【感想・ネタバレ】重耳(下)のレビュー

あらすじ

晋の内乱が鎮静し、重耳の弟夷吾(いご)が素早く君主に納まったが、軽佻不徳に人心は集まらず、重耳の帰国が切望された。刺客の魔手を逃れながら、飢えと屈辱の、19年1万里の流浪の末、ついに重耳は晋を再建し、やがて中国全土の覇者となった。──春秋随一の名君を描く、芸術選奨文部大臣賞受賞の名作。

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Posted by ブクログ

面白かった。終わってしまった〜という感じ。重耳ロス。上中下の間に一冊読んでから次に行くことを自分の義務にした。他の本を読む気にならなくなってしまうから笑

色んな思考やモチベや性癖を持ったキャラが大勢出て来る。しかもものすごい時間を経て久しぶりに再会したりする。そして昔のことは忘れない。

歴史上重要な人物がいるのはもちろん、優施や閹楚のような実在が怪しい人もいれば、介子推のような名脇役もいる。何より女性たちが良くも悪くも物語を彩り面白くする。そこに前に読んだ孔丘や管仲など、ほかの宮城谷作品で出てきた人物が絡むから、本当に面白い。

礼とか徳が人生にもたらす影響がすごい。恨みつらみはいつまでも残る。それが君主レベルだと国の運命が決まる。今の外交も同じ。結局は人の感情。そんな中で各国ともギリギリのところでバランス取ろうとしているのに、チョイチョイ問題を起こして大きく揺さぶるダメな周王朝が、もはや愛くるしく感じる笑

次は何を読もう?子産か?晏子か?しばらく間を空けないとまた別の本が読めなくなる笑

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2025年06月14日

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古代中国、春秋五覇の一人、晋の文公である重耳。

親子で、兄弟で、国同士で、滅ぼし滅ぼされで‥なんかもう‥な時代。
亡命生活19年。
重耳自身の強い思いというより、臣下たちの強い思いに導かれるうよに覇者となっていくところがおもしろいなと感じました。

春秋時代の「中国の伝統的な情意のありかたと行動」のようですが、重耳が亡命時代に自分たちを冷遇した人たちを許さず復讐をするところはちょっと‥と思ったのだけど、覇者となるには当然のことなのでしょうね。

「天命も天啓も、あたえられたときに受けねば、二度と得られぬであろう。」

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2024年02月29日

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晋の文公。

春秋五覇の1人であり、斉の桓公と並び称される明君とされている。

しかし、その半生は流浪の身であり、辛苦を味わい続けた人物であった。

上巻では、文公の祖父、称が主人公。
じっと待ち、好機と見れば、それをものにする。
諡の武公に恥じない明君であると感じた。

中巻では、称が死に、晋の混乱期が現出する。
やはり、明君のあとの君主は苦労するのだろう。
王朝や、政権が安定するのは、創業者の次の代が安定するか否かであることを示してくれているのではないだろうか?

下巻は、重耳が文公となり、覇者への道を歩んだ。
下巻は、文書が軽やかで一気に読んでしまった。

古代中国史は礼節に始まり、その礼節をどう打破したかが次代への布石になっているように感じる。

筆者の細やかな歴史の記述は頭が下がるばかり。
次は介子推を読もうと思う。

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2021年07月16日

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ネタバレ

宮城谷さんの作品は「孟嘗君」「太公望」「楽毅」などを読んだ。
重耳は、それらの作品に出てきた英雄たちと比べると、かなり地味である。
それでもこの作品が面白いのは、やっぱり展開が素晴らしいからだと思う。
重耳という主人公自身は地味なのだけれど、彼を取り巻く環境や、彼が過ごす時の流れが峻烈極まりない。
なので全く飽きずに、春秋の一時代を、重耳と一緒に駆け抜けているような感覚に浸れた。

上巻ではあんなに小さかった重耳が、中巻から下巻にかけて半端ない苦労をなめて、最後には名君になっている。
報われたね〜、よかったね〜、と安心するとともに、ちょっと寂しくなった。
マイナーなアーティストを応援していたら、いつの間にか有名になっちゃって複雑……あの気持ちに似てる。

重耳の周りにいる人たちも、最前線で活躍したかと思ったら、年をとって、いつのまにか死んでいたり、誰かに殺されたり……
これぞ戦国の歴史という感じ。
その無常さがあるからか、重耳が先生である郭偃に再会するシーンはかなりホロリときました。
この小さな文庫本の中に、時の流れが詰まっていて、すごい密度だなぁと思った。

歴史小説は主人公が超ヒーローというのももちろん面白い。
けれど、歴史を追体験するという意味では、地味な主人公の方が、地道に生きている現代人には合っているのかも。
そんな新しい見方を与えてくれた素晴らしい作品でした。

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2017年03月18日

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「万里の旅」
下巻で描かれたこの出来事こそ、晋の重耳を春秋五覇たらしめた。

加えて、宮城谷氏の『重耳』では、誕生の背景から放浪までの間の数々のエピソードで主人公重耳の神話性を高め物語の重厚感を加え、登場する人達の個性を多様化することで更なる広がりを見せている。

