あらすじ
黄土高原の小国曲沃(きょくよく)の君主は、器宇壮大で、野心的な称(しょう)であった。周王室が弱体化し、東方に斉が、南方に楚が力を伸ばし、天下の経営が変化する中で、したたかな称は本国翼(よく)を滅ぼして、晋を統一したが……。広漠たる大地にくり広げられる激しい戦闘、消長する幾多の国々。躍動感溢れる長編歴史小説全3巻。
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春秋時代の晋の公子・重耳、後の覇王・晋の文公の若かりし頃を描く、宮城谷作品の代表格。重耳の人徳に焦点が当てられ、公子として流浪の日々を過ごした時期に周囲にどのように支えられ、覇者・文公が誕生していったのかが描かれている。
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古代中国を舞台とする宮城谷昌光作品はどれを読んでも主人公に引き込まれす。この作品の主人公は中国春秋時代の覇者(春秋五覇といわれる)のひとりである晋の文公。内乱によっていったんは国を追われた重耳が苦難の末に帰国して春秋時代隋一の名君となるまでの物語。文庫本では3巻セットです。少しずつ時間をかけて読みたいと思いつつ、「次はどうなるかのか?」と思って、結局はあっという間に読み上げてしまいました。
数年に一度は読み返したくなる本の一冊です。
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「砂と星の国 晋」
ロマンチストな表現にどれだけ明るくて素敵な国なのだろうとの想像を裏切り、
その誕生から成長まで血にまみれている、なかなかハードな国。
重耳というタイトルなのに重耳の祖父、称の国力増強から物語が始まるところに宮城谷さんらしさを感じる。
食前酒、前菜、パン・・・とメインを待っている内におなか一杯になってしまうことが多いのだが、
これはちっとも満足させない。寧ろ食べれば食べるほどメインが待ち遠しくなる魅力を秘めている。
どうやって重耳は覇者となりえたのか。
その素地は一体どこでできあがったのか。
その疑問に答えを与えてくれているかのようだ。
初読では、称からどうして重耳のような茫洋とした孫が生まれたのか
とても不思議だった。
しかし読めば読むほど、心に秘めた苛烈な部分や、ちょっとした時の臣下への接し方に共通するところを感じ、
宮城谷さんの手腕に改めて敬服。
・・・でもこの巻だとやっぱり重耳の出番は少ないなぁ
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一言で言うと船頭の様な人かと。
家臣と時の二つの流れに逆らわずに、
でもチャンと主導権は握っているところが
純粋に凄いかと。話を聞くという事がどれだけ大事なのかと身につまされた。
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傑作の誉れ高い作品だけあって満足の出来。主人公は春秋五覇の1人、晋の文公だが、話はその二代前の王から始まる。王たちはもちろん、その家臣団も含めると非常に多数の登場人物がいるが、各々豊かな個性が与えられていてさすがである。
王の性格が、そのままその代の晋の姿に表れており、その意味で上中下巻それぞれ違った趣がある。
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春秋五覇の一人、重耳(文公)の物語。
私を中国古代歴史時代小説の世界にはまらせた本です。
狐突がかっこいいです。
そして申生に泣きました。上中下巻。
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なんといっても、重耳のおじいちゃまがいい!!先見を見る眼を持っているんだねー。重耳の人柄の良さは天下一品です。私も付いて行って無い知恵を絞り出したいくらいです。
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周王朝のゴタゴタと、晋のゴタゴタ、分離した翼と曲沃、積年の恨みで晋の主家の座を奪還しようとする称。出陣して手柄を上げる重耳。狐突の策略がハマるのが面白い。政略結婚とか因縁とか血縁内の争いとか占いとか、中国の歴史物語の色が濃くなってきて面白い。先が楽しみ。
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中国春秋時代の晋の文公である重耳の物語。描写の濃やかさと人物の熱さで、宮城谷先生の歴史小説には毎回楽しませてもらっている上に、歴史の勉強にもなる。
上巻では、晋が周によって封じられてより、翼の本家と曲沃の分家の二つに分立し、重耳の祖父である称が粘り強く宮廷工作を進めて本家の翼城を落として統一すると共に、これに乗じて曲沃を取ろうとする虢の国との戦いまでを描いている。重耳は初陣を果たして、翼攻めで軍功を挙げた駆け出しの状況。
まだ先は分からないが、祖父ほどの器ではない詭諸の治世が暗雲のように漂い、いずれも大人物である異母兄の申生と同母弟の夷吾とのライバル関係も想起させるようなそれぞれの切磋琢磨が描かれている。
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重耳のお祖父ちゃんである称が、晋を一人前の国として認めてもらえるように頑張る話。
称という人は野心家で、すごくよく考えて、よく働く。
重耳は、聖人君子な兄の申生や、おとなしい優等生な弟の夷吾とは毛色が違って、特に目立ってすごいという訳ではないのだが、素直で、大器という感がある。
器量という点では、劉邦に少し似ていると思った。
称の孫3人を育てた先生もまたそれぞれ特徴があって、育てる人の影響ってあるんだなぁと思います。
特に申生の先生の狐突は頭が良くて厳格で、かっこいいですね。
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重耳はまだ生まれて間もないところで魏の分家と本家の争いにどうなるかというところで、重耳が成長しその戦争に関わっていくところでこの巻は終了。 まあ、今回の主人公は狐突、孟嘗君での白圭みたいなもの。内容はおもしろいです。中巻へ!
