宮城谷昌光のレビュー一覧
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「万里の旅」
下巻で描かれたこの出来事こそ、晋の重耳を春秋五覇たらしめた。
加えて、宮城谷氏の『重耳』では、誕生の背景から放浪までの間の数々のエピソードで主人公重耳の神話性を高め物語の重厚感を加え、登場する人達の個性を多様化することで更なる広がりを見せている。
読者は、登場する人達にも魅了されてゆき、重耳をめぐる様々な事件を越えて、次第に清涼感をおぼえるようになる。
ただ、
登場人物の中には、春秋時代から戦国時代へ移る大事件「晋の滅亡と韓魏趙三国分裂」を匂わせることが顔を見せており、この晋の文公という大いなる成功者すら、歴史のなかのほんの一コマに過ぎないと感ぜずにはいられない。
いずれ -
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劉備亡き後、蜀を率いる諸葛亮。煌びやかな武将たちも多くは世を去り、あまり馴染みのない武将たちの名が連なる。
記憶の中では、「死せる諸葛、行ける仲達を走らす」ぐらいしか記憶になかった。
ただ、この小説から劉備亡き後もいかに足掻き続けたか、劉備の想いをどう叶えようとしたのかが味わえた。一時期、蜀軍を中華最強にまで育て上げ、何かの歯車がうまく噛み合っていれば歴史の歯車を大きく動かしたのかもしれない活動にあらためて敬服。
死後、しばらく無名のまま、中華全土に名前が知れたのは遥か後世、と言う最後の下りも味わい深かった。久しぶりに、宮城谷ワールドを満喫した。
いつか、宮城谷三国志も手に取りたい。 -
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中国後漢〜三国時代。世は乱れ、群雄が割拠し覇を競っていた。
これは、群雄の1人である劉備に仕えて蜀漢建国に尽力し、三国鼎立実現の立役者となった諸葛亮の生涯を描いた伝記ロマン作品である。
なお下巻では、劉備の益州攻略の折りに本拠地の荊州を預かった30歳から、劉備の死後に行った北伐の途上にあって五丈原で病死する54歳までの諸葛亮が描かれる。
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劉璋の要請を受け益州入りした劉備は、教団五斗米道を率いる張魯を討つため漢中に向けて軍を進めている。ただし進軍速度はひどくゆっくりだ。なぜなら真の目的は漢中を制圧することではなく、劉璋から益州そのものを奪うことにあるからだ。
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2024年
鑑賞作品 No.9
《感想》
高校時代の恩師の勧めを突然思い出し鑑賞。
望の人としての生き様を見せつけられる。
周りを次々に味方にしていく姿はまさに主人公の中の主人公。
持って生まれた力とそれを伸ばす努力、学ぶことは多い。
フィクションであるとはいえ、時々歴史の資料に立ち返って原典を引用しているため、臨場感がぐっと湧いてくる。
《印象に残ったシーン》
▼ 望が洞人から剣術を習うシーン
《MVPキャラクター》
▼ 継
幼いながら聡明かつ清廉な女児として5人の中で一際存在感がある。
一方、ときに子どもらしく望や周りの大人に甘える姿が愛おしい。
これからどんな成長を遂げるのかが楽 -
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中国後漢〜三国時代。世は乱れ、群雄が割拠し覇を競っていた。
これは、群雄の1人である劉備に仕えて蜀漢建国に尽力し、三国鼎立実現の立役者となった諸葛亮の生涯を描いた伝記ロマン作品である。
なお上巻で描かれるのは、父と兄に薫陶を受けた8歳頃から劉備の軍師として主君の益州入りを整える30歳頃までの諸葛亮である。
◇
亮は落日を見ていた。いつにも増して大きく美しい日がゆっくり沈みゆくさまに典麗な音楽を感じつつ佇んでいると、朱色の光の中に現れた黒い影が近づいてくるのが見えた。兄の瑾だ。
瑾は、学問をしに洛陽に行くことになりそうだと亮に告げた。張りのある声からは