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時に戦雲が天を覆う春秋時代前期、「管鮑の交わり」として名高い管仲と鮑叔は周の都で出会う。以後、ふたりは異なる性格ながらも互いを認め、ともに中原の沃野を駆け抜けていく。しかし、時代はまだこのふたりの天才を知らなかった――。のちに、思想家、為政者として卓越した能力を発揮し、理想の宰相と称された管仲の生涯と、彼を支えた人物群像を余すところなく描いた、渾身の歴史長編。
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Posted by ブクログ
2019/1/6 史実をベースにしているノンフィクションのようなフィクション。史料が欠落しているところを作者の想像力が埋める。残ページが減っていくのが寂しく思えた。
ここまで淡々と進んできた物語だが、下巻に入ってからは雪玉のようにあっちに転がりこっちに転がりながらクライマックスを迎える。特に、ライバルかつ親友の鮑叔や敵国宰相との知恵比べのくだりは実に痛快。 著者は『春秋左伝』などを下敷きにして肉付けしたらしいが、これが紀元前の話(♪殷周秦漢…の周と秦の間)なんだ...続きを読むから恐れ入る。
矢張り偉人は偉人だと感じた本です。管仲は言わずもがなで、彼を推挙した鮑叔の言動も「人間わざとはおもわれない」(下巻P269)です。何と言うかもう人の交わり、情感の所在、全てが飛び抜けていて、歴史――過去の出来事であるのにファンタジーとしか思えないほど。 中には幾つか不透明になる所もありましたが。幾...続きを読むつかの説話を持ってこられて鮑叔像が混乱したり(苦笑)。重要なのは血のつながり云々というよりも姓氏の方なのかとか疑問もあったり。まあこれは己の不勉強さ故なのですが。 あ、この本で存外注視されていた文姜の存在がとても気になります。彼女の一生はとても興味深いです。
春秋時代面白い
長生きの人だ 鮑叔の事をもっと書いてほしかった
辛苦を味わう管仲が中心の巻。知性が群を抜いている管仲の政治には舌を巻くが、運のない彼を助けた友の友情の厚さにも感動。
管鮑の交わり。言葉は知っていたが、生死をかけた激しい言葉だったとは。。。管仲もすばらしいが、鮑叔の行動にすごみを感じる。宮城谷氏は、作品の舞台は異なるが、司馬遼太郎の正統な後継。
斉の僖公の死後、その長男襄公の時代となるが、弟である公子糾、公子小白にそれぞれ仕えることとなった管仲と鮑叔。襄公に疎まれ、その施政を批判し亡命の道を選び後日に備える小白と鮑叔。そして糾と管仲は襄公に従い、道を分ける。その後、暴政を極めた襄公は殺され国が乱れる中で、糾と小白は斉の都・臨?へ急行する。先...続きを読むに着いた方が国を治める立場になるその競争は手に汗を握る迫力があります。小白を途中待ち伏せして弓を引く管仲。しかし小白は九死に一生を得て、臨?を抑える。丁度、無政府状態のイラクを誰が制圧するのか、という状況を思い出しますし、少人数の小白と鮑叔が大部隊の糾と管仲に勝る結果も八甲田山彷徨の2つの部隊にも似ています。上巻では文章に気品を感じながらも、短い文章にやや性急さを感じたのが、下巻ではテンポを感じました。読み終わって恒公とともに中国を制覇する管仲の優れた政治能力以上に、斉の恒公(小白)に弓を向けた管仲を推挙し、自らの身を引く鮑叔の爽やかさがこの小説の一番の魅力だと思います。管仲の晩年は明らかなのに比べ鮑叔の死亡の年も分からないという史実は象徴的な気がします。
春秋時代の斉国の宰相。自分が矢を射た公子小白(後の斉の桓公)に仕えて、富国強兵策で桓公を覇者とした。名言「倉廩実ちて礼節を知り、衣食足りて栄辱を知る(そうりんみちてれいせつをしり、いしょくたりてえいじょくをしる)」は二千年以上前では先見性があったかもしれないが、今の日本人には当てはまらない気がする。
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