宮城谷昌光のレビュー一覧

  • 晏子(一)

    Posted by ブクログ

    <文庫全4巻を通してのレビュー>

    強国晋を中心に大小いくつもの国が乱立した古代中国春秋期。
    気儘な君公に奸佞驕慢な高官たちが群れ従う斉の政情下、ただ一人晏弱のみは廟下にあっては毅然として礼を実践し、戦下においては稀代の智謀を揮った。
    緊迫する国際関係、宿敵晋との激突、血ぬられた政変・・・・・度重なる苦境に晏弱はどう対処するのか。


    面白いです。
    今まで読んだ、「王家の風日」「沙中の回廊」「孟夏の太陽」この3作品と並ぶぐらいに傑作です。

    斉の国の晏弱・晏嬰父子を「嬰子」として描いた作品であり、父子ともに生き方が爽快で、名臣中の名臣といえます。
    父の晏弱と交流の深かった南郭偃と蔡朝、そして晋

    0
    2019年03月29日
  • 楽毅(一)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    大国に囲まれた中山の宰相の嫡男として産まれた楽毅。見聞(広めるために身を偽り敵国・斉に留学し、孫子の兵法を学ぶ。さらに孟嘗君との出会い、楽毅を大きく変貌させる。悩み抜く生きざまに天はどのような展開を与えていくか。楽毅の成長物語・序章。非常に読みやすく、展開も速いため、宮城谷昌光の入門として最適な一冊。

    0
    2019年03月26日
  • 管仲(上)

    Posted by ブクログ

    2019/1/6
    史実をベースにしているノンフィクションのようなフィクション。史料が欠落しているところを作者の想像力が埋める。残ページが減っていくのが寂しく思えた。

    0
    2019年01月06日
  • 管仲(下)

    Posted by ブクログ

    2019/1/6
    史実をベースにしているノンフィクションのようなフィクション。史料が欠落しているところを作者の想像力が埋める。残ページが減っていくのが寂しく思えた。

    0
    2019年01月06日
  • 孟嘗君(3)

    Posted by ブクログ

    3巻は、全体的に北斗の拳の世界観。

    一万の矢が放たれた。
    「うぬ」
    どう
    「ついに名を成さしめたな」
    あざけって首を剄った。

    ---

    「して、その父母は」
    「天と申しておきましょう」

    なんかね。

    0
    2019年01月04日
  • 楽毅(四)

    Posted by ブクログ

    やっと楽毅という大器が燕の昭王のもとで花開きます。中山国での不遇な時期を読んできたので、成功が自分のように感じられました。徳をもって人を動かすということは2300年前の中国においても、現代においても変わらないと感じました。楽毅のように”見事に生きたい”と感じさせられました。

    印象的な文章
    ・失敗を心中でひきずりつづけると、起死回生の気をとらえそこなう。それは戦場における教訓にすぎないともいえるが、大きな勝利とは、相手の失敗につけこむのではなく、自分の失敗を活かすところにある。

    ・雲のうえに頂を持つ高山に登ろうとするのに、その山層のすさまじさに圧倒され、おじけづいていては何もはじまらない。最

    0
    2018年09月30日
  • 小説 伊尹伝 天空の舟 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    古代中国の革命を描く中で、夏王朝の滅亡を桀王ひとりの暴虐に帰すのではなく、体制の限界と見ているのが合理的で、湯王を単なる聖王とも、桀王を単なる悪王ともしていない点に読み応えがある(宮城谷版『三国志』での後漢の衰亡もそのように描かれていたように思う)。
    しかし合理一辺倒ではなく、あくまで古代は古代であり、呪術が生きている遠い時代としても書くところに、物語の奥深さと伸びやかさがあった。

    主人公・伊尹は、史書において「阿衡」(「はかりのごとき人」)と称賛され、政治における絶妙な平衡感覚をもったひととされるけれど、この小説そのものも虚と実のバランス感覚が卓絶した作品であるのだろうと感じた。

    0
    2018年03月01日
  • 小説 伊尹伝 天空の舟 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    古代中国、夏王朝を倒した、商(殷)の湯王に仕えた名宰相・伊尹(いいん)を主人公に据えた歴史長編。
    3500年以上も過去の人物について、史書の記述を結び合わせ、伝説の域にある事象をも、ひとりの人間を形作るエピソードとして語る筆力は説得力があり、圧倒される。
    上巻では未だ天命を見出していない伊尹が、どのような道を辿って不朽の名を残すに至るか、下巻の展開を追うのが待ち遠しい。

    0
    2018年02月27日
  • 香乱記(四)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    韓信の騙し討ちをはじめとした漢の譎詐は、斉の視点から見ると、項羽の暴虐にも増して淀みを感じさせる。楚漢戦争を第三の国・斉の側から書くことで、地理的に隔てたところから見るというだけでなく、人々のあり方を歴史の高みから捉え直すという構造になっているのが面白い。
    劉邦は、本質を見抜く目は持っているものの、あくまで偽善のひととして描かれており、その対極にある田横の清々しさが際立って感じられる。史書にもあらわれる田横とその客たちの最後は、悲しく壮絶ながらもやはり美しい。

