宮城谷昌光のレビュー一覧
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ネタバレ「――四千未満の兵力で十万余の敵軍に勝てようか。
彼此の兵力が隔絶していながら勝利を得た武将とは(中略)太古からいままでの歴史のなかで、戦史を綴るとすれば、太公望ただひとりがそれである。(中略)太公望は十倍の敵を撃破したのである。だが、楽毅の場合は、二十五倍の兵力をもつ敵を迎え撃たねばならない。」
文章が故事を紐解きながら、生き生きと物語を盛り上げる。
山野に王を迎え、迫る趙軍を鮮やかにはらい続けた楽毅であったが、ついに王は隠棲を選び、中山国は滅亡する。亡国の臣となった楽毅が、魏で士官の道を探すことを決めるまでを描く第3巻。
楽毅の周囲から少し離れ、趙国の内紛・沙丘の乱についても描かれるが、 -
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ネタバレ宮城谷さんの作品は「孟嘗君」「太公望」「楽毅」などを読んだ。
重耳は、それらの作品に出てきた英雄たちと比べると、かなり地味である。
それでもこの作品が面白いのは、やっぱり展開が素晴らしいからだと思う。
重耳という主人公自身は地味なのだけれど、彼を取り巻く環境や、彼が過ごす時の流れが峻烈極まりない。
なので全く飽きずに、春秋の一時代を、重耳と一緒に駆け抜けているような感覚に浸れた。
上巻ではあんなに小さかった重耳が、中巻から下巻にかけて半端ない苦労をなめて、最後には名君になっている。
報われたね〜、よかったね〜、と安心するとともに、ちょっと寂しくなった。
マイナーなアーティストを応援していたら -
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謙虚で人に優しい青年が、様々なことを人や天地から学びながら成長し、人望を集めて出世していく物語。宮城谷さんの作品はだいたいそんな流れ。どの人物もだいたいそんな感じだけれども、それが好きでたまらない。どんな人物と出会わせてくれるのか?というのが楽しみで、つい読んでしまう。この作品の劉秀もとても魅力的な人物。農作業に造詣が深く土と共にあるような素朴な性質なのに、戦場ではとても強い。人に好かれ、人が集まり、危機に陥りつつも人徳によって助けられて、押し上げられて将軍になり王になり、光武帝になる。いいなあこういう人。こういう英雄になりたい。そういう夢の物語が見られるから、好き。
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三巻同時かと思ったら月毎だった~沛県に凱旋した劉邦は郡府の周苛が窮地に陥っていると踏み,薛県の陳武が挙兵するので,薛を攻めてほしいとの依頼に樊噲が乗り込み,郡守にやむなく従った周苛・周昌を救い出した。薛兵の間に入って,陳武を救い,胡陵の監平を捉えたが解き放ち,亢父と万与は落としたが,雍歯が魏に近寄って籠もった豊邑を落とすには兵数が不足してい。兵
を借りるために出向いたのは留県で,景駒を楚王に建てた秦嘉に願い出るが,往きに出会ったのが,韓の再興を期す張良で,留県で協力を申し出たのは,かつて劉邦を救った寧君であった。寧君も五彩の気を見たのだった。劉邦と寧君が豊邑に向かう途中,陳勝は殺害されていた。 -
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ネタバレ燕の昭王に気に入られ、燕の将軍となった楽毅の活躍を描く最終巻。
小国である燕が超大国である斉を攻略するという図式のクライマックス。
これはこの大作の前半部で悲劇的に描かれた、楽毅の祖国中山と趙の戦いを思い起こさせます。
ところが今回は上司にも恵まれ、有能な部下もたくさん。
そして何よりも、祖国を失ったがゆえに大きく成長した楽毅自身がある。
彼の熟達した戦術が、怒涛の勢いで超大国を呑み込んでいくさまは、読んでいて圧巻でした。
また、楽毅の上司である趙の昭王、この人の名君ぶりも印象的です。
楽毅と昭王の上下関係は、本当に理想的ですね。
孫子が説くように、そして秦の統一の基礎を作った商鞅と孝公 -
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ネタバレ奮戦するも祖国中山は滅亡。
楽毅は流浪の身となります。
第3巻の見所は楽毅ではなく、なんといっても趙王室の御家騒動「沙丘の乱」でしょう。
主父(武霊王)は息子に殺されるだろう。
唐挙という占い師のこの予言が、ここで実現することになります。
主父の最期を描くシーンは衝撃的です。
絶対的なカリスマ性で国を率いてきたかに見えた彼。
ところが、最期の瞬間までともに戦ってくれるほどの信臣はいなかった。
祖国滅亡という絶望的な状況下でも、慕ってくれる部下がいた楽毅とは、実に対照的です。
国をあげて戦った両者の違いとは?
絶対的な指導力という自分本位の資質だけでは、本当に信頼を得ることはできないという