あらすじ
称(しょう)の孫重耳(ちょうじ)は、翼攻めに大功をたてた。雄偉な体躯の心穏やかな公子で、狐氏(こし)から妻を娶り、その一族の厚い庇護を受けていた。称の死後晋の君主となった詭諸(きしょ)は、絶世の美女驪姫(りき)に溺れ、奸計に嵌まって重耳たち公子を殺そうと謀る。逃れ出た重耳と家臣たちの、辛酸の日々。晋の国内は大きく乱れていく。
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年老いて判断力が鈍った詭諸、詭諸を操って自分の子供を太子にしたい悪女驪姫、驪姫を操って恨みを晴らそうとする翼の遺子優施。国内外の野望、怨念、確執が渦巻く。時空間を超えて。それに翻弄される申生、重耳、夷吾の兄弟。申生は自分のポリシーに従い死ぬ。重耳、夷吾は亡命してひとまず難を逃れる。この先どんな運命が待っているのか?楽しみ。
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重耳のお父さんが性悪女にたぶらかされて、せっかく統一した国がバラバラになってしまう話。
この巻は、国同士が戦争をしているわけではないのだけれど、戦争以上に凄惨で、まともに戦争していた上巻以上に人がどんどん死んでいったという印象。
戦争は大勢でするものだから、個人の特徴が出にくいけれども、世嗣ぎ争いは個人がフォーカスされて、人間の性格が出てくるから、余計に血生臭くなってしまうんでしょうねぇ。
申生が可哀想すぎて泣けるし、重耳のお父さんの狂いっぷりが半端ないし、国が倒れていく過程って鮮烈だなぁ、と思える作品になっております。
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中巻では、称が周の宮廷工作を整え翼を滅ぼして晋を盤石にし、子の詭諸に引き継ぐが驪戎攻めで捉えた驪姫にゾッコンとなり、驪姫が翼の公子である優施に半ば操られながら自らの子である奚斉をたいしたにしようと画策して、申生、重耳、夷吾の三兄弟との内ゲバが始まる。
申生は、孝を体現したような性格で亡命を勧められても断固拒否し、父の意図であればということで最終的には自決する。重耳は良臣を固めつつも、母の実家である白狄に亡命、夷吾は、秦の衛星国である粱に亡命し再起を図る。
孝の申生、徳の重耳、才の夷吾と三人三様の生き様が際立って面白い。また、周の宮廷政治や、周の卿士である鄭や虢の役割、唇亡歯寒を地で行って詭諸に滅ぼされた虞なども描かれていて興味深い。
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曲沃の王が翼の王を倒し、晋の王に。 ただその後を継いだ太子が王になった際にその妻が子を世継ぎにしたいとして太子を殺し、とうとう重耳にも暗殺者を送る。さすがに重耳は逃げた。これから19年の放浪が始まる。さてどうなるか。
狐突の息子の狐偃が重耳を支える。 なかなか良い。重耳を中心にした閥の集団の旅の始まり。
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紀元前6世紀、中国春秋時代の五覇の一人で、晋の文公と呼ばれた重耳という人物の話。晋の君主の家系の二男に生まれたが、秀才でもなく人気もなく特徴のない人物であったため兄弟の中でも目立たなかった。しかし、晩年は、誠実で実直な性格により国内外の色々な人たちから一目置かれるようになる。身内の争いごとにより国外に脱出し19年間諸国を転々とする亡命生活を経て、晋に戻り君主となる。重耳の話というよりは、重耳に仕えたすばらしい臣の面々の話ではないだろうか。幼少期の教育係の郭偃をはじめ、丕鄭、孤突、孤偃、孤毛、先軫、介子推などなど見事な人物が揃っておりこれら臣に支えられてなければ重耳は君主にはなれなかっただろう。臣の忠誠心に感動した。
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2013年08月 02/42
重耳の祖父である称から、父である詭諸(きしょ)の時代に移り、波乱じみて来ました。登場人物それぞれの思いがからみ合って実におもしろい。
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春秋五覇の一人である「重耳」を書いた作品なり。
とある国の君主の三男に生まれた重耳が19年も中国をさまよい紆余曲折の末に覇者となる壮大な道のりがここにかかれているなり。
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武公(称)は翼を滅ぼし晋公として都を遷都後没す。即位した詭諸は驪戎の娘、驪姫を正妻とし長子の奚斉に王位を継がせるため太子の申生、公子の重耳、夷吾を遠ざける。その裏には翼の緡侯の子である優施が暗躍する。
命を狙われた重耳は晋を離れ狄へ逃げる。