読者は、登場する人達にも魅了されてゆき、重耳をめぐる様々な事件を越えて、次第に清涼感をおぼえるようになる。

ただ、
登場人物の中には、春秋時代から戦国時代へ移る大事件「晋の滅亡と韓魏趙三国分裂」を匂わせることが顔を見せており、この晋の文公という大いなる成功者すら、歴史のなかのほんの一コマに過ぎないと感ぜずにはいられない。

いずれにしても、「英雄伝説」でありながら、さまざまな想いを抱かせる、大河小説であることは間違いない。
(単行本から文庫本での再読)

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2024年10月19日

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下巻は重耳の流浪の物語。詭諸の死後に驪姫や奚斉が重臣たちに呆気なく滅ぼされるも、後継に推すのを重耳か夷吾かで国論が揉める。重耳は乱となるのを避けて狄に留まる。晋公の地位には、秦公が躊躇いながらも支持した夷吾がつ 就く。しかし、夷吾は秦に恩を仇で返し、国内でも悪性を敷き、重耳に刺客を送る。

重耳は、刺客に追われる形で、諸国を放浪し、衛で冷たい仕打ちにあうなどしたが、最後は、春秋五覇の筆頭である斉の桓公の厚遇を得て、斉の要職に留まり、桓公から息子を託されて、帰国の意思を徐々に失っていく。

それを部下達の機転で、桓公の死に乗じて斉を脱出。衛、曹、宋、鄭などを回った後に、将来のライバルとなる楚の成王に厚遇され、最後は秦公の手引きで、暴君道一直線の夷吾の息子を廃して漸く晋公の地位に就く。

晋公になってからは、周王室のお家騒動の収集、宋などの南方諸国を楚の脅威から救うべく動いて、これを撃破し、中原の覇者となり、桓公に続く、覇者・晋の文公として名を残す。

重耳は、流浪19年を経て、晋の君主になった時は既に60代。大器晩成の典型であり、大人物ではあるものの、常に控えめに、自分を抑えて、周りに推される形でトップに上り詰めた人物。春秋五覇というヒーローではあるものの、その性格、人生を通じてヒーロー感が無く、人の和や信義を重視して地味に事を成したリーダーである。そうした地道感に普通の市井の人は共感を持つのではないだろうか。

また、この君主あってのこの部下という人物が、重耳の陪臣であり、棒の達人で人知れず重耳の危機を何度も救ってきた介子推。彼は、自分の功績をひけらかすことを嫌い、静かに隠遁の道を選ぶ。君主に自分の功績を認めさせるということは、君主に間違いを認めさせることにもなるから、そういう不忠はしないのであると。今も昔も、功績を誇張する人が多い中で、これも清々しい生き方である。

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2021年02月18日

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終わった。 重耳は覇者になったと良いながらも周りに支えられてなったのであるが、結局その人柄に惚れたもの達が彼を覇者にしたようなものであった。秦の王、楚の王共に彼を害せず礼を持って迎え、彼を最終的に晋の王にした。立国の話では無く、いかに礼を尽くして王になったかの物語であった。春秋戦国時代の中では珍しい成り立ちの君主であった。
人に尽くせばそのうちどこかで良いことが回ってくるという見本のような話である。今でもそうだと思いたい。

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2014年09月09日

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紀元前6世紀、中国春秋時代の五覇の一人で、晋の文公と呼ばれた重耳という人物の話。晋の君主の家系の二男に生まれたが、秀才でもなく人気もなく特徴のない人物であったため兄弟の中でも目立たなかった。しかし、晩年は、誠実で実直な性格により国内外の色々な人たちから一目置かれるようになる。身内の争いごとにより国外に脱出し19年間諸国を転々とする亡命生活を経て、晋に戻り君主となる。重耳の話というよりは、重耳に仕えたすばらしい臣の面々の話ではないだろうか。幼少期の教育係の郭偃をはじめ、丕鄭、孤突、孤偃、孤毛、先軫、介子推などなど見事な人物が揃っておりこれら臣に支えられてなければ重耳は君主にはなれなかっただろう。臣の忠誠心に感動した。

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2014年06月16日

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いつの時代も徳の高い人には良い部下・大夫が集まりますね。また、感情渦巻く人間関係は3,000年前も全く変わらない。ローマ人物語を読んでも思ったけど、人は変わらない。色々と考えさせられます。

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2012年12月07日

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春秋五覇の一人である「重耳」を書いた作品なり。
とある国の君主の三男に生まれた重耳が19年も中国をさまよい紆余曲折の末に覇者となる壮大な道のりがここにかかれているなり。

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2009年10月04日

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太公望よりもマシであったけど、重耳の出番がほとんど無かったのがキツかった。何が凄かったのかがイマイチ分からずに終わってしまった残尿感。ただ、祖父と父の時代背景や登場人物については初めて知る知識でそれは勉強させていただいた。

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2022年09月03日

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 ストーリーはいたって平凡、歴史小説がすべてエキサイティングであるはずはない。中国春秋時代の晋の君主、在位紀元前636年 - 紀元前628年。姓は姫、諱は重耳のお話。全3冊を斜め読み。

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2012年07月21日

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