生きと描かれていて読みやすい。中国史は始皇帝の時代と三国時代の知識程度しかないが、面白く読めた。
Posted by ブクログ
最終巻まで読んでの感想。静かな語り口ではあるが、後半になると作者の考えも夢想も少々前面に出てくる。しかし抑え気味で、鼻につくものは少ない。読中読後は衣を正す心持ちになった。
Posted by ブクログ
まだ一巻ですが、なんだかすらすら読めました。なんだろう?あんまり人の感情についてグダグダ書いてないからかなぁ。描写がしつこいくらいのも好きなんだけど。