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紀元前6世紀、中国春秋時代の五覇の一人で、晋の文公と呼ばれた重耳という人物の話。晋の君主の家系の二男に生まれたが、秀才でもなく人気もなく特徴のない人物であったため兄弟の中でも目立たなかった。しかし、晩年は、誠実で実直な性格により国内外の色々な人たちから一目置かれるようになる。身内の争いごとにより国外に脱出し19年間諸国を転々とする亡命生活を経て、晋に戻り君主となる。重耳の話というよりは、重耳に仕えたすばらしい臣の面々の話ではないだろうか。幼少期の教育係の郭偃をはじめ、丕鄭、孤突、孤偃、孤毛、先軫、介子推などなど見事な人物が揃っておりこれら臣に支えられてなければ重耳は君主にはなれなかっただろう。臣の忠誠心に感動した。
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2013年08月 01/41
春秋ブームに乗って家の在庫から読み始めました。続けて読んでるので少しずつ位置関係があたまに入ってきます。
中盤辺りの翼に攻めこむあたりから勢いがついてきておもしろい。
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中国春秋時代の一君主の話である。戦と、諸国との間での権謀術数によって覇権を競う、悪く言えば一生懸命陣取り合戦をしている時代の話である。晋という国を治め、中華を統一し重耳の一生を3冊1000ページを超える大作で記している。
現在に生きているとなかなか理解できない点も多い。「各国の間はお互いの利益があるか、害になるかを判断基準に盟約を結び、敵味方がはっきりしている」「その各国の敵味方の判断においては、君主同士をはじめ、お互いの人と人の間の礼や仁義が大きく影響している」「親子を始め、血縁関係が内紛の争いの元になり、そこに何かを仕掛けるときの大義となること」「邪魔者は消すべしということで、相手に罪がなくともその血をもって殺すことをよしとしていること」「戦においては、下の者が死ぬことは上にとっては基本的には当たり前のこと」「主の周りの家臣の力量、助言、諫言がその主の判断に大きく影響すること。もっと言え若かりし時の周囲の教育が非常に重要だということ」・・・・
その中で、この主人公重耳は、礼を重んじ、周囲の人間の話を聞き、内外の人々を大切にしたことで、苦難のなか最後は晋の君主となり、中華を統一したのである。
現代の日本とは全くかけ離れた時代の物語であるが、よくよく考えると、礼を重んじ、周囲の人々(ビジネスでは利害関係企業)を大切にし、様々な交渉においては、トップ同士を始めとして、人と人(企業名や肩書ではなく)との信頼関係が大切で、周囲の意見をしっかり聞く、そして人材育成の面からも若いうちからしっかりとした教育者が必要・・・と考えると、今の日本、特にビジネスにおいては参考になることも多かった。
中国の春秋時代の話を読むときはいつもそうであるが、最初(この本では上巻の最初)にこの物語の時代背景が出てくる。そこにはたくさんの国名と登場人物が出てくるが、この敵味方・親族関係をしっかり押さえて読み進めることが大切で、ここをいい加減に読んでしまうと全く話がわからなくなる。ここは自分は最初2回読んで頭に叩き込んだ。
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★2011年2冊目『重耳 上』宮城谷昌光著 評価B+
曲沃という小国の君主 称は 本家の国である翼を滅ぼして 親子三代の夢である晋再統一を果たしたいと思っていた。称の嫡子 詭諸は武勇は優れるものの、人格は凡庸であり物の見方は皮相的。その息子公子の中に将来の大物 重耳がいた。しかし、大器晩成でどちらかと言うと、長男の申生、三男の夷吾の方が家臣団には受けが良かった。
主君 称の願いが叶い、本家の翼を滅ぼして、長年の宿願を果たす。またその戦いで、意外にも重耳が、大きな働きを見せる。
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前650年頃。晋の文公。春秋時代の五覇。(五覇:孟子は斉の桓公,晋の文公,秦の穆公,宋の襄公,楚の荘王を言い,荀子は斉の桓公,晋の文公,楚の荘王は変わらないが,あと2人を呉王闔閭(こうりょ)と越王勾践言う)。
国内の後継者争いで殺されそうになり,国外へ逃亡,各地を遍歴し,十七年後に晋の君主となります。
魅力的な人間の回りには人が集まります。狐突,郭偃,狐偃,先軫,介子推など一人一人の小説も出来そうなぐらい魅力的な人が多いように感じます。
『古来,やってはいけないことが3つある。1.禍をたくらんではならない
2.乱につけこむことをしてはならない3.人の怒りを増大させてはならない。喧嘩により人を屈しようとしてはならなく,たとえ勝ったとしても恨みを買うだけであり後世に禍を残すだけだ』この言葉が好きだ。
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上中下巻。春秋時代、陰謀により各国を19年も放浪したという苦難の末に、ようやく晋の王となった文公の物語。春秋の五覇の一人にも数えられる名君ですが、介子推を読むと、ちょっと印象が悪くなってしまいました。いえ、度量の大きな人物ではあるのですが。
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春秋五覇の一人である「重耳」を書いた作品なり。
とある国の君主の三男に生まれた重耳が19年も中国をさまよい紆余曲折の末に覇者となる壮大な道のりがここにかかれているなり。
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中国の春秋時代、周の文公から派した晋では翼を都とする一族と曲沃を地盤とする武公が生き残りをかけ覇を争う中、武公の息子詭諸に3人の男子が生まれる。
晋国内での分裂とともに詭諸の3人の男子の後継争いが予想され早くもわくわく。
時間がかかるが人物相関図を丁寧に描いておくと非常にわかりやすい。
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この時代の中華はちゃんと理解してないので、とても新鮮。今の中国人からは想像しづらいけど、当時から「徳」の高い人がたまに出てくるんですね。その辺りは人智を超えてる感じがしますね。