    0
    2018年02月19日
  • 香乱記(三)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最後の秦将・章邯の描かれ方は(司馬遼太郎の『項羽と劉邦』を読み慣れすぎたからか)物足りなさもある。もちろん、主舞台の斉国内や田横周辺の書かれ方は緊密だから、それだけ主人公がまだ歴史の中心へ近づいていないということなのだろう。
    今巻で秦も滅亡し、物語が高潮する途上にあるのを感じる。

    0
    2018年02月17日
  • 香乱記(二)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    陳勝・呉広が起ち、国々の興亡が目まぐるしい第2巻。従兄の田儋が斉王となり、田栄・田横の兄弟は将軍として王を支える。
    許嫁を死なせた者たちへの復讐、悲運の王女への助力、攫われた少女の救出など、田横のエピソードがいちいち英雄的で面白い。今後、史実に現れる田横像とどのように結びつけていくのか、続きが気になる。

    0
    2018年02月16日
  • 香乱記(一)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    楚漢戦争を、劉邦でも項羽でもなく、田横の視点から描く歴史長編。
    第1巻は秦の始皇帝の死まで。長編『劉邦』においては有徳の人として書かれた劉邦が、田横視点ではどのように描かれるのか、今から気になる。

    0
    2018年02月15日
  • 風は山河より(六)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ひと月の間、天下の武田信玄を城に食い止めるという、菅沼新八郎定盈の壮挙が描かれる。そのクライマックスで語り終えるのでなく、東三河の野田から関東の阿保へ、菅沼家が移封されるまでを丁寧に描いているからか、それとも、架空の人物である野田四郎の因縁にも6巻越しの決着をつけているからか、物語完結の余韻をしみじみと感じさせる、堂々の最終巻。

    0
    2018年02月12日
  • 風は山河より(四)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    野田の菅沼織部正定村の横死により、嫡男の新八郎定盈が歴史の表舞台に現れる。若年の名君というものは、臣下たちの熱を読者も共有するからか、読んでいて清々しさを感じる。

    0
    2018年02月07日
  • 風は山河より(三)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「色即是空の寸前に歌がある」という語を始めとして、戦の描写の合間合間に、文雅の道への洞察もまた示される第3巻。

    0
    2018年02月07日
  • 風は山河より(二)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    野田菅沼家では、新八郎定則が名を嫡子の定村(さだすえ)に継がせ、不春と号するようになる。岡崎松平家では清康が横死し、広忠がその跡を継ぐ。
    「月に盈ち欠けはあるが、やはり月はあれだと指さねばならぬ」菅沼家が、苦難のさなかにある岡崎松平への義を貫くことを決める場面は、抑えた筆致が続くだけに、一幅の絵のように美しく浮き上がってみえる。

    0
    2018年02月03日
  • 風は山河より(一)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    野田の菅沼氏というあまり知られていない武家を主人公にした歴史長編。
    著者の『新三河物語』で何度か名の現れた、世良田次郎三郎清康(徳川家康の祖父)の名君ぶりが清々しい。

    0
    2018年02月01日
  • 楽毅(四)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    魏王の客として小国・燕に赴いた後、燕王の懇請によって燕に留まった楽毅は、燕王の志を輔け、燕を遥かに凌ぐ大国・斉の七十余城を降し、諸国に威名を轟かせる。燕王没後の冷遇があるから余計にそう感じるのか、燕王と楽毅との交流が清潔で心地良い。第4巻まで読み進めてきた読者も、楽毅の心をなぞったように、労苦が報われた心持ちになるのだと思う。

    史書を読み比べ、ときに最も正確であろうものを採り、ときに矛盾した記述を公正に提示しながら、物語を紡ぐ作者の文章は変わらず説得力がある。地に足をつけたうえで、華を感じさせる、読み応えのある歴史小説。

    0
    2018年01月11日
  • 楽毅(三)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「――四千未満の兵力で十万余の敵軍に勝てようか。
    彼此の兵力が隔絶していながら勝利を得た武将とは(中略)太古からいままでの歴史のなかで、戦史を綴るとすれば、太公望ただひとりがそれである。(中略)太公望は十倍の敵を撃破したのである。だが、楽毅の場合は、二十五倍の兵力をもつ敵を迎え撃たねばならない。」
    文章が故事を紐解きながら、生き生きと物語を盛り上げる。
    山野に王を迎え、迫る趙軍を鮮やかにはらい続けた楽毅であったが、ついに王は隠棲を選び、中山国は滅亡する。亡国の臣となった楽毅が、魏で士官の道を探すことを決めるまでを描く第3巻。

    楽毅の周囲から少し離れ、趙国の内紛・沙丘の乱についても描かれるが、

    0
    2018年01月11日
  • 太公望(下)

    Posted by ブクログ

    殷が滅び周が起こる本作のクライマックス!
    太公望は周の文王に召し抱えられ、今まで蓄えてきた人脈、兵法、武力、知力、謀略をフル活用で周のために尽くし殷に挑む!
    チーム太公望も誰が誰か解らなくなるぐらいの人数になり(一文字名は把握が困難)其々が其々の役割を粛々とこなしていく!

    殷の紂王とその寵愛の妲己に関しても決して純悪とせずに描かれている非常に透明度の高い作品!!!


    上中下巻を通して漢字の成り立ちや言葉の語源など勉強になりました。

    使い慣れない漢字が多数出現しフリガナがフッてないところなど読むのが辛いところがありました。

    0
    2017年11